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ターンテーブルの夜


(月~金)23:00~24:00
ターンテーブルの夜
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ターンテーブルの夜

ターンテーブルの夜

 時がめまぐるしく進む現代、慌ただしく生きる毎日。そんな日々だからこそ輝きを増すアナログの世界・・・・。長い時を隔てたアルバムの味わいを温かなヴォーカルと共に堪能してください。
 パーソナリティが日米を股にかけて集めたヴォーカル・コレクションの中から選曲、貴重なオリジナル盤も持ち込みます。

アナログでしか出せないジャズ・ボーカルの味わい
11月27日から12月1日は茂木亮さんが担当します。ヴォーカルとレコードに対する愛着は誰にも負けないという茂木さんの選曲と語りをお楽しみください。(12月4日~22日はアーカブス放送となります。)

(11月27日~12月1日放送予定アルバム)
●ソウル/リナ・ホーン
 43年に主演を務めた映画『ストーミー・ウェザー』が出世作になって以来、シンガー、エンターテイナーとして活躍し、“ラスベガスの女王”の言われるようになるリナ。ジャズ・シンガーの要素も完璧に備えていたので、ジャズ・ヴォーカル・アルバムも多数残しました。本アルバムは、ユナイテッド・アーティスツへの4枚のうち3枚目にあたる66年の吹込みで、レイ・エリス・オーケストラがバックを担います。ここでは、ジャズ・フィーリングはエッセンス程度に、「アンチェインド・メロディー」や「蜜の味」といった当時のヒット・ナンバーを含むポップな曲の数々を、タイトルどおりソウルフルに歌っています。ルックスは白人に近いリナが、タイトルやジャケット写真で黒さを強調しているところは目を引きます。この直後のクリスマス・アルバムは、白さを強調したジャケットになりますが、白、黒ともに似つかわしいのがリナらしさのようです。

●オー!モニカ/モニカ・ゼタールンド
 64年にビル・エヴァンスの伴奏で歌ったアルバムにより世界的なビッグ・ネームになるモニカ。そのサクセス・ストーリーを映画化した『ストックホルムでワルツを』は2014年に日本でも公開され、エヴァンスの有名なオリジナル、「ワルツ・フォー・デビィ」に自らスウェーデン語の歌詞をつけ、エヴァンス本人に認められるシーンが感動的でした。50年代末からスウェーデン語でジャズ・ソングを歌うスタイルを確立するモニカは、60年代に入ってからも母国語で歌うヒット曲を連発していました。本アルバムは、64年にスウェーデン・フィリップスからリリースされた、シングル・ヒットを集めたアルバムで、オーケストラやコンボをバックに、オリジナルや母国のフォークソング、さらに、オーケストラをバックに初レコーディングに挑んだ「ワルツ・フォー・デビィ」など、バラエティに富む12曲を歌っています。

●ウィズ・ア・リトル・ビット・オブ・スウィング/ヘレン・ウォード
 NY出身で、34年にベニー・グットマン楽団で歌い始め、スウィング・ジャズ時代最初期の「ガール・シンガー」のひとりとして人気を博したヘレン。40年代はハル・マッキンタイアやハリー・ジェイムスのバンドで活躍し、40年代後半にはラジオ局で番組のプロデューサーも務めたりしますが、LP時代の到来を待たずして、レコーディングの機会が減っていきます。このアルバムは、短期間在籍したピーナッツ・ハッコー(Cl)のバンドでの57年のレコーディングで、グッドマン楽団を思わせるバックに乗せてヘレンに7曲を歌いますが、録音年代やメンバーを見ても、バンド・サウンドはかなりモダンです。その中でヘレンが歌いだすと、スウィング時代にタイムスリップしたかと錯覚しそうなほどの貫禄が漂うところが堪能できます。

●レット・ノー・マン・ライト・マイ・エピタフ/エラ・フィッツジェラルド
 ジャズ・ヴォーカル界の「ファースト・レディ」として長きに渡ってシーンに君臨したエラは、完璧なまでの歌唱力、あらゆるジャンルのどんな曲でも自分のものにし歌ってしまう、歌えない曲など考えられない不世出のシンガー。ヴァーヴの専属だった50年代末から60年代初めごろには、ソングブック・アルバムも多数リリースしています。本アルバムは、60年に公開された邦題、『俺の墓標を立てるな』で知られる映画の曲集という体裁で、映画にはエラも歌手役で出演しました。ここでは、ポール・スミス(p)だけをバックに、主にスタンダード13曲を歌っていますが、実際に映画の中で歌われたのは3曲となっています。シカゴの場末の酒場などのようなところで歌うシーンを意識してか、ちょっと退廃的なムードを漂わせつつも、しっかりした歌を利かせるエラが圧巻です。

●プレイング・ザ・フィールド/マーク・マーフィー
 56年にデッカでアルバム・デビューを果たし、デッカにもう1枚吹込んだのちキャピタルに移籍したマーフィーは、50年代末から60年にかけて3枚のアルバムを残します。いすれもビル・ホールマンがアレンジを担い、ウェストコーストの有名ミュージシャンが多数参加するバックがつきました。本アルバムはキャピトル最終作となる60年の吹込みで、A面はホールマンのオーケストラをバックにつきますが、B面はジミー・ロウルズ(p)以下のトリオのみをバックに歌います。50年代から60年代までのマーフィーは、大編成をバックに歌うことが多く、インティメイトなピアノ・トリオ、それも名手ロウルズの伴奏で歌う音源は珍しく、貴重です。今回はそのB面から聞いていこうと思います。

●ジェントル・イズ・マイ・ラヴ/ナンシー・ウィルソン
 オハイオ州出身のナンシーは、56年にビッグ・バンドのシンガーとしてキャリアをスタートし、アルト・サックス・プレイヤー、キャノンボール・アダレイに見出され59年にニューヨークに進出します。翌60年にキャピトルからレコード・デビューするや、瞬く間にスター街道を邁進し、ジャズ・シンガーにとどまらず、ポップ系のアルバムも次々にリリースし、ヒット曲も数多く放ちました。67年から68年には、NBCの番組「ザ・ナンシー・ウィルソン・ショウ」のホストを務め、エミー賞を受賞、その後2017年現在に至るまで活躍を続けるエンターテイナーです。本アルバムは65年のキャピトルからのスローバラッド集という、10枚を超えるアルバムをリリースしていたナンシーにとっても、初の試みでした。シド・フェラーのアレンジによるストリングスとリズム・セクションをバランスよく絡ませた心地よいサウンドに乗り、ナンシーは伸びと張りのある歌声でスタンダードや当時のヒットチューン11曲を歌い通しています。

●ウィズアウト・ソース/ディック・レーン・カルテット
 ディック・レーン(cl)は、サンフランシスコで51年に兄弟とグループを結成し、ナイトクラブやTVなどに出演しました。54年に結成した新たなグループが、今回聴いていただくカルテットになります。56年にアーゴに吹込んだ男性3人と女性1人の編成のヴォーカル・インストゥルメンタル・グループで、ディック(cl,ds)、ドン・ルジアーニ(acc)、ジム・ウェスト(b)に加え、女性ヴォーカルのパット・リチャーズの4人がコーラスを聞かせますが、これは一聴してフォー・フレッシュメンにそっくり!というバンド・サウンドです。ライトなインストに乗ったスタンダード12曲が軽快なコーラスとともに駆け抜けるところを、存分に堪能いただきたいと思います。

●ジ・イントロキシケイティング/パール・ベイリー
 ヴァージニア州出身のパールは、40年頃からNYのクラブで歌うようになり、43年には、クーティ・ウィリアムス楽団のシンガーとなりツアーに参加、50年ごろから自己名義の音源をリリースするようになります。元々はダンサーを目指していたこもが幸いし、ブロードウェイにも進出し、40年代半ばから50年代にかけ多くのミュージカルに出演します。さらに50年代半ばごろには複数の音楽映画への出演や「パール・ベイリー・ショウ」という自身のTV番組などで活躍しました。ワイドレンジのある歌唱が強みで、基本的にはブルース・シンガーですが、ときにコミカルさや男勝りの厚みを持った低音を前面に出すなど、芸達者な歌いぶりで圧倒します。本アルバムは、57年にマーキュリーからリリースされたもので、ややポップなアレンジのビッグ・バンドをバックに、12曲を歌っています。

●ホリディ・ウィズ・マリガン/ジュディ・ホリデイ
 NY出身のジュディは、作曲家チームのコムデン&グリーンらとユニットを結成し、ナイトクラブなどで活動したのち、50年に『ボーン・イエスタディ』でアカデミー主演女優賞を受賞し、ミュージカルにも数多く出演しました。シンガーとしても、50年代後半ごろからレコーディングするようになります。地声はハスキーというか、少ししゃがれた声ですが、ファルセット・ヴォイスとなると、途端に男性ファンを虜にさせる強烈な魅力があります。本アルバムは、60年に当時の恋人だったジェリー・マリガン(bs)率いるオーケストラをバックに、MGMに吹込んでいたものの、お蔵入りになっていたもので、80年になりDRGが初めてリリースしました。全10曲の中には、ジュディとマリガンによる貴重なオリジナルが4曲含まれ、そのほかスタンダードなども歌っています。

●シングズ・ザ・クルト・ワイル・ソングブック/ジュリー・ウィルソン
 ネブラスカ州出身のジュリーは7歳から歌い始め、17歳でミス・ラスベガスに選出されています。その後NYに進出して一流クラブで活動し、ミュージカル・スターの地位も手にしました。それを礎に、歌い手として説得力のある歌唱を体得するために演劇を学んだというエピソードからは、真剣に歌手活動に取り組んだ姿勢が窺えます。50年代にリリースしたいずれも見目麗しき彼女自身のジャケットのアルバムに、それを反映させています。本アルバムは、88年になりDRGに吹込んだコーラスもつけるウィリアム・ロイ(p)とのデュオ・レコーディングです。ここで取り上げているのはドイツの名作曲家、クルト・ワイルの作品の数々で、有名曲のみならず、あまり知られていない曲をブレンドしているあたりにセンスが感じられます。

11月27日の曲目 28日の曲目 29日の曲目 30日の曲目 12月1日の曲目  
※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。

武田清一

出演:武田清一

1970年代にフォークグループ「日暮し」の一員で「いにしえ」という大ヒットを残した武田氏は、アナログレコードの大ファンで、ジャズヴォーカルを中心に3000枚を越えるコレクションの持ち主です。自宅では二つのオーディオを音楽によって使い分け、CDでは得られないアナログサウンドを楽しんでいます。

上原 昇

出演:上原 昇

横浜在住。ジャズを聴き始めたのはハタチの頃から、地元『ちぐさ』によく通いエヴァンスやコニッツなど”白人系”ジャズに酔いしれる。もう一つ『ジャズ批評』から多くを学び、その恩返しをと。ヴォーカル(主に白人系)やボサ・ノヴァ(サンバではない)に神経を集中する日々。中途半端なコレクションはしてないつもり。

茂木亮

出演:茂木亮

1960年5月札幌出身、ピアニスト、スティーヴ・キューンのマニア、完全コレクター(自分が生まれたとき、キューンはコルトレーン4のメンバーだった)で、ジャズ批評誌などにキューン関連の情報を発信している。中野新橋のジャズ喫茶・ジニアスに20年以上通い続け、リスナー、レコード・コレクターとしての極意(?)を習得。高田敬三氏主催の「ボーカルを楽しむ会」では、年に一度ほど例会の案内係を担当。

ターンテーブルの夜
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アナログでしか出せないジャズ・ボーカルの味わい
10月30日から11月3日は茂木亮さんが担当します。ヴォーカルとレコードに対する愛着は誰にも負けないという茂木さんの選曲と語りをお楽しみください。(11月6日~24日はアーカブス放送となります。)

(10月30日~11月3日放送予定アルバム)
●カム・シング・ウィズ・ミー/イーディ・ゴーメ
 56年のレコード・デビュー以来、順調にスター街道を歩み、数多くのレーベルにアルバムを残しているイーディですが、日本では知名度はありながらあまり聞かれていないシンガーの印象が強いです。63年にコロンビアからリリースした、邦題「恋はボサノヴァ」で知られる「BLAME IT ON THE BOSSA NOVA」が、80年代末ごろにTV-CFで使用されたときも、起爆剤にはなりませんでした。それでも90年代末ごろには、初期のABCパラマウントなどへのアルバムがかなり国内CD化されました。60年代初期のユナイテッド・アーティスト盤は2017年現在、国内CD化されないままですが、その中から本アルバムを。61年のUAへの吹込みで、バックはABCパラマウント時代からの長いつきあいとなるドン・コスタ・オーケストラで、ここでは、全編スロー・バラッドで通しています。一部コーラスも加えて、リラックスした歌の中にも、ジャズセンスをキラリと垣間見せるイーディは圧巻です。全曲通して聴くと、少しほっこりし過ぎに?・・・ジャズ・インストでもよく演奏されるスタンダードを多く含むB面からどうぞ。

●モーニン・モーニン・モーニン/アーネスティン・アンダーソン
 ヒューストン出身で、47年に10代でレコード・デビューしているアーネスティン。56年にロルフ・エリクソン(tp)に見出されスウェーデン・ツアーに帯同し、現地でレコーディングした『ホット・カーゴ』は終生の代表作といいますか、アーネスティンと言えば『ホット・カーゴ』とされる代名詞のようなアルバムになりました。アメリカに戻ってからはマーキュリーと契約し、アルバムを続々とリリースし、いずれも『ホット・カーゴ』を超えずとも高水準な内容で、本アルバムは、マーキュリー3枚目にあたります。ここでは、当時のカウン・ベイシー・バンドのホーン・セクションが多数参加するハル・ムーニーの編曲、指揮によるオーケストラがバックを担い、一部にストリングスが加わります。ミュージカル・ナンバーや映画の挿入歌を中心とした選曲で、アーネスティンは、持ち前のブルージーさをエッセンスに、ジャズ・フィーリングたっぷりに全11曲を聞かせます。

●バンド・イン・ボストン/デニース・ダーセル
 フランス、パリ出身の美人女優として知られるデニースは、47年の渡米後から60年代初めごろまで数多くの映画やテレビに出演しました。パリのナイトクラブで歌っていた経歴もあり、シンガーとして充分な力量を身につけていました。本アルバムは、58年にマイナーレーベル、カメオに吹込んだおそらく彼女の唯一のジャズ・ヴォーカル盤で、「女優が歌う」にとどまらない、本格的な歌唱を聴くことができます。デイヴ・アペルのアレンジによるビッグ・バンド、またはアペル自身のギターをフィーチャーしたコンボの伴奏に乗り、コール・ポーターやロジャース&ハートらの有名スタンダードを多く取り上げ、一部フランス語を交え、爽やかでハスキーに歌うところも、楽しさを倍増させています。ちなみに、ギターとアレンジで好サポートを見せるアペルは、作曲家、プロデューサーとしても実績があり、中でも71年の世界的大ヒット、トニー・オーランド&ドーンの「ノックは3回」が有名です。

●クリーンヘッズ・バック・イン・タウン/エディ・“クリーンヘッド”・ヴィンソン
 テキサス州ヒューストン出身で、ブルースシンガー、アルト・サックス・プレイヤー、バンドリーダーなどとして活動し、作編曲もこなす、アメリカ国内ではかなりの知名度がある“クリーンヘッド”。40年代前半にクーティ・ウィリアムスのバンドに参加し、45年2月に「サムバディズ・ゴッタ・ゴー」でR&Bチャート1位のヒットを飛ばします。同年に自身のバンドを結成し、R&Bチャート上位に入るナンバーを続発するなど、サックス&シャウター・ヴォーカルのスタイルのブルース盤を多数残します。本アルバムは、57年にベツレヘムに吹込んだジャズ・ミュージシャンとの共演盤で、当時のベイシー・バンドのメンバーなど、一流ジャズ・プレイヤーをバックに、ブルース・フィーリングたっぷりのヴォーカルとテキサンらしいホンカー風なアルトによるソロで、楽しくも聴き応え満載のアルバムに仕上げています。

●アット・ザ・リヴング・ルーム/アリス・ダール
 50年代後半から約6年間NYのクラブで歌っていたとされるアリス。62年にチャーリー・パーカー・レコードから、マンデル・ロウ(g)ジョージ・デュビビエ(b)のみがバックを務めるアルバムが知られています。クラブ・シンガー出身者らしくバラッド解釈が巧みで、情感を巧みにコントロールしながら、ロウのオリジナルなどのトーチソングを中心に歌ったそのアルバムでは、かなりの場慣れ感がにじみ出ていました。それ以外の音源となるとほとんど確認できませんでしたが、ほぼ10年後の72年に、フランスのNUMERAから突如アルバムをリリースします。それが本アルバムで、CP盤を知るリスナーは聴いて驚くのではないでしょうか?ハリウッドのライブ・ハウスでのレコーディングにみえるアルバム・タイトル、ジャケットですが、ここでのアリスはジルベール・ロベール(b)とシャルル・ソードレ(ds) をリズムに起用し(一部オルガンも参加)、ピアノを弾き語り、まるでニーナ・シモンのような声質、スタイルに変身し、ブルース・ナンバーなどをグルーヴィーに聞かせているのです。ちなみにNUMERAレーベルは、希少なジャズ・インスト盤数枚により、ヨーロッパ・ジャズのマニアに人気があります。アリスは、この時期ヨーロッパのクラブで人気があった?バックの2人はいずれも、50年代からフランス・ジャズシーンで有名ミュージシャンだったことも、その思いを強くさせます。

●アフター・ミッツドナイト/ヘレン・グレイコ
 「冗談音楽」というジャンルを開拓し、ジャズ・ドラマーとしても知られたスパイク・ジョーンズの夫人だったヘレン。ストリングス入りの「アザー・オーケストラ」も46年ごろに結成していたジョーンズは、まじめなダンス音楽も演奏していました。そこに当時LAでクラブ・シンガーだったヘレンが起用され、音源も残しましたが、オーケストラは長続きしませんでした。その後ヘレンはソロでシングル盤を数枚リリースし、56年にLAでVIKにファースト・アルバムを吹込みますが、それがこのアルバムです。ラス・ガルシアのアレンジによるストリングスまたはコンボがバックで、ジェリー・ウィギンズ(p)、バーニー・ケッセル(g)、ラリー・バンカー(vib)ら、ウェストコーストの一流どころが参加、さらに、レス・ロビンソンのアルト・サックスによる間奏やオブリガートがムーディに迫ります。やや線の細い声質ながらも、硬派なセンシティブさを巧みにブレンドするあたりに独特の魅力を感じます。偶然なのか、B面冒頭からビリー・ホリディの得意曲が続きますので、そのB面から聴くことにいたしましょう。

●ライク・シング・ソングズ・バイ・ドリー&アンドレ・プレヴィン/ジャッキー&ロイ
 おしどり夫婦デュエットとして長く活躍したジャッキー&ロイ。40年代末にともにチャーリー・ヴェンチュラのバンド・メンバーとなり、ほどなく結婚、その後ロイが他界するまで半世紀以上に渡り活動を続けた2人は、出会って間もないころから様々なレーベルから多くのアルバムをリリースしています。本アルバムは、63年にコロンビアに吹込んだもので、アルバム・タイトルが内容をそのまま表しています。クラシック界で活躍すると同時にジャズ・ピアニストとしても一級の実力を持つアンドレ・プレヴィンと当時の妻で作詞家のドリーによるオリジナル曲を全編で歌っているもので、ジャケットにもこの二組の夫婦が写ります。プレヴィン夫妻はライナーノーツで、「あまり知られていない 曲を掘り起こしだけでなく、無名のソングライターにも注目してくれた」J&Rに謙遜しながら感謝していますが、果たして粋なデュオがこれらの曲をどんな風に料理するのかお楽しみに!

●シングズ・ロジャース・アンド・ハート/リー・ワイリー
 オクラホマからNYに進出し、15歳で初レコーディング、40年代にかけて、様々なレーベルに幾多のレコーディングを残すリー・ワイリー。ミルドレッド・ベイリーと並ぶ白人女性ジャズ・シンガー草分けの大物でしたが、50年代に入ると表立った活動が減っていきます。本アルバムは、その50年代半ばの54年にストーリーヴィルに吹込んだ10吋盤で、ジミー・ジョーンズ(p)のトリオにルビー・ブラフ(tp)が加わったインティメイトな伴奏陣に支えられ、タイトルどおり、名作曲家チームのリチャード・ロジャース&ロレンツ・ハートが26年から40年にかけて作曲した8曲を歌っています。マイルスやエヴァンスが、若かりし頃からレパートリーとした曲を多く含んでいますが、リーはこの時点ですでにこれらを自家薬莢中のものとし、自在に歌いこなしていることが、否応なく伝わってきます。

●ウィズ・マリス・トワード・ノン/カーリン・クローグ
 60年代半ば以降ヨーロッパを代表するノルウェーのジャズ・シンガーの第一人者に君臨するカーリン。様々なヴォイス効果などを駆使してのレコーディングやステージングを早くから取り入れ、前衛的なジャズ・ミュージシャンとの共演も多数残していることでも知られます。本アルバムは、そんなカーリンにとって異色のレコーディングで、80年のスウェーデンのブルーベルへの吹込みで、現地の教会で、ニルス・リンドバーグのパイプ・オルガンのみをバックに歌っています。題材として、スピリチュアル・ナンバーやドヴォルザークの有名曲、エリントン・ナンバーや自ら歌詞をつけたコルトレーンの「至上の愛」を含むジャズ・オリジナルなどを選曲し、荘重なオルガンのサウンドに乗せるヴォイスは、おそらくカーリンのレコーディングの中で最も加工されていない?ナチュラルな発声を捉えています。パイプ・オルガンのみのサウンドというと、少し引きそうになるかもしれませんが、カーリンの自然体の歌に思わず耳を傾けてしまうアルバムになっています。

●ザ・グレート・レディーズ・オン・V-ディスク Vol.1/ビリー・ホリディ
 ジャズ・ボーカル史の頂点に位置づけられるレディ・デイことビリー・ホリディ。59年の没後も、次々に発掘音源が登場しています。このアルバムは、79年に日本のダン・レコードがリリースしたビリーの40年代のライブ・ステージを編集したもので、オリジナル・ソースは、アメリカ政府が40年代に米軍将兵の娯楽用に製造したSP盤、Vディスクからのものです。ここでは、44年から49年までの5箇所におけるステージの模様を捉え、それぞれオールスター・バンド、エリントン・オーケストラ、ルイ・アームストロング・オーケストラなど異なる編成で歌うビリーが堪能できます。当時のライブ録音にしては音質もまずまずで、声が良く出ていたころのビリーのステージに接することができるのは、ファンにとっては大変ありがたい音源ということになります。

10月30日の曲目 31日の曲目 11月1日の曲目 2日の曲目 3日の曲目  
※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。

武田清一

出演:武田清一

1970年代にフォークグループ「日暮し」の一員で「いにしえ」という大ヒットを残した武田氏は、アナログレコードの大ファンで、ジャズヴォーカルを中心に3000枚を越えるコレクションの持ち主です。自宅では二つのオーディオを音楽によって使い分け、CDでは得られないアナログサウンドを楽しんでいます。

上原 昇

出演:上原 昇

横浜在住。ジャズを聴き始めたのはハタチの頃から、地元『ちぐさ』によく通いエヴァンスやコニッツなど”白人系”ジャズに酔いしれる。もう一つ『ジャズ批評』から多くを学び、その恩返しをと。ヴォーカル(主に白人系)やボサ・ノヴァ(サンバではない)に神経を集中する日々。中途半端なコレクションはしてないつもり。

茂木亮

出演:茂木亮

1960年5月札幌出身、ピアニスト、スティーヴ・キューンのマニア、完全コレクター(自分が生まれたとき、キューンはコルトレーン4のメンバーだった)で、ジャズ批評誌などにキューン関連の情報を発信している。中野新橋のジャズ喫茶・ジニアスに20年以上通い続け、リスナー、レコード・コレクターとしての極意(?)を習得。高田敬三氏主催の「ボーカルを楽しむ会」では、年に一度ほど例会の案内係を担当。

ターンテーブルの夜
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アナログでしか出せないジャズ・ボーカルの味わい
9月25日から29日は茂木亮さんが担当します。ヴォーカルとレコードに対する愛着は誰にも負けないという茂木さんの選曲と語りをお楽しみください。(10月2日~27日はアーカブス放送となります。)

(9月25日~29日放送予定アルバム)
●セレブレイツ・100イヤーズ・オブ・レコーデド・サウンド/ジョー・ブシュキン
 40年にトミー・ドーシー楽団に参加していたときに書いた「オー・ルック・アット・ミー・ナウ」をシナトラが歌い、ヒットしたことで知られるようなったブシュキン。リーダー盤は主に50年代から60年代にコロンビア、アトランティック、リプリーズなどにあり、気品のある粋なピアノのほか、トランペットもプレイし、アメリカの大衆に愛好され続けました。60~70年代はNYやラスベガスのクラブなどで活躍し、TVやラジオへの出演も増え、エンターテイナー的な活動を継続していました。本アルバムは、世界で初めてレコード技術が登場してから100年目にあたる77年に、ノルウェイで行われた式典に出演したブシュキンのライブ・ステージを収めたもので、現地のオーケストラのほか、ジミー・スミス(g)、ミルト・ヒントン(b)、ジェイク・ハナ(ds)といった大御所がバックを勤め、ブシュキンもピアノ、フリューゲル・ホーンをプレイするほか、ピアノと同様に粋なヴォーカルでオリジナルなどをふんだんに聞かせます。オープニングとエンディングのナンバーは、このツアーに同行していたビング・クロスビーが歌っているものです。

●ディープ・ルーツ/ロレツ・アレキサンドリア
 シカゴ出身のロレツは、幼少のころから教会で歌い育ちましたが、50年代後半のデビュー・アルバムなどを聴いてもゴスペル臭の強い泥臭さはなく、垢抜けした洗練さが感じられます。白人的なクールさを備えたハスキー・ヴォイスが魅力で、50年代後半から60年代半ばにかけての、キング、アーゴ、インパルスなどに残した10枚ほどのアルバムを眺めると、しだいにブルース色が薄れるとともにジャズ・フィーリングが濃くなり、洗練度がアップしていることが感じ取れます。本アルバムは、60年代になってから迎えられたアーゴからの3作目にあたる62年の吹込みで、ジョン・ヤング(p)を中心とする、当時のシカゴ・ジャズ・シーンを担う腕達者なメンバーによるコンボがバックを担います。シーンに復帰して間もないハワード・マギー(tp)の参加も魅力で、ロレツは、インティメイトなサウンドをバックに、タイトルどおり深みを感じさせるスタンダードなど10曲を、秘めたパッションを込めるように歌います。

●クレア・ブラッドフォード・ウィズ・オリバー・ネルソン&クラーク・テリー
 ミズーリ州出身のクレアは音楽一家に育ち、幼少から音楽に慣れ親しみます。54年に地元のクラブで歌手デビューし、その後各地のクラブに出演するようになります。やや白人風とも言える歌いぶりで、べたつき感のない都会的な洗練さを感じさせるところが魅力です。本アルバムはレコード・デビューにあたり、プレスティッジの傍系レーベル、TRU-SOUNDに61年に吹込んだものです。このレーベルは、主にリズム&ブルース色の強いアルバムを10枚強出しただけのマイナー・レーベルでしたが、このクレア盤は後にやはりプレステの傍系レーベル、ニュージャズからタイトルを変えリイシューされました。今回はそのニュージャズ盤を使用します。タイトルどおり、オリバー・ネルソン(ts)とクラーク・テリー(tp)のサポートは強力ですが、伴奏の要になっているのは、女性ピアニスト、パティ・ボウンで、スタンダードやブルースなど全10曲でのツボを得たバックが光ります。

●アム・アイ・ブルー?/ベティ・マディガン
 ワシントンDCに生まれ育ったベティは、大学在学中に学内ミュージカルで主演を務めて注目され、50年代半ばごろには地元のクラブやラウンジで歌うようになり、ボルティモアのラジオやTVにも出演。活躍の場を全米に広げ、『エド・サリバン・ショウ』へのゲスト出演や自身のTVショーを持つなどして人気を得ます。美貌とクリスタル・ヴォイスを備えたシンガーで、品格を感じさせる表現力豊かな歌いぶりが、リスナーを包み込むような感覚に誘います。本アルバムは、56年にMGMからリリースされたファースト・アルバムで、オーケストラをバックに、タイトルから窺えるようにブルーなムードにさせるようなスタンダードなど12曲を歌っています。20代前半の最も輝いていたころのベティの魅力が余すところなく詰まった1枚になっています。

●ブロッサム・タイム/ブロッサム・ディアリー
 73年に自らのレーベル、「ダッフォディル」をスタートさせるブロッサム。そこに吹込んだアルバムはすでに何枚か紹介していますが、主にヨーロッパを活動の中心においていた60年代の音源も、多くのLPやシングル盤としてリリースされています。今日紹介するのはそんな中からの1枚で、66年3月にロンドンのクラブ、「ロニー・スコッツ」に出演したときのライブ・レコーディングで、エマーシーからリリースされたものです。現地のベーシストとドラマーを従えてピアノの弾き語りをしていますが、曲間に入るブロッサムのトークがオーディエンスに大いに受けるやり取りもしっかり収録されているところが、楽しさを倍増させています。インティメイトな雰囲気の中で本領を発揮するブロッサムを捉えた魅力満載の1枚になっています。78年にブロッサムはオーストラリア・ツアーしていますが、今回使用するのはそのときに来豪記念盤として出された新たなジャケットのオーストラリア・プレス盤です。

●ユー・ドント・ノウ・ミー/ルース・ブラウン
 ヴァージニア州ポーツマス出身のルースは、父親が教会の指揮者という環境もあってか早くから聖歌隊で歌いだし、20歳になるころにはプロとして歌うようになります。49年にアトランティックから「ソー・ロング」でデビュー、翌年の「ティアドロップス・フロム・マイ・アイズ」がビルボードR&Bチャートで26週連続1位となり、その後も次々とヒットを放ち“ミス・リズム”、“R&Bの女王”などの愛称で人気を博します。50年代末ごろからはジャズ・シンギングも意識するようになり、60年代以降はさまざまなレーベルから、ジャズ・エッセンスを感じさせるアルバムをリリースしています。本アルバムは、78年にマイナー・レーベル、ドゥーブレに吹込んだハリウッド・レコーディングで、本格的にジャズ・ボーカルにアプローチしています。ピアノ・トリオをバックに、ブルース・ナンバーは最小限に抑え、スタンダードを中心に8曲を歌っていますが、ここでのピアノがルー・リーヴィというだけでなんともうれしくなる1枚です。

●アイル・クライ・トゥモロウ/リリアン・ロス
 ボストンの出身のリリアンは、30年前後に舞台や映画女優として活躍しています。その後アルコール依存症に陥り自滅的な道に進みますが、50年代に再起を果たします。その自身の体験を、『アイル・クライ・トゥモロウ』という自伝書として出版するやベストセラーになり、55年にスーザン・ヘイワード主演で映画化されました。その後リリアンはTV番組に出演したり、女優、シンガーなどとして活躍するようになります。本アルバムは、57年にエピックからリリースされた自伝書の内容を反映させた曲を選び歌ったもので、ドン・コスタのオーケストラが曲を切れ目なくつないでいきます。そんなサウンド効果も手伝い、アルバムはドラマティックな展開を見せ、リリアンのウォーム感溢れる歌いぶりを後押ししています。

●シング・アロング・ウィズ・ベイシー/ランバート,ヘンドリックス&ロス+ジョー・ウィリアムス
 57年に結成されたヴォーカリーズ・ユニットLH&Rは、翌年アルバム・デビューを果たすと、たちまちのうちに人気を獲得します。そこでは、タイトル通りに、カウント・ベイシー・バンドのレパートリーを取り上げ、バックのリズム・セクションにベイシー・バンドのメンバーを起用、ホーン・セクションなどが担うパートを、3人のコーラスやスキャット置き換える痛快なものでしたが、カウント・ベイシー本人がそのアルバムを聴いて感激し、アルバム第2弾は自身も参加しようと思い立ちます。そして、ベイシー楽団の契約レーベル、ルーレットに58年5月から10月の間に吹込んだのが本アルバムです。ここでの10曲はベイシー・バンドのレパートリーで、3人それぞれがソロイストのパートを巧みに歌い、さらにベイシーのバンド・シンガー、ジョー・ウィリアムスもそこに加わりゴージャスな出来を演出しています。

●クラウド7/トニー・ベネット
 NY出身のベネットは、幼いころから歌うことと絵を描くことが好きで、プロのシンガーになってからもスケッチ集を出版するほどの腕前で、17年現在も現役のシンガーで画家ということになります。シンガーとしては、50年にTV番組の「タレント・スカウト・ショー」で2位になり、そのショーに出演中に認められ、翌年にはコロンビアと契約、たちまちのうちにスター・シンガーの座をゲットします。デビュー当初は、ポピュラーなシンガーとして人気を得ていますが、本格的にジャズ・シンガーとしての存在感を示した最初期の音源が本アルバムにあたります。54年のコロンビアへの吹込みで、チャック・ウェイン(g)を中心としたセプテットがバックを担い、スタンダードのほか、ラベル作曲の「レベリー」が原曲の「マイ・レベリー」などラブ・ソングを中心に切々と歌う、若きトニーの一面を捉えた記録として長く聴き継がれる1枚と言えるのではないでしょうか。バックのサウンドが強調されるアルバムではありませんが、間奏部ではメンバーの短いソロも聴け、中でも、音源の少ない名手、デイブ・シルドクラウト(as,ts)の参加は貴重で、それを目当てに購入したジャズファンも少なくないでしょう。

●スウィンギン・ダウン・ブロードウェイ/ジョー・スタッフォード
 30年代末頃からトミー・ドーシー楽団で歌っているジョーは、40年代半ばに設立間もないキャピタルの専属シンガーとなりヒットを連発します。バンド・リーダーで編曲者のポール・ウェストンと結婚した52年前後にコロンビアに移籍し、アルバムも続々とリリースすることになります。本アルバムは57~58年のレコーディングで、54年頃にリリースした『シングズ・ブロードウェイズ・ベスト』の続編ともいえる内容です。「前編」と同様に夫君のポール・ウェストン楽団をバックに、タイトルどおりミュージカル・ナンバーを素材にした12曲を華麗に聞かせます。“トランペット・ヴォイス”と称されるジョーの歌声ですが、ここでは、オーケストラのリード・トランペッター、コンラッド・コゾーによるオブリガートやドン・ファガーキスト(tp)のソロ・パートなどもジャジーなムードに一役買っています。後にジョーは、コロンビア時代のアルバムの利権を買い取り、コリンシアンという自主レーベルから再発するようになりますが、日本ではCD時代になっても、このアルバムなどもオリジナル仕様で再発されています。

9月25日の曲目 26日の曲目 27日の曲目 28日の曲目 29日の曲目  
※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。

武田清一

出演:武田清一

1970年代にフォークグループ「日暮し」の一員で「いにしえ」という大ヒットを残した武田氏は、アナログレコードの大ファンで、ジャズヴォーカルを中心に3000枚を越えるコレクションの持ち主です。自宅では二つのオーディオを音楽によって使い分け、CDでは得られないアナログサウンドを楽しんでいます。

上原 昇

出演:上原 昇

横浜在住。ジャズを聴き始めたのはハタチの頃から、地元『ちぐさ』によく通いエヴァンスやコニッツなど”白人系”ジャズに酔いしれる。もう一つ『ジャズ批評』から多くを学び、その恩返しをと。ヴォーカル(主に白人系)やボサ・ノヴァ(サンバではない)に神経を集中する日々。中途半端なコレクションはしてないつもり。

茂木亮

出演:茂木亮

1960年5月札幌出身、ピアニスト、スティーヴ・キューンのマニア、完全コレクター(自分が生まれたとき、キューンはコルトレーン4のメンバーだった)で、ジャズ批評誌などにキューン関連の情報を発信している。中野新橋のジャズ喫茶・ジニアスに20年以上通い続け、リスナー、レコード・コレクターとしての極意(?)を習得。高田敬三氏主催の「ボーカルを楽しむ会」では、年に一度ほど例会の案内係を担当。