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連載コラム「CLASSICのススメ」

第23回 「待ち男」シャイー

「Classicのススメ」バックナンバー

リッカルド・シャイー、52歳。

ムーティがミラノ・スカラ座の音楽監督を辞任したとき、いよいよシャイーが迎えられるのではないかという推測がされたが、当面スカラ座は音楽監督、つまり主導的な指揮者をおかない体制でやっていくことになったらしい。 スカラ座にムーティが君臨していた今世紀の初め、シャイーの姿勢には、何か半世紀前のカラヤンを想わせるものがあった。つまり、1950年代のカラヤンがその「最終目標」であるウィーン国立歌劇場に到達する直前、ミラノ・スカラ座でドイツ・オペラを指揮して経験を重ねつつ、ウィーン交響楽団をウィーンにおける「橋頭堡」として、ウィーン国立歌劇場を牽制していたことがある。同じようにシャイーは、アムステルダムのコンセルトヘボウのシェフとしてオペラなどを指揮しつつ、やはりミラノにジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団という「橋頭堡」を持っていて、ミラノの聴衆にその存在を顕示していた。

歌劇場にもう興味はない、とシャイーは何かのインタヴューで口にしていたが、スカラ座だけは特別なのではないか、スカラ座以外の歌劇場にもう興味はない、という意味なのではないか、とその真意を推測する向きがある。 とりあえず、今回シャイーがスカラ座に行くことはなかった。だが、未来はまだわからない。シャイーは心中秘かに、時節の到来を待っているのではないか。

「待ちの男」シャイー。その姿勢は、1988年にアムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の指揮者になったときから、すでに始まっていたように思える。もちろん、今いる場所でベストを尽くさなければ、輝かしい明日は来ない。シャイーのコンセルトヘボウ時代は、まさにそうした研鑽の日々だった。そのころの彼をふり返ってみよう。

山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963生まれ。「レコード芸術」を始め、音楽雑誌、CDのライナーなどで活躍中。クラシックの演奏史の中に現代を位置づける活動を行っている。最近特に海外盤に目立ついわゆる「ヒストリカルもの」(放送局のライブ音源をCD化したものやSPやLPの時代の録音のCD化)には滅法強い。
山崎浩太郎のはんぶるオンライン

BBC Concert ~PROMS88リン・ハレル&リッカルド・シャイー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団~

11月13日(日)22:00~24:00

出演:山崎浩太郎/音源提供:BBC

BBC Concert ~PROMS92リッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団~

11月20日(日)22:00~24:00

出演:山崎浩太郎/音源提供:BBC

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