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連載コラム「JAZZのススメ」

第07回 CDデビューはライブ・ハウスから

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今や、ジャズは聴く時代ではなく、演る時代である。このままでゆくと聴く人はどんどん減り、演る人はどんどん増えてゆく。

さて、そこであなた。あなたもなにか楽器をやるでしょう。私は当たるを幸い、いろんな人に訊いてみる。

「いや実はトランペットをちょっと。」「えー、私はギターを少々。」「クラリネットをブラス・バンドで。」

得意そうに鼻をうごめかす。人は得意になると本人の自覚なしに鼻が動くのである。

それはともかく。

楽器を演る人は多いが、実は、成就する人はまことに少ない。100人に一人というところだろう。

成就するにはどうしたらいいか。ある有名なミュージシャンに訊いてみた。「楽器がうまいと女にもてる。」この一念を失わないことだそうだ。

さて、あなたが一念を捨てず一丁前になったとしよう。すると今度はCDを出したくなる。これはしかし難関である。一万人に一人といっても過言ではない。

でもこれはいわゆるメジャー・デビューの話。マイナー・リリースでよければ幾らでも話はある。

よろしい。本日はその話をしよう。あなたが目出度くCDを世の中にぶっ放すにはどうしたらいいか。

ライブ・ハウスに出演するのである。どこのライブ・ハウスでもいいわけではない。

厳選の限りを尽くす必要がある。

どういうライブ・ハウスを選んだらいいか。

CDをリリースしているライブ・ハウスである。

当然のことながら、そう何軒もあるわけではない。

ニューヨークでいえば「スモールズ」がある。有名な「ブルーノート」のそばにある若年ミュージシャンの登竜門といわれるライブ・ハウスで、ここは最近バンバン若年のCDを発売し始めた。

しかし、ニューヨークは遠い。

近間で探さなければいけない。

赤坂の「ビー・フラット」。ここが現在、自店に出演のミュージシャンの作品を世に問い出したのだ。

レーベル名は「セブン・ステップス」。マイルスが演奏した有名な「セブン・ステップス・トゥ・ヘブン」という曲がある。「天国への七つの階段」だ。

すでに何枚か出版していずれも順調な歩みをたどっているという。

今日はそのうちの一枚をご紹介しよう。

CDの主人公4人はライブ・ハウス「ビー・フラット」の主要出演メンバーだ。

アルト・サックス、バリトン・サックス、ベース、ドラムスのカルテット編成でピアノ抜き。なぜピアノがないのか。

ピアノはソフトな楽器のイメージだが意外にもゲンコのような音を出す。これが入る入らないでトータルの音が全然違ってきてしまう。ピアノが入らないと全体のサウンドが実に柔らかく感じられる。4人はリクイッド・サウンド、つまり流体的ソフト・フォーカスの音を狙ったというわけだ。

流れるような柔らかいサウンドで似合う曲といったら「センチメンタル・ジャーニー」の右に出るものはない。

録音のほうの音は、いまいちだなぁ、と言う人がいるかもしれないが、いわばスッピンの音。化粧をしていない音ということだ。お金持ちメジャー・レーベルではないから機材にお金がかけられない。

でもスッピン・サウンドが逆に幸いした。いかにもライブ・ハウスで録音したんだなとわかるザワッーと反射する音。作られたという音からいちばん遠い音。自然主義リアリズム、ここに極まれるなり。志賀直哉の文章のような音なのだ。

寺島靖国(てらしまやすくに)
1938年東京生まれ。いわずと知れた吉祥寺のジャズ喫茶「MEG」のオーナー。
THE JAZZ(8ch)、PCMジャズ喫茶、ジャズ道場破りに出演。
ジャズ喫茶「MEG」ホームページ

PCMジャズ喫茶

4月2日

オンエア: 宮本大路・宮野裕司カルテット「センチメンタル・ジャーニー」より (Seven Steps THIFA-001)
出演: 寺島靖国、岩浪洋三、長澤祥

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