音楽コラム「Classicのススメ」


2007年02月/第41回 花も実もある女性たち

 近年の欧米では、若手俊英の女性ヴァイオリニストの活躍が著しい。
 ヒラリー・ハーンの登場は衝撃的だったし、一時の話題性に溺れてしまうことなく、その後も充実した活動を実演でも録音でも続けて、そのまま一流音楽家の列に加わってしまった。彼女を代表格に、ジャニーヌ・ヤンセン、ユリア・フィッシャー、バイバ・スクリデ、ニコラ・ベネデッティ、アラベラ・シュタインバッハーなどなど、さまざまなタイプのヴァイオリニストが毎月のように登場しては、音楽界を賑わしている。
 どうかすると、CDは出るが演奏会ではその名前を聞かない「有名」ヴァイオリニストというのもいたりするのだが、先に名前を挙げた人たちは実演でも録音でも、花も実もある活動をしているのが重要だ。
 今月の「ユーロ・ライヴ・セレクション」には、その中から2人が登場する。まずジャニーヌ・ヤンセンが10日にマスネやサン=サーンスの小品、さらに16日の放送ではモーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲を弾く。ヴィオラは彼女の「四季」のCDでも共演していたジュリアン・ラクリン。続いてユリア・フィッシャーが24日の放送で、ギラードとミュラー=ショットとの共演によるモーツァルト、ラヴェル、シューベルトなどのピアノ・トリオ。
 二人とも優れた音楽家たちとの顔合わせで、プリマドンナ気取りではできない、息を合わせた共演を聴かせてくれるはずだ。


山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。演奏家たちの活動とその録音を、その生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書に『クラシック・ヒストリカル108』『名指揮者列伝』(以上アルファベータ)、『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』(キングインターナショナル)、訳書にジョン・カルショー著『ニーベルングの指環』『レコードはまっすぐに』(以上学習研究社)などがある。
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