コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第160回/ この音を、ぜひどこかで体験してほしい![村井裕弥]







 今月も取り上げたいネタが多いので、少しずつ紹介させていただく。

 まずは入口から。四十七研究所のCD専用プレーヤー4741“IZUMI”が要注目だ。先日音楽関係者に話したら、「今どき、CD専用で66万円もするんですか!?」と驚かれた。

 しかし、この66万円、実際に音を聴いてみると、「むしろ安い」と感じられるのだ。くわしい記事は『Stereo』6月号P102に書いたが、CDドライヴメカと左右独立DACチップがI2S(アイスケアエス)接続されているところと別筐体電源が3個も付いているところがミソ。



  4741“IZUMI”






『ステレオ』2017年6月号

 I2S接続のメリットについては、すでに多くの方がレポートを寄せておられるので、ぜひ検索していただきたい。手っとり早く言うと「もっと何年も前から、I2S接続にするべきであったのに、いろいろな都合でそれが放置され続けている」という話だ。

 再生音は、初期CDプレーヤーで気になった刺激感が皆無で、CDには盛り込めないとあきらめていた繊細な情報がほとばしり出る(だから“IZUMI”なの?)。

 忠実度が高く、「正確な再生」という言葉がふさわしいが、きまじめで堅苦しい音ではない。これまで聴き取れなかったニュアンスが当たり前のように再生されるから、最初はとまどうであろうが、録音現場に居合わせたCDなどかけると「忘れかけていた、その日の感激(ああ、これは確かにこういう風に弾いていた)」がよみがえってくるから、「適当に味付けして、上手に聴かせるプレーヤー」でないことは明らか。




 アンプでは、マランツPM-10が要注目。同社のサイトには「リファレンスアンプであるステレオコントロールアンプSC-7S2とモノーラルパワーアンプMA-9S2でしかなし得ることができなかった(中略)3つの要素を一筐体に統合する」とあるが、76万円のプリと73万5000円のモノーラルパワーアンプ(当然2台買う)でしかなしえなかったことを、60万円のプリ・メインアンプで成し遂げる!? そんなことが本当に可能なのだろうか。

 これに関する記事は、『レコード芸術』6月号P215に書いた。くわしくはそちらをお読みいただきたいが、4月に音楽之友社試聴室で聴いた音が、まだ鼓膜に残っているかのようだ。



PM-10






『レコード芸術』2017年6月号


○ 70キロもある巨大スピーカーを、いともたやすく鳴らし切る(それも「力で無理やり鳴らした」という音ではない。振動板が別の何かに変わったかのような軽やかさなのだ)。

○ 直接音の輪郭にわざとらしさがなく、シルキータッチの間接音と絶妙に溶け合う。

○ これほど濃密で味わい深いホールトーンは初めて聴いた。

○ これまで「凡庸」と感じていた演奏が「実は名演であった」と気付かせてくれる。





 ほかにも書きたいことは山ほどあるのだが、すべて書き尽くすと、「そんなバカな」と言われてしまいそうなので、このあたりにとどめておく。

 マランツは昨秋出したSACDプレーヤーSA-10が特大満塁ホームランであったが、このPM-10はそれ以上の大当たりかもしれない。

 スピーカーでは、マークオーディオのNature Collectionsシリーズ、NC10 WalnutとNC7 Walnutが要注目。「なんだ、要するに小型フルレンジか」で済ませてしまう方もいらっしゃろうが、出てくる音は従来の小型フルレンジとまるで別次元。目隠しして聴かされたら、ユニットサイズを当てられる人はまずいないのではないか!?




 NC10 Walnut(左) NC7 Walnut(右)







AMP-KUMAMOTO(左)『ステレオ』2017年8月号(右)


 プライスリストを見て、「ああ、1本この価格なら安いな」と思っていたのだが、のちにそれがステレオペアの価格だと知らされ、いたく感激したことも書き添えておこう。

 先月当連載で取り上げたバクーン・プロダクツ AMP-KUMAMOTOに関する記事は、『Stereo』8月号(P79-81)に載っている。先月盛り込めなかったことをずいぶん書いたので、ぜひ併読していただきたい。

(2017年7月20日更新) 
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村井裕弥

村井裕弥(むらいひろや)

音楽之友社「ステレオ」、共同通信社「AUDIO BASIC」、音元出版「オーディオアクセサリー」で、ホンネを書きまくるオーディオ評論家。各種オーディオ・イベントでは講演も行っています。著書『これだ!オーディオ術』(青弓社)。

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