コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー


第159回/柄にもなく神妙な面持ちで人前で話をした6月  [田中伊佐資]

●6月×日/ディスクユニオンのジャズ部門リーダーの塙耕記さんと新宿ジャズ館店長の羽根智敬さんに会ったのが2か月前。

 「diskunion music college」と題して音楽講座のイベントを始めます、そこで音のいいディスクについて語ってもらえませんかと依頼があった。講座とか堅苦しい形なると緊張のあまりロレツが怪しくなるし、そもそも「これは音がよさそうだ」と適当に当たりをつけてディスクを買っているだけで、それについて講釈するのはおこがましいのもほどがある。ということで一度はお断りしたのだが、そこをなんとかと押し切られ、その第1回「いい音盤“選定術”ロック編」をdues新宿で行うことになった。

 講座となるといつになく神妙な面持ちでトークを進める。試聴はすべてレコード。概要は下記の通り。


『フリー・ライヴ』から「ミスター・ビッグ」をかける

・英国盤、米国盤の音の傾向と聴き比べ
『いとしのレイラ』デレク・アンド・ザ・ドミノス
『イーグルス』イーグルス

・マトリックス違いの聴き比べ
『レット・イット・ビー』ビートルズの初版2U/2Uと3U/3U

・スタンパー違いの聴き比べ
『アビイロード』ビートルズのスタンパー2と99

・カッティング・エンジニアの音
ボブ・ラディック→『レッド・ツェッペリンII』
ジョージ・ペッカム→『イマジン』ジョン・レノン
リー・ハルコ(スターリング)→『フリー・ライヴ』
ダグ・サックス→『ザ・ウォール』ピンク・フロイド

 スピーカーはJBLの創立70周年記念モデル 4312SE。以前行ったイベントではまだ新品だったせいか、低音がボワーン肥大気味だったが、今回は適度に締まっていい感じで鳴った。

 レコード係を務めてくれた羽根さんは『フリー・ライヴ』が気になった様子でジャケットをしげしげと眺めていた。


秋月電子通商のTPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット。1円玉はサイズの比較用
 これはニューヨークのスターリング・サウンドでカッティングされているが、僕がかけたのは英国アイランド盤。もしかするとプレスが同じ米国のA&M盤のほうが音はいいかもしれないという疑問がよぎった。カットされたラッカー盤はなるべく早く次工程のメッキ処理に回したほうがいいためだ。どこかで見つけたら買ってみよう。

 なおエンジニアのリー・ハルコはニール・ヤングの『ハーベスト』や70年代のストーンズを手掛けている腕利きです。
 第2回「ジャズ編」9月10日(日)の予定。場所は未定。

●6月×日/ステレオ誌の吉野君が珍しいことに奥さんと連れだって遊びに来た。お土産にと秋月電子通商の「TPS7A4700使用 超ローノイズ・プログラマブル可変電源キット」とやらを頂戴した。これはACアダプターのノイズフィルター。記事のために作ってみたらすこぶる効果があったらしく「王道のトランス式の安定化電源を作るよりはるかに良かった」とのこと。

 なにかお好みのケースに収めてくださいというので、とりあえずホコリ防止の意味で、カートリッジの替え針かなにかが入っていた空き箱に入れる。これをM2TECHのフォノイコライザーに取り付けてみた。
 買ったばかりのRVG刻印付きのブーガルー・ジョー・ジョーンズ『ライト・オン・ブラザー』オリ盤(1200円)をかけてみると、ブーガルーのイナタくてネットリしたギターがさらに深みを増した。バーナード・パーディーのドラムもノリが違っているように聴こえる。

 もらったものの価格を公開するのもなんだが、1000円ちょいでこの効果は言うことなし。ケーブルをPCOCCの単線に変えたら、またもうひとランクアップの補強ができた。
ブーガルー・ジョー・ジョーンズの『ライト・オン・ブラザー』
(2017年7月10日更新) 第158回に戻る  第160回に進む  
田中伊佐資

田中伊佐資(たなかいさし)

東京都生まれ。音楽雑誌編集者を経てフリーライターに。現在「ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」「ジャズ批評」などに連載を執筆中。著作に「オーディオそしてレコードずるずるベッタリ、その物欲記」(音楽之友社)、「オーディオ風土記」(DU BOOKS)、監修作に「新宿ピットインの50年」(河出書房新社)などがある。

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