Best Sound~オーディオ評論家が選ぶ優秀録音盤~

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評論家による優秀録音盤セレクション。 「Best Sound~オーディオ評論家が選ぶ優秀録音盤~」  

●石田善之・選(クラシック)(2015/4~)プロフィール その他選者
<選曲にあたって>
 「50枚を選ぶ」のは非常に難しい作業だった。毎月、録音評を担当するなど、数多くの新譜を聴いているのだが、クラシックに絞り込み、セットやアルバムではなく、しかもレギュラーCDを50枚である。もちろん音の良さ、録音の良さが最大の選考理由だが、好きなクラシック音楽である以上、作品の内容や演奏の質も大きな要素になる。どうしても好みが反映されてしまうが、できるだけ巾広く、古典から現代ものまで、編成の大きなものから独奏までと、極力平均的に枠を広げたつもりである。
 たった50枚ということでもあり、ここ2~3年の新録音を中心に選んだつもりだがその枠を外れたものもあり、リュハネンのバスが2001年と最も古く、チェコ・フィル弦楽四重奏団が2007年の録音である。
 音の良さについて一言触れておきたい。昨今は「ハイレゾ」が注目されるが、クラシック音楽の場合には会場の響きが非常に重要であり、響きなしには西洋音楽は成立しない。質感の高い響き、ホールトーンを程良く伴うことが好録音の条件であり、そこから距離感や空間の大きさ広さなど、ステレオならではの表現力も好録音の重要な要素であろう。(石田)

No. ▼画像をクリック(CDを購入できます) アルバム 演奏者 レーベル / CD番号 コメント
1 ストラヴィンスキー:春の祭典&ペトルーシュカ  ガッティ指揮フランス国立管 SONY / SICC 30117 ラトル/ベルリンフィルとは全く異なった魅力を聴かせる。オケ全体の響きもソリストの表情も、色彩感に大きな違いを感じさせる。
2 プレイズ エリック・サティ1 高橋アキ  CAMERATA / CMCD-28305 録音会場は聖クローチェ美術館、楽器はファツィオーリ。演奏の見事さに合わせ、音色と響き感の美しさに圧倒される。
3 ショパン:ピアノ協奏曲第2番他  ネルソン・フレイレ(Pf) DECCA / UCCD-1405 程良い距離感で音像の安定感が高い。フレイレがベテランらしい円熟した味わいを聴かせ、現代のデッカサウンドが貫かれている。
4 オメナヘス  井上仁一郎(G) T-TOC RECORDS / XQDN-1041 将来を嘱望される若手が弾きこなす1999年製のジョン・ギルバートと間接音が見事に融合して柔らかな響きを聴かせる。
5 打楽器アンサンブル作品集 かえるのうた 神田佳子  Bon-kan Media Works / BKMW-0104 多彩な打楽器に足音や水の音なども含めた変化に富んだ内容のアンサンブル。音の立ち上がりと余韻をつぶさに聴かせる。
6 西村朗:沈黙の声 いずみシンフォニエッタ大阪 CAMERATA / CMCD-28290 ライヴだが聴衆に邪魔されることなく木管、金管、ハープの独奏と室内オーケストラがホール空間に美しく響く。
7 ベルギー落下傘兵行進曲  陸上自衛隊中央音楽隊 fontec / FOCD 9559 管弦楽と異なった親しみを感じさせ、18曲の行進曲はなんともカッコ良く元気が出そう。会場の快適な響きを巧みに得た収録。
8 バッハ:イタリア協奏曲 コルネリア・ヘルマン(Pf) CAMERATA / CMCD-25041 聖クローチェ美術館の豊かな響きのなかに濁りのない中低域のピアノの響きの美しさが聴きどころ。
9 ラ・フォリア  江崎浩司(Ob&Rec)他 MEISTER MUSIC / MH-2154 比較的コンパクトな編成だけにワンポイント収録のメリットを感じさせる好録音。自然な広がりと奥行き、透明度が表現されている。
10 コレッリ 作品5  エンリコ・オノフリ(Vn)他 Anchor Records / UZCL-1028 18世紀初頭の楽器と弓でバロックヴァイオリン中心の4人編成のアンサンブルが、厚みのあるタップリとした響き感を聴かせる。
11 ヴァイオリンとピアノのための作品集  ルノー・カピュソン(Vn)他 ERATO / WPCS-12871 二つの楽器の相性の良い雰囲気が醸し出され、快適な2チャンネル音場空間にタップリと臨場感豊かに聴かせる。
12 「バッハ」 リサ・バティアシュヴィリ(Vn)他 Deutsche Grammophon / UCCG-1665 ソロでは1739年製のガルニエが冴え渡り、オーボエやフルートなどとのアンサンブルも美しい。ホールトーンも豊か。
13 バッハ&バルトーク  郷古廉(Vn) EXTON / OVCL-00523 録音当時19歳。バッハも素晴らしいが高度な技巧が要求されるバルトークをスムーズにこなし、将来の大物を予感させる。
14 ベートーヴェン:悲愴・月光・熱情  ユンディ・リ(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1582 同じベートーヴェンでも小暮優とは異なった魅力を聴かせる。テルデックの完璧な条件の基での収録だけに演奏も録音も素晴らしい。
15 デュティユー:交響曲第1番、メタボールほか パーヴォ・ヤルヴィ ERATO / WPCS-12888 親しみを感じさせるフランスの現代作品で色彩感豊かで聴き応えがある。オーディオファンに受け入れられやすそう。
16 シューベルト:美しい水車小屋の娘 マーク・パドモア(Ten) harmonia mundi / KKC5406 ピアノは、中央に位置したテノールを包むよう。柔らかく透明な空気を感じさせるホールトーンは実にのびやかだ。
17 シューベルト:冬の旅  ヨナス・カウフマン(Ten) SONY / SICC 30151 オペラでのパッション性溢れる歌声とは趣きが異なるが、落ち着いた深みのある歌唱力をピアノが絶妙にサポートしている。
18 マーラー:交響曲第5番  イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管 CHANNEL CLASSICS / RCCSSA 34213 安定した音の良さを聴かせる。重厚ながら開放感に満ちた響きの捉え方が素晴らしい。4楽章は弦楽器とハープの響きに圧倒される。
19 ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集「四季」  新イタリア合奏団 MEISTER MUSIC / MM-2141 見事なバランスがステージ上の演奏をリアルに伝えるライヴ収録。明るく現代的なホールトーンが曲の色彩感を一層濃厚にしている。
20 「サンクトペテルブルク~女帝へ捧げられたアリア」 チェチーリア・バルトリ(Sop) DECCA / UCCD-9940 収録場であるステリオ・モロの響きを得た明るく輝き感のあるバルトリの声が、見事な歌唱力で歌い上げている。
21 「ポートレート」 ジェンマ・ベルタニョッリ(Sop) CAMERATA / CMCD-28310 ソプラノと多彩な伴奏楽器ののびやかな音を、タップリとしたやや長めの残響感が見事にまとめている。
22 ベートーヴェン「運命」&シューベルト「未完成」  佐渡裕指揮ベルリン・ドイツ管  AVEX CLASSICS / AVCL-25862 比較的長い残響感が見事に全体をまとめ、あまりにもポピュラーな曲だが、聴く度に新たな発見や感動が得られる。
23 シューベルト:「ザ・グレイト」  ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管 RCA / SICC 1707 冒頭のホルンの響きからも判る通り、見事なステレオ空間を聴かせ、豊かな臨場感にあふれている。低音楽器のエネルギーも十分。
24 モーツァルト:ピアノ協奏曲第21&20番 田部京子(Pf) DENON / COGQ-60 フローティング構造で新装なった石橋メモリアルホールでの収録。透明度の高い響きのなかに、奥行きやのびやかな空間を聴かせる。
25 ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ほか  スクロヴァチェフスキ指揮読響 DENON / COGQ-70 緩急の起伏に富んだ終楽章のティンパニーや大太鼓の盛り上がりで終了し拍手も入る。ライヴならではの臨場感にも溢れている。
26 「スキャンダル」 アリス=紗良・オット、フランチェスコ・トリスターノ(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1655 2台のピアノを左右に定位させ、演奏の妙をステレオ空間に動きとして捉えている。ソロとは一味も二味も異なるダイナミックな表現。
27 チャイコフスキー:交響曲第5番ほか  小林研一郎指揮ロンドン・フィル EXTON / OVCL-00507 アビーロードスタジオならではの高い解像力で、特にトゥッティ部分の低域の透明感は整然とした美しさを聴かせる。
28 ブルックナー:交響曲第9番  アバド指揮ルツェルン祝祭管 Deutsche Grammophon / UCCG-1664 アバド最後の指揮となった名演で2楽章のこみ上げるような力から3楽章のppまで奥深く表現され、ライヴだが弱点は感じさせない。
29 ベルク:抒情組曲&シェーンベルク:浄夜 ジャン=ギアン・ケラス (チェロ)/アンサンブル・レゾナンツ harmonia mundi / KKC5394 若手演奏家中心の弦楽アンサンブル。低域から高域まで十分なエネルギー感と透明度の高いタップリとした残響感を聴かせる。
30 シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」ほか  ドゥダメル指揮ベルリン・フィル Deutsche Grammophon / UCCG-1632 序奏の2分足らずのなかに超低域から超高域まで、しかもpp~ffまでが含まれ、全体の音抜け感と低音部の解像力の高さが魅力的。
31 ストラヴィンスキー:春の祭典ほか  ラトル指揮ベルリン・フィル EMI CLASSICS / TOGE-11089 クリアな響きのなかに起伏の大きなフルオーケストラのエネルギーをまざまざと聴かせる。数多い名盤のなかの一枚。
32 シューベルト:魔王ほか  マティアス・ゲルネ(バリトン) harmonia mundi / HMC 902141 高密度に音楽を聴かせる。歌唱力に併せ、伴奏のピアノも実に軽やかに寄り添い、時にリードする表情豊かな演奏。
33 シューマン:交響曲第4番ほか  パーヴォ・ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン RCA / SICC 10208 オーソドックスだが明解で快適なテンポ感が素晴らしい。巧みな技巧のコンツェルトシュトックは4本のホルンが魅力的。
34 マーラー:さすらう若人の歌ほか  クリスティアン・ゲルハーヘル(バリトン) SONY / SICC 30144 ディスカウ亡き後、ゲルハーヘルは最も期待を集めるバリトンのひとり。マイクとの距離も程良くライヴ収録だが拍手は入らない。
35 「オペラ・アリア集」 ヤーッコ・リュハネン(バス) FINLANDIA / WPCS-11075 人の声の持つ力と優しさからは莫大な情報量が聴き取れるが、バスの堂々たる押し出しと輝きがその魅力を堪能させてくれる。
36 「VERDI」 アンナ・ネトレプコ(ソプラノ) Deutsche Grammophon / B0018735-02 性格の異なる主人公が歌い分けられ、人の声の持つパワー、エネルギーの絶大さに圧倒される一方、デリカシーが見事に表現される。
37 バッハ:6つのシューブラー・コラール集ほか  吉田恵(オルガン) EXTON / OVCL-00522 歴史的な名器が大聖堂らしい大きな空間に響く。好録音ならではの音域の広さやp〜fまでの広いダイナミックレンジが味わえる。
38 マクミラン:合唱作品集 VOL.3  カペラ・ノヴァ LINN / CKD 439 括りとしては現代宗教音楽。18名の混声合唱のハーモニーが豊かに響き、歌詞を意識しなくても独特な世界に引き込まれる。
39 「守護天使」無伴奏ヴァイオリン作品集  レイチェル・ポッジャー(Vn) CHANNEL CLASSICS / CCSSA 35513 バロックヴァイオリンがステレオ空間一杯に広がる。1739年製の名器ペザリニウス、ハーレムのメノナイト教会で収録。
40 モーツァルト:ピアノ協奏曲第25&21番 マルタ・アルゲリッチ(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1649 ルツェルン音楽祭のライヴ収録だがタップリとした会場の響きにピアノとオーケストラが見事に溶け合った名演。
41 ベートーヴェン ピアノ・ソナタ集 (2枚組) 小菅優(Pf)  SONY / SICC 10211、10212 若い感性とテクニックで取り組むベートーヴェン。2枚組5巻の一部だが、ホールの間接音が表情の豊かな表現に貢献している。
42 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」ほか  ユンディ・リ(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1650 「皇帝」ではホール収録ならではの豊かなスケール感を、独奏部分ではテルデックスタジオの端正な響きを聴かせる。
43 モーツァルト:弦楽四重奏曲第17&16番  チェコ・フィルハーモニー弦楽四重奏団 EXTON / OVCL-00309 弦楽ならではのデリカシーに富んだ音色とハーモニーで、豊かなステレオ空間で見事なアンサンブルを聴かせるスタジオ録音。
44 ブラームス:ピアノ協奏曲第2番  マウリツィオ・ポリーニ(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1651 70歳を超えたポリーニの高い芸術性と衰えのない演奏技量をオーケストラがサポートし、ライヴならではの緊張感と熱気が伝わる。
45 ブルックナー:交響曲第4番  上岡敏之指揮ヴッパーダール響 EXTON / OVCL-00546 ステージの奥行きや広がりを感じさせ、分厚い低域だが重々しさはなく、随所に活躍するホルンがホール一杯に広がり開放的。
46 チャイコフスキー&ショパン:ピアノ協奏曲第1番  インゴルフ・ヴンダー(Pf) Deutsche Grammophon / UCCG-1666 若きピアニストは清々しくもカッコ良く、タッチ、切れ味の良さが魅力。ライヴだが豊かな響きはオケとの相性の良さを感じさせる。
47 マーラー:大地の歌ほか  デイヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管他 RCA / SICC 10210 交響曲全集と変わらぬ素晴らしい録音で、テノールとメゾの声がホール一杯に響く豊かな空間が味わえる。
48 モーツァルト:フルート四重奏曲集  カール=ハインツ・シュッツ(Fl)他 CAMERATA / CMCD-28313 ウィーンフィルのメンバー中心のカルテット。スタジオ収録で柔らかな響きと透明度の高い豊かな空間を聴かせる。
49 ベートーヴェン:交響曲第4&7番  小澤征爾指揮水戸室内管弦楽団 DECCA / UCCD-1413 コンパクトな編成ながらまとまりが良い。収録はNHKが担当し、ホールの美しい響きがタップリと取り込まれたライヴ。
50 「チェロ一會集」 宮田大(Vc) fineNF / NF25502 チェロとピアノが音像感やサイズを実に自然に音響空間に展開する。1746年製の楽器の音色も美しい。
石田善之

石田善之(いしだよしゆき)

オーディオ評論家。大学の芸術学部で放送やオーディオ機器に触れ、卒業後はクルマにて世界を放浪。各地で様々な音録りに挑戦し、それがオーディオキャリアのベースになっているという。その後も数々の鉄道録音や音楽録音に携わり、所有する音源やディスクは、ダイレクトカット盤も含めファン垂涎のものも多数。現在、音楽之友社月刊『レコード芸術』や同社月刊『ステレオ』、音元出版季刊『オーディオ・アクセサリー』などで執筆活動を行ない、音楽之友社『ステレオ』ベスト・バイ・コンポ選者ならびに音元出版銘機賞審査委員を務める。