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ターンテーブルの夜


(月~金)23:00~24:00
ターンテーブルの夜
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 時がめまぐるしく進む現代、慌ただしく生きる毎日。そんな日々だからこそ輝きを増すアナログの世界・・・・。長い時を隔てたアルバムの味わいを温かなヴォーカルと共に堪能してください。
 パーソナリティが日米を股にかけて集めたヴォーカル・コレクションの中から選曲、貴重なオリジナル盤も持ち込みます。

アナログでしか出せないジャズ・ボーカルの味わい
2月27日から3月3日は茂木亮さんが担当します。ヴォーカルとレコードに対する愛着は誰にも負けないという茂木さんの選曲と語りをお楽しみください。(3月6日~24日はアーカブス放送となります。)

(2月27日~3月3日放送予定アルバム)
●レイディラブ/ビリー・ホリディ
 ジャズ・ボーカル史の頂点に位置づけられる不世出のシンガー、レディ・デイことビリー・ホリディは、30年代の後半から歴史に残るレコーディングの数々を吹込んでいます。圧倒的なシンガーとしての評価は、30年代後半~40年代前半のコロンビア系、コモドア、デッカなどの音源に代表されますが、声の質が落ちてくる40年代終盤以降も、ワン&オンリーの歌唱を残し続けました。本アルバムは、54年1月にレナード・フェザーが主催した“Jazz Club U.S.A.”という、当時の有名米ジャズメンが大挙してヨーロッパにツアーした際の旧西ドイツにおける実況録音で、60年にユナイテッド・アーティスツからリリースされました。58年に設立された同レーベルが発掘音源をリリースするのは珍しいですが、音質、演奏とも十分鑑賞に値すると判断したためでしょう。A面では現地のピアノ・トリオをバックに、レディは得意のレパートリーを次々に歌い、B面になると“Jazz Club U.S.A.”の豪華メンバーに入れ替わり、彼らのソロパートを含む長尺ナンバーを繰り広げます。レディは最晩年に再度渡欧しますが、そのときと比べるとはるかに楽しげで好調な様子も伝わります。なお、“Jazz Club U.S.A.”のメンバーには、日本で人気のピアニスト、ソニー・クラークが、もう一人のピアニストとともに参加しています。2人のピアノの違いを聞き分けるのも楽しみといったところでしょうか。

●ザ・ジェローム・カーン・ソングブック/ベティ・マディガン
 50年代半ばごろにワシントン周辺のクラブで歌い、自身のテレビ・ショーを持つなどして人気を得た、美貌とクリスタル・ヴォイスを備えたシンガー、ベティ・マディガン。品格を感じさせる表現力豊かな歌いぶりは、リスナーをゆったりと包み込まれるような感覚に誘います。本アルバムは、57年にコラルに吹込まれた2枚目で、タイトルどおりジェローム・カーン作曲のナンバー12曲を歌っています。ディック・ジェイコブスのゴージャスなアレンジに乗り、「煙が目に染みる」、「歌こそは君」のような大スタンダードのほか、あまり知られないナンバーも多く交える選曲が楽しく、知らず知らずのうちに全曲を聴き通させる内容になっています。可憐なルックスとキュートな歌唱力を備えていたベティでしたが、アルバム3枚で終わってしまっているのが少し信じがたくなります。

●ア・ヘイズ・ネイムド・マーサ/マーサ・ヘイズ
 ジュリアーノ音楽院でジョン・ミーガン(p)のレッスンを受け、その後もホール・オーバートン(p)から学ぶなど、本格的な音楽教育を受け、クラブなどではピアニストまたはピアノの轢き語りを数多くこなしていたとされるマーサ・ヘイズ。批評家のナット・ヘントフは、彼女のことを「真のジャズ・シンガー」と絶賛したとされ、おそらく唯一となる本アルバムに、その絶賛に値する歌いぶりが凝縮されていると言って過言ではありません。ジュビリーへの56年ごろの吹込みと思われる本アルバムですが、ここではシンガーとして通しています。ピアノ・トリオ&アルトという無名ながらも優秀なメンバーを揃えた伴奏をバックに9曲歌いますが、ホーンライクとも解釈できるややハスキーな声で、なんともいえない倦怠感をみなぎらせる歌いぶりが強く印象に残ります。収録曲を聞いていくと、ハッピーなラブソングなどはまるで歌わないことに気づきます。それどころか、自分一人で生きていく!と宣言するような私小説的展開に挑んだらしいことが見えてきます。本当にそうなったかが気になってきますが・・・。

●アウト・オブ・サイト!/パット・ボウイ
 60年代半ばにプレスティッジに2枚のアルバムを残し、シーンから遠ざかったシンガー、パット・ボウイ。本アルバムは、その1枚目にあたり、セルダン・パウエル(ts)、レイ・ブライアント(p)、ケニー・バレル(g)などの当代第一級のジャズメンがバックを担っていることからも、レーベルの期待が高かったことが窺われます。果たしてパットのヴォーカルは、デビュー盤とは思えないほど円熟したもので、バックのバランス良いサウンドと上手く溶け合い、良質なスウィート・ソウルのような耳あたりで迫ります。そのソウルフルさも、コテコテ感のないシャープなもので、単調なようで濃密にグルーヴする「ジョーイ、ジョーイ、ジョーイ」やボサ・タッチの「ムーン&サンド」などをアクセントに使う構成も巧みで、リスナー引き込んでいきます。B面1曲目の「ムーン&サンド」は、その後参加メンバーだったケニー・バレルが何度もレコーディングするようになります。バレルがパットに歌うことを勧めたのか、それともパットの歌にインスパイアされたバレルが愛奏するようになったのか、少し気になるところです。(1,296円)

●キティ・ホワイト・ウィズ・コーキー・ヘイル/キティ・ホワイト
 ロスアンジェルス出身で、音楽一家の双生児の姉妹として育ち、シンガーおよびピアニストとして活動するようになるキティ・ホワイト。49年にレコーディング・デビューし、何本かのハリウッド映画のOSTへの吹込みに起用されたという経歴からも、ジャズ・シンガーに拘っていなかったことが窺えます。レナード・フェザーも、「ジャズ・ミュージシャンをバックに歌ったアルバムもあるが、ジャズ・アーティストとはいえない」と評価しています。本アルバムは、パシフィックがパシフィカ・シリーズの一枚としてリリースした10インチ盤で、コーキー・へイル(harp)のみをバックに8曲を歌った変わり種の一枚です。パーティの席上でコーキーがハープを弾きだし、それに誘われてキティが歌い出したところを、居合わせたパシフィック・ジャズのオーナー、リチャード・ボックがポータブル・レコーダーで録音したものです。キティはもともと黒人的なブルース臭が希薄ですが、ハープのシンプルな伴奏だけをバックにしみじみと歌うセッションがいかに似つかわしいか、じっくり聞きたい1枚になっています。このアルバムは、その後曲数を増やし12インチ盤として再発され、追加曲では、バド・シャンク(fl)も加わります。再発盤はジャケットもムーディーな作りに変更されましたが、オリジナルのハープとともにキティが収まるショットのレトロなジャケットも捨てがたいです。

●ヴィヴァシャス/ダイナ・ショア
 テネシー出身で、6歳のときにナッシュビルに移住し同地の大学で社会学士を取得、学生時代からシンガーとして活動しているダイナ・ショア。卒業後NYに進出し、30年代末にRCAと契約、ラジオ番組出演などで人気が上昇し、TV番組「ダイナ」が全米ネットワークで放映されスターダムにのし上がりました。その後もRCA、キャピトルなどに多数のアルバムを吹込み、ポップスからブルースまで難なく歌い切る名シンガーとして君臨しました。本アルバムは、60年にRCAカムデンからリリースされた、ハリー・ジンマーマンのジャジーなオーケストラをバックに歌った人気盤です。ここでは、一部にコーラス・グループ、ザ・スカイラークも参加、オーバーダビングによる二重唱の曲なども交えた全10曲を収録、その大部分がノスタルジック感を煽るナンバーになっています。シナトラもお気に入りだったゴージャスな歌声が、リスナーを古き佳き時代のアメリカに誘うような品格を感じさせています。ダイナのエレガントでいて庶民に受け入れられる歌唱に外れはなく、どのアルバムも安心して聴け、安心して他人に勧められます。その中でも、楽曲の魅力が光るのが本アルバムではないでしょうか。

●ヴァイオレッツ・フォー・ユア・ファーズ/シャーリー・ホーン
 ワシントンDC出身で、50年代からシンガー、ピアニストとして活動しているシャーリー・ホーン。50年代末ごろからレコーディングもあり、「マイルスが認めた数少ないシンガー」として一部で知られることになりますが、80年代終わりごろまで幅広い人気を得られないままでした。その中で、78年~84年にスティープルチェイスに4枚のアルバムを残しますが、81年7月のオランダ、ハーグにおける「ノース・シー・ジャズ・フェスティバル」の2枚のライブ盤は高い評価を得ています。本アルバムはそのうちの1枚で、チャールズ・エイブルス(b)、ビリー・ハート(ds)を従え、ビリー・ホリディが得意としたナンバーなど7曲全編で弾き語りを聞かせます。最初のうち静まりかえり聞いていたオーディエンスを、しだいに乗せていく様子までをも捉えたドキュメントで、シャーリーのカリスマ性が発揮されたステージを追体験できるのではないでしょうか。88年になりシャーリーはヴァーヴと契約、その4作目『ヒアズ・トゥ・ライフ」でブレイクします。その後05年に亡くなるまで活躍を続けましたが、それらの記録はいずれもCD作品で、この番組で使うことはできません。

●ウィズ・ザ・カイ・ウィンディング・トロンボーンズ/ジ・アクシデンタルズ
 男性3人、女性1人のコーラス・グループで、56年のABCパラマウントへの『ハロー、ウィ・アー・ジ・アクシデンタルズ』でアルバム・デビューしているジ・アクシデンタルズ。痛快すぎるイキのいいコーラスのインパクトは強烈で、ユナイテッド・アーティスツにもアルバムを残しています。本アルバムは、ABCパラマウントへの2作目となる58年の吹込みで、タイトルどおり、カイ・ウィンディング(tb)が率いる4人のトロンボーン・チームとコーラスとの掛け合いが最大の聴きどころで、全10曲をスリリングに、ドライブ感満点に片づけてしまいます。グループ名自体もそうですが、豊かなパロディ精神は本アルバムの企画にも表れていて、フォー・フレッシュメンの名盤、『フォー・フレッシュメン&5トロンボーンズ』を意識したであろうということは、ほとんどのリスナーにバレバレ(?)ですね。

●ア・ニュー・ルック・アット・ザ・ワールド/アレン・ケラー
 ロングアイランド州出身で、ロングアイランドのサパークラブ、「サン・スー・サン」に出演していたところをラジオ局のDJに見出されることになるアレン・ケラー。そのDJ氏の熱心な紹介で、チャーリー・パーカー・レコードへの吹込みが実現することになり、62年にNYのRCAスタジオでレコーディングされたのが本アルバムです。先日紹介したジ・アクシデンタルズのアルバムとよく似た4人のトロンボーン奏者+リズム・セクションから成る編成のバックで、指揮・編曲とピアノを担当するジャック・ケラーはアレンの兄弟です。トロンボニストの4人は、カイ・ウィンディング、アービー・グリーン、ニック・トラヴィス、ポール・ファリーズで、カイ・ウィンンディングは、ジ・アクシデンタルズ盤でもメイン・トロンボニストでした。ニック・トラヴィスは、トランペッターとして知られます。ここで歌われる12曲すべてがアレンまたはアレンとジャックによるオリジナル曲で、「グラント・ミー」1曲のみに、件のDJ、アラン・グラント氏との共作になっています。DJ氏を驚嘆させた非凡な歌いぶりが聴き取れる一枚になっています。ほとんど情報のないシンガーで、このほかの音源もみつけられませんでしたが、このアルバムに聴くソングライター、シンガーとしての力量はかなりのものを感じさせます。この1枚で終わっていたとすれば、かなりの損失だった?と思うほどです。

●ザ・クロッシング/シーラ・ジョーダン
 シーラ・ジョーダンはデトロイト出身で、あのチャーリー・パーカーがデトロイトにツアーに来たときに飛び入りを迫ったほどの“ジャズ・チャイルド”ぶりが伝えられるシーラ・ジョーダン。パーカーのバンド・メンバーであったデューク・ジョーダン(p)と結婚し、NYのクラブなどで歌うようになりますが、レコード・デビューは30歳を過ぎてからでした。その後、活発にレコーディングするようになるのは70年代半ばごろからで、日本のイーストウィンドに吹込んだ2枚目のリーダー盤以降コンスタントに音源を供給し、88歳となった16年現在もライブやレコーディングを精力的にこなしています。本アルバムは、84年のブラックホークへの吹込みで、ケニー・バロン(p)、ハーヴィー・スウォーツ(b)、ベン・ライリー(ds)のトリオに一部でトム・ハレル(tp)が加わっています。ここでは、タイトル・チューンと自身のテーマとなる「シーラズ・ブルース」のオリジナル2曲を歌うなどの意欲を見せ、バックのサウンドの一部と化したような展開に持ち込む得意技も披露しています。のちにハーヴィー・Sと改名することになるベーシストとは、このレコーディング以前から共演する機会が多いシーラでしたが、その後もこの2人だけによるアルバムを何枚もリリースするなど、特別なパートナーとなります。ここでも、ハーヴィーのオリジナル、「アンティル・トゥモロウ」を歌っています。

1月30日の曲目 31日の曲目 2月1日の曲目 2日の曲目 3日の曲目  
※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。
武田清一

出演:武田清一

1970年代にフォークグループ「日暮し」の一員で「いにしえ」という大ヒットを残した武田氏は、アナログレコードの大ファンで、ジャズヴォーカルを中心に3000枚を越えるコレクションの持ち主です。自宅では二つのオーディオを音楽によって使い分け、CDでは得られないアナログサウンドを楽しんでいます。

上原 昇

出演:上原 昇

横浜在住。ジャズを聴き始めたのはハタチの頃から、地元『ちぐさ』によく通いエヴァンスやコニッツなど”白人系”ジャズに酔いしれる。もう一つ『ジャズ批評』から多くを学び、その恩返しをと。ヴォーカル(主に白人系)やボサ・ノヴァ(サンバではない)に神経を集中する日々。中途半端なコレクションはしてないつもり。

茂木亮

出演:茂木亮

1960年5月札幌出身、ピアニスト、スティーヴ・キューンのマニア、完全コレクター(自分が生まれたとき、キューンはコルトレーン4のメンバーだった)で、ジャズ批評誌などにキューン関連の情報を発信している。中野新橋のジャズ喫茶・ジニアスに20年以上通い続け、リスナー、レコード・コレクターとしての極意(?)を習得。高田敬三氏主催の「ボーカルを楽しむ会」では、年に一度ほど例会の案内係を担当。