コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー


第2回/微笑む音楽の鳥

 用事が終わって一戸建ての自宅に帰ってくると、二階のテラスの手すりのところに設置したミュージックバードの衛星アンテナが見えてくる。見る度に、MUSIC BIRDのロゴが描かれているので、「ああ、ミュージックのバードなんだな」と思う。音楽の鳥である。ステキな名前だ。コウノトリのように音楽を運んでくる鳥なのか、みずからのさえずりが歌になる鳥なのか。ちょっと冷静になって言うと、鳥のさえずりを音楽として聴けるか、ノイズにしか感じないかはこちらのココロのありようなんだと思う。


  鈴木裕、収録中~

 音楽とココロの関係にもそんなところがある。
 飢えたココロや澄んだココロ、美を求めているココロには音楽が頬笑んでくれる。いつもそういうココロ持ちでありたいものだが、人間は反面、欲望の生き物である。煩悩に囚われ、目の前の瑣事に右往左往する。しかしそれが人間だ。これから書くことはその右往左往の類いのことかもしれない。いやなに、たかがオーディオのことだ。

 ミュージックバードを聴くのにどうしているのか、という話を、村井さんの文章を引き継ぎつつ書いてみたい。

 チューナーは村井さんと同じくCDT-1AMDを使っている。
 光デジタル出力端子が付いた仕様で、この出力をエソテリックのK-03というSACD/CDプレーヤーのデジタル入力に接続。しかもエソテリックから同軸デジタル端子でふたたびデジタル信号を出力させて、単体のDAコンバーター、マイテックデジタルのSTEREO 192 DAに送ってからアナログ信号に変換している。なぜ、CDT-1AMDから直接、マイテックに入力しないかと言うと、使っているレクストの光ケーブルの長さが足りないからということもある。そんなことでいいのかと自分でも思うが、それでいいのだ。なぜならば音がいいからだ。こういうやり方をしているのでリポートとしての普遍性はないが、ミュージックバードの音はけっこういいと報告させていただきたい。

 オーディオアクセサリー類を使用しているのも効いている。
 CDT-1AMDの電源は別体式のアダプタータイプで、中身を開けて確認したわけではないが、ローコストのスイッチング式のはずだ。このアダプターと本体の間にNS(中村製作所)のクリーン電源NMMB01を使っている。中村製作所はトランスフォーマーのスペシャリストで、交差点の信号とか医療用機器のトランスを何十年にも渡って作ってきたメーカーである。


  ESOTERIC K-03




  MYTEK DIGITAL Stereo192

「CDT-1AMD」とNSのクリーン電源「NMMB01」

その動作の安定性や品質がきちんとしている点については日本有数の(ということはたぶん世界でも指折りの)会社と言っていいし、音楽好きのご主人がちゃんと開発しているのでそのオーディオ用電源関係の製品は基本的にまじめな、がっつりとした音の傾向を持つものが多い。CDT-1AMDにNMMB01を使うと、音の臭みが取れ、なめらかで聴きやすい音になる。女性のお化粧にたとえて言えば、肌を整えクスミをなくすだけでなく、あまつさえチークに薄く紅を入れたような音の傾向さえ持ってしまう。健康美である。

 あなたのミュージックバードの音は微笑んでいるだろうか。

(2013年2月28日更新) 第1回に戻る  第3回に進む

鈴木裕

鈴木裕(すずきゆたか)

1960年東京生まれ。オーディオ評論家、ライター、ラジオディレクター。ラジオのディレクターとして2000組以上のミュージシャンゲストを迎え、レコーディングディレクターの経験も持つ。ライターの仕事としては、オーディオ、カーオーディオ、クルマ、オートバイ、自転車等について執筆。2010年7月リットーミュージックより『iPodではじめる快感オーディオ術 CDを超えた再生クォリティを楽しもう』上梓。(連載誌)季刊『オートサウンド』ステレオ・サウンド社、月刊『レコード芸術』、月刊『ステレオ』音楽之友社、季刊『オーディオ・アクセサリー』、季刊『ネット・オーディオ』音元出版、他。文教大学情報学部広報学科「番組制作Ⅱ」非常勤講師(2011年度前期)。オートサウンドグランプリ選考委員。音元出版銘機賞選考委員(2012年4月現在)。

  • オーディオって音楽だ!
  • お持ちの機器との接続方法
    コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」バックナンバー