音楽コラム「Classicのススメ」


2006年11月/第38回 アーノンクールの40年

 今年秋のクラシックのコンサートで最大の話題は、アーノンクールがウィーン・フィルやウィーン・コンツェントゥス・ムジクスを率いて来日して、演奏会シリーズを行なうことである。

 昨年、25年ぶりに日本を訪れたのに続いて、今年はその指揮による演奏会が開かれることになった。カラヤンが生きていたころには、「音楽の都」ウィーンに拠点を置きながら王道を行くことを拒否する異端者として、刺激的かつ挑発的な活動を続けていたアーノンクールも、ここ10年ほどはウィーン・フィルやそのニュー・イヤー・コンサート、さらにベルリン・フィルなどの演奏会も当然のように指揮するようになった。

 もちろん、保守的伝統を持つそれらのオーケストラを指揮しても、つねに斬新な視点から作品とその演奏を見つめなおすアーノンクールの姿勢は変わっていない。ウィーン・フィルを指揮してスメタナの交響詩を指揮するときにも、ピリオド楽器の団体を指揮してモンテヴェルディの歌劇を指揮するときと同じく、古びた作品の時代の垢を洗い落とし、新鮮な色彩を甦えらせる手法がとられているのだ。

 レコードの上でのその活動は、1960年代初めから数えて、すでに40年を越える長さに及んでいる。11月6日から11日と13日から18日までの日曜日を除く2週間、昼12時からお送りする「スペシャル・セレクション」では、若いときから現在に至るまで、アーノンクールの指揮をたっぷりとお聴きいただこうと思う。

山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。演奏家たちの活動とその録音を、その生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書に『クラシック・ヒストリカル108』『名指揮者列伝』(以上アルファベータ)、『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』(キングインターナショナル)、訳書にジョン・カルショー著『ニーベルングの指環』『レコードはまっすぐに』(以上学習研究社)などがある。
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