音楽コラム「Classicのススメ」


2010年10月/第85回 カラヤン・ライヴ・イン・ジャパン

1977年11月、「帝王」カラヤンはベルリン・フィルを率いて、7度目の来日公演を行なった。
 東京ではベートーヴェンの交響曲全9曲が2曲のピアノ協奏曲(独奏はワイセンベルク)と演奏され、巨大な普門館に鳴り響いた。
 その交響曲全集が、FM東京(現TOKYO FM)の録音を元にCD化された。カラヤン&ベルリン・フィルの絶頂期のライヴが如何なるものであったかを知る、最高の実例となるものだ。堂々として力強く、雄大なスケール感をもつベートーヴェンである。
 「ニューディスク・ナビ」の10月第3週は、特別編「カラヤン・ライヴ・イン・ジャパン」として、カラヤンの日本でのライヴ、それにザルツブルク音楽祭やウィーンでのライヴを、30時間にわたって特集する。
 1日目の11日は、ベートーヴェンの交響曲第1番から第8番までの8曲。FM東京のラジオ番組の収録を、ディレクターとして担当された東条碩夫さんをお招きして、当時の思い出をうかがいながらお送りする。
 12日は「第九」とともに、ザルツブルク音楽祭でのブルックナーの交響曲など。
 13日は、カラヤン初来日となった1954年のNHK交響楽団との演奏会の「悲愴」など50年代のライヴ、それに1972年ロンドンでのベルリン・フィルとのライヴ。
 14日は、ベルリン・フィルだけでなくウィーン楽友協会合唱団、多数のスター歌手まで帯同して盛大に挙行された、1979年普門館での来日公演から。
 そして15日は、最後の来日となった1988年サントリーホールと東京文化会館でのライヴを中心に、晩年のライヴを集めて。
 昭和後半、戦後日本を彩ったカラヤンのライヴを、たっぷりとお楽しみあれ。

 

山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。演奏家たちの活動とその録音を、その生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書に『クラシック・ヒストリカル108』『名指揮者列伝』(以上アルファベータ)、『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』(キングインターナショナル)、訳書にジョン・カルショー著『ニーベルングの指環』『レコードはまっすぐに』(以上学習研究社)などがある。
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