コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第130回/空いている端子を、とりあえずふさいでみたら[村井裕弥]
四半世紀くらい前のことだ。オーディオラックの背面、アンプの出入力端子(使われていない空き端子)に降り積もるホコリがやけに気になった。もちろんまめに掃除をすればよいのだが、それがなかなかできない(なんたって裏だから)。 |
オヤイデ電気 RCA端子ショートピンプラグ |
そのとき見つけたのが、某社製ピンジャックキャップ。「おお、これだ! これさえあれば、背面のホコリを気にせずにすむ」と喜んで飛び付いた。早速それで、空いているすべての出入力端子をふさいでみた。
――そうしたら、音が急につまらなくなった! 艶が消え、立ち上がりが鈍くなり、音楽の抑揚も小さくなった。あわててピンジャックキャップをはずしたのは言うまでもない。幸い、音はすぐ元のクォリティに戻った…。
パナソニック USBパワーコンディショナー(非売品) アコースティックリヴァイブ USBターミネーター「RUT-1」 アコースティックリヴァイブ LANターミネーター「RLT-1」 |
しかし、世の中にはえらく冴えた方がいらっしゃるもので、その数年後「音を悪くしないピンジャックキャップ」どころか「積極的に音をよくするピンジャック・ショートピン」というのが幾つか世に出た。要するに、空き端子は一種のアンテナで、周辺の高周波ノイズを拾ってしまう。だからそうならないよう、入力端子をわざとショートさせ、高周波ノイズをシャットアウト。さらには微細な震度を抑える効果もあると謳われた。 |
今年になってからは、これと似た使い方をするGe3 鼓筆LAN(こふでらん)も脚光を浴びている。筆者はおおよそ1か月前、LAN用のスイッチングHub、BUFFALO BS-GS2016/Aをリファレンス・システムに導入したが、目覚ましく音質改善されたのち、わずかに刺激感(大音量再生時のうるささ)を感じるようになった(このスイッチングHubについては、『レコード芸術』10月号P233参照)。しかし、この刺激感はBS-GS2016/Aの作りが悪いのではなく、Hubによって空きLAN端子を増やしたことによる高周波ノイズの混入であろう。こういうときこそ、鼓筆LANの出番なのではないか!? |
Ge3 鼓筆LAN BUFFALO「BS-GS2016/A」 |
スイッチングHubの空き端子に、鼓筆LAN2本を差してみた |
ここまで書いたのち、Ge3羽田昇正氏にメールで「なぜこんなにも効くのか」を問い合わせた。企業秘密なので、内容を明かすことはできぬが、電気的処理と物理的処理(振動対策)をぬかりなくおこなっているようだ。 |
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