コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第124回/Conclusionの新電源PS-12VRを自宅試聴した[村井裕弥]
Conclusion(コンクルージョン)。港北ネットワークサービスのオーディオ・ブランドだ。代表作はミュージックバード専用チューナーC-T1CS、ルビジウムを使った外部クロック・ジェネレーターRB-2などだが、この夏「音楽を奏でるための電源ユニットPS-12VR」(税込48,600円)が仲間入り。要するに、ミュージックバード・チューナーのACアダプターをこれに替えると、俄然音質が向上するという製品。ロングセラー機CDT-1AMとその後継に当たるCDT-3AFDに対応しているから、過半数のリスナーが、このPS-12VRを使えることになる。 |
Conclusion PS-12VR Conclusion C-T1CS |
【ACアダプター①】
○ 全体的に響きが安っぽい。
○ 他機種よりデジタルノイズ臭い音。
○ アコースティック楽器が、まるで打ち込みのような雰囲気で再生される。
○ 低音が、わざとらしい。鼓膜を押す圧迫感でしかない。
○ 音量を上げづらい。
○ 長時間の試聴もつらい。
【ACアダプター②】
○ 刺激感はそれなりに少ない。ナチュラルといえば、それなりにナチュラル。
○ 陰翳が薄い。
○ 音色もどことなく薄い。ひどく悪くはないのだけれど、全体的に響きが安っぽい。
○ 「演奏者の真剣度」が低く感じられる。
【オーソドックスなトランスを使ったアナログ電源 2万円台】
○ アナログライクな音。ここまでのどれとも異なる音調。なめらかかつまろやか。
よい意味のねっとり感(特に低域)。
○ 古い録音は古い録音らしく、新しい録音は新しい録音らしく再生してくれる。
○ 雰囲気描写が巧み。
【港北ネットワーク試作機】
○ 静けさがまったくの別物。
○ 品位が段違い(電源だけの違いとは思えない)。
○ ピアノはピアノらしく、ヴァイオリンはヴァイオリンらしく、自然な音色で再生される。
○ とても聴きやすいが、ハイを丸めたり、Dレンジを狭くしたりした音ではない。
○ レンジ感がより広く、立ち上がりもより急峻。それなのにうるさくないのだ。
○ 大音量再生・長時間試聴のストレスを感じない。どんどんボリュームを上げたくなる。
4か月前は、こんな感じだった。いま手元にあるのはPS-12VRだけだから、あの試作機との違いを厳密に比較することはできないが、他の電源をきょう改めて聴き、そのあとでPS-12VRを聴くと、「さらに差が拡がった」「試聴機の水準を確実に超えた」という印象。さすが港北ネットワークだ!
他機と同じようにまとめてみると、
【港北ネットワークPS-12VR】
○ 試作機は「聴きやすい」「雑味がない」それでいて「クォリティが高い」という印象であったが、
「高音質であること」をより強くアピールする音調。
○ 映像でいえば、照明がより明るくなり、その分ピントが深くなり、立体感が増したかのよう。
○ 他機種と比べると、「明瞭度アップ」「直接音の実在感アップ」「抑揚がより大きく、積極的に演奏している」。
○ 毎日残業で、深夜にしか聴けないという人にはありがたい傾向。小音量でも細部がボケない。
「奏者が何をねらって弾いているか」が実にわかりやすい。
「照明がより明るくなる」「明瞭度アップ」が気になる方は、チューナー天板の振動を止める、ケーブルを交換する等で調整するといった手法で、メリットだけを享受することができる。
CDT-1AMあるいはCDT-3AFDをお使いの方は、まず貸出機を申し込んでみてはいかがか。3日間の自宅試聴が可能だが、最初の5分間で勝負はあっけなく付く。それくらいわかりやすい違いなのだ!
(2016年7月20日更新) 第123回に戻る 第125回に進む
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