コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第181回/通常CDに残されていた最後の伸びしろ[村井裕弥]
マスタリング・エンジニアからは、こんな話も聞く。「何日もかけて、理想的な音に仕上げたのです。しかし、そのプレス用マスターをプレス工場に渡すと、似ても似つかない音のCDができてくる! いったい俺は何のために苦労したのか!?」
そのような悩みをかかえている関係者、かなりの数いらっしゃるのではないかと推察する。
そのあたりの問題を一気に解消してくれるのがガラスCD(クリスタルディスクとも呼ばれる)。元々耐久性向上のために作られたと聞くが、2006年私たちの前に現れたときは「デジタルデータの読み取りが数段正確になる」というふれこみであった。 実際聴いてみるとびっくり! それまで感じていた「CD臭さ」「デジタル臭さ」をまったく感じないのだ。これまで感じていた「CD臭さ」「デジタル臭さ」は、ポリカーボネート臭さだったってこと? カラヤン指揮ベルリン・フィルによるベートーヴェン第9、村治佳織がソロを弾くアランフェス協奏曲、コルトー、ティボー&カザルスによる《大公》などがリリースされたと記憶しているが、1枚5万円から20万円もしたから、結局1枚も買えなかった…。 |
さてどうする。ガラスCDが主流になれば多くの問題が解決されるのだが、安くても1枚5万円では、ほとんどの方が買えない! ガラスCDに近い光学特性を持ち、価格はCDに限りなく近い新ディスク。そんなのが出てくれるとうれしいのだけれど…。 そんなことを夢想していたら、2015年春、メモリーテックがUHQCD(アルティメット・ハイクォリティCD)という新技術を発表。通常CDとどこが違うのかについては、同社のサイトをご覧いただきたいのだが、「ガラスCDに近い光学特性」「価格はCDに限りなく近い」の2条件をクリア。気が付くと、わが家にも多くのUHQCDがあふれている!(井筒香奈江からフルトヴェングラーまで) |
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最後に、そんなUHQCDのベストワン候補をあげて、記事を締めくくろう。ヴィーナスレコードのボックスセット『Venus Premium 25』。同レーベルのヒットアルバム25タイトルにイゾラ・ジャズ・フェスティヴァルのライヴ音源を加えた26枚組だ。 |