音楽コラム「Classicのススメ」


2010年09月/第84回 今年のウィーン・フィル来日公演の指揮者

 

 11月の「ウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン」は小澤征爾が指揮するはずだったが、病気療養のために降板し、アンドリス・ネルソンスとエサ=ペッカ・サロネンが担当することになった。
 小澤さんの一日も早いご快復を祈る一方で、これはこれで楽しみな来日公演になったと思う。ヴェテランにはヴェテランのよさもあるが、期待の若手と旬の中堅ふたりがウィーン・フィルからどんな響きを引き出してくれるのか、大いに期待できるからである。
 ネルソンスは1978年ラトヴィアのリガ生れ、同郷のマリス・ヤンソンスの薫陶を受けた。2008年にイギリスのバーミンガム市交響楽団の首席指揮者兼音楽監督に就任し、国際的な注目を集めた。今年夏にはバイロイトで『ローエングリン』新演出を指揮し、秋にはベルリン・フィルとも共演、さらに来年の「東京・春・音楽祭」でも「ローエングリン」を指揮する予定だが、それより一歩早く日本でも聴けることになった。
 サロネンは1958年、フィンランドのヘルシンキ生れ。精巧な表現で定評があったが、1992年から2009年にかけてのロサンジェルス・フィルハーモニックの音楽監督時代にさらに音楽のスケールを増し、現在は2008年からフィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者・芸術顧問の地位に就いている。
 ウィーン・フィルとの録音はまだないが、ネルソンスはオルフェオからバーンミンガムと、サロネンはシグナムからフィルハーモニアとの録音が継続的にCD化され、好評を得ている。「ウィークエンド・スペシャル」でそれらをまとめてお送りするので、お楽しみに。

 

山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。演奏家たちの活動とその録音を、その生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書に『クラシック・ヒストリカル108』『名指揮者列伝』(以上アルファベータ)、『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』(キングインターナショナル)、訳書にジョン・カルショー著『ニーベルングの指環』『レコードはまっすぐに』(以上学習研究社)などがある。
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