コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第156回/「ヤエレコ」が一駅となりの「OTOTEN」に出張した5月  [田中伊佐資]








「OTOTEN」で行われたヤエレコ特別編


●5月×日/実施時期が春になり、会場も東京国際フォーラムに移った「OTOTEN」だが、ティアックから「当社のブースでいつもの『八重洲でレコードを聴きまくる会』をやってもらえませんか」とうれしいオファーを頂戴する。二つ返事でディスクユニオンJazzTOKYOの生島店長と壇上に上がることになった。

 無論オーディオはティアック製品で固められている。ただスピーカーだけがエラックの立派なトールボーイ型だった。これはサウンド・ステージが広く、リハーサルでは生島さんがかけるプレスティッジのハンク・モブレーがいい感じでブワッと鳴った。


 ところがぼくが温存しておいた『クリムゾン・キングの宮殿』からのシングル盤B面「21世紀の精神的に病んでいる人」(かつての邦題はレコ倫により使用不可)がドーンと前に飛び出してこない。どう考えてもこのままでは生島さんに負ける。

 そこで開始10分前という切羽詰まった状況で、サブとして脇に置いてあったソナス・ファベールの小型スピーカーへ強引に変更した。時間的にもう元へ戻すことができないし、サイズダウンさせるのは、のるかそるかの勝負だ。どうやらこちらのほうがマッチングはよく、取りあえずこれで行くことに決まった。すでにお客さんは着席しているので、なにやってんだかの光景ではあったが。

 生島さんは松原みきの「ニートな午後3時」をいきなりかけ「いまニートといえば良くない意味ですけど、当時はお洒落だったんですね」と場内をわかした。オチを言いたいがために曲をかける。生島さん、さすがだわ。

当日かけたレコード。







生島さんが

・ニートな午後3時/松原みき(シングル)

・モブレイズ・メッセージ/ハンク・モブレー(オリジナル)

・モブレイズ・メッセージ/ハンク・モブレー(英国高音質盤)

・ライク・ア・ヴァージン/吹田明日香(シングル)

の4枚。

ぼくは

・21世紀のスキッツォイド・マン/キング・クリムゾン(シングル)
・17-11-70+/エルトン・ジョン

・フリーホイーリン・ボブ・ディラン(Mobile Fidelity)
の3枚。



キング・クリムゾンの『エピタフ/21世紀のスキッツォイド・マン』

 


 次回はいつもの東京・八重洲オンキョービル2F「Gibson Brands Showroom Tokyo」で7月1日(土)午後3時にスタート。ようやくこれで10回になりました。

●5月×日/ちょうど3年振りにオーディオの友人3人が来訪。インターホンが鳴り、モニターに映る彼らの髪型がどう考えても変。迎え入れて近くで見ると、なんとアフロヘアのカツラをかぶっていた。典型的な出オチ。これには笑った。
 実はオーディオアクセサリー誌で続いている横浜のアフロオーディオ店内探訪記「アフロで行こう」を彼らは読んでいて、ぼくがいつもアフロのヅラで(アホづらで?)登場しているのにあやかっていた。わざわざ無駄なもの買ってかぶって来るなんてバカバカしいけど好きですね、こういうの。

 友人の1人はオーディオ専用のソーラーパネル電源を自作し愛用している。ぼくが使っているM2TECHのフォノイコライザーを、ソーラーで動かしてみましょうとパネルや人工太陽こと裸電球など一式を持ってきてくれた。

 それをつなげた音は素晴らしく澄みわたっていた。押し出しが弱くなるかと懸念していたが、エネルギー感も十分にある。これはいい。しかしどんだけAC電源にはノイズが混入しているのだろう。

 デメリットはある。「マイ発電所」は場所をとる。大型の電源コンディショナーを置くよりかはましだけど、うちではちょっと無理かなあ。でも、もしも商品化されたら十分需要があると思います。

●5月×日/三軒茶屋のジャズバー「ゴーレム」へ。「ジャズ喫茶」というと、なんとなくオーディオに力が入っている感じがする。だが「ジャズバー」となるとオーディオはもっと後ろに位置し、アルコールが主体になるような先入観がぼくにはある。











三軒茶屋「ゴーレム」店内




 だがゴーレムは違う。バーでありながら、というか店でありながら、もろにマニア宅の匂いがする。スピーカーは3種類あって日替わりで鳴らしている。JBLのフルレンジLE8Tシステム、タンノイのレクタンギュラーヨーク(ユニットはモニターゴールド)、それにJBL4345(エンクロージュアはサンスイ製EC-146)。

 音にこだわるマスターはインシュレーターでチューンしているようだ。スピーカーそれぞれにうまく特徴が出ているので、小さいLE8Tが鳴っている日に訪れてもハズレ感はないだろう。

 これで聴いたサラ・ヴォーンはよかった。スパッとヌケがいい乾いた音。同じLE8Tを搭載したメヌエットがうちに来て早1か月。まだまだだなと思った。

(2017年6月9日更新) 第155回に戻る 第157回に進む 

田中伊佐資

田中伊佐資(たなかいさし)

東京都生まれ。音楽雑誌編集者を経てフリーライターに。現在「ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」「ジャズ批評」などに連載を執筆中。著作に「オーディオそしてレコードずるずるベッタリ、その物欲記」(音楽之友社)、「オーディオ風土記」(DU BOOKS)、監修作に「新宿ピットインの50年」(河出書房新社)などがある。

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