コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第20回/冷蔵庫とエアコン





 専用のオーディオルームを構築している方には無用の話題だし、最新の白モノ家電の出来の良さは先刻承知という人にも何を今さらな件なので書こうか書くまいか迷ったのだが、参考になる方もいらっしゃるかもしれない。

 うちのメインのオーディオを置いてある部屋はフツーの家の、フツーの居間で、スピーカーと反対側には台所があり、冷蔵庫も置いてある。以前にネコのことを書いた時にも1992年の暮れに現在の自宅を建てたことを話題にしたが、その時から使ってきた冷蔵庫が昨年夏に壊れかかって交換。そして、今年の夏には居間のエアコンもついに暖かい「冷風」しか出なくなり、これも交換した。つまり、20年以上もエアコンと冷蔵庫は持ったということになる。この両者の、電源コンセントを通して流れるノイズ成分もオーディオ的な話題だし、省エネの観点からはこうやって使い続けることがいいかどうか問題ではあるが、今回は単純にその動作音のことを書いておきたい。



冷蔵庫とオーディオの関係

 該当する方、冷蔵庫のモーターの音とか、エアコンの風切り音、気になりませんか。

 自分はもちろん気になっていた。特に冷蔵庫が壊れかかってきた時にはモーターが断末魔の悲鳴を上げる体で、ブッブッブーンという盛大なノイズをまき散らしていたものだ。対策としては、集中して音楽を聴きたい時には冷蔵庫の電源を切っていた。扉を開けなければ1~2時間は氷は溶けだして来ない。そういった事情なので、新しい冷蔵庫を選ぶ時のポイントは動作音だった。電気屋さんの売り場に行くと貼ってある共通の仕様表みたいなところに何dBという表示が出ているので、それを参考に選んだ。ちなみに各メーカーのウェブサイトには意外と動作音のことは出ていないのはどういうことなのか。ま、とにかく表示的には最も静かな部類の冷蔵庫を選択。ただし、1年くらい使っての満足度は60点くらいだ。昼間は気にならないが、夜の寝静まったあとではまだちょっとうるさく感じる。こういう場合は、以前と同じく冷蔵庫の電源を切っている。

 さて、エアコンである。







新しいエアコン

 これは奇しくも(というか、よくあることらしいが)一番暑かった今年の8月上旬に壊れ、8月19日に新しいものと交換した。こちらもポイントは音だがその動作音の表示の数字以前に、まず冷房能力の容量の大きいものの方が良かろうと考えた。具体的にはうちの居間の面積は14畳くらいだが、そもそも18畳用の、1~2ランク容量の大きいもの(定格能力で言うと、5.6kW)を選んでみた。クルマで言えば、排気量の大きいエンジンで、低いエンジン回転数でしずしずと走るようなイメージを目指したのだ。実際に交換してみて、この考え方は間違ってはいなかったようだ。また、風量に「しずか」という、ファンの回転数としては一番低くなるモードがあり、たしかにうるさくはない。このあたり、多分に主観的な問題なのでより高い静粛性が欲しいという方には村井裕弥さんが『ステレオ』誌で紹介していたアニーグループの「光冷暖」システムや、かつてレクストの白山に設置されていたPSグループのHR-C等を参考にしていいただきたい。個人的には現在の一般的なエアコンでもまあまあ許せる動作音で、冷房性能もクリアしていると感じている。そもそも以前のエアコンよりも冷気がやさしいし、扇風機を使っているかのように風がこちらに来るといった、人や明るさを感知して向きや強さを加減するインターフェイスが良く出来ているのだ。

 

 イマドキの製品、それくらい当たり前だよとおっしゃる方はごもっとも。21年もたてば切磋琢磨してこの程度に良くなっているのは当たり前なのだ。

 と、考えて、ではこの21年間でオーディオはどれくらい良くなったのか。全体的な進みはのろいような気もするが、一番良くなったのはスピーカーのパフォーマンス。そしてハイエンドの性能を普及価格帯で出せるようになったことじゃなかろうか。逆に、高額なオーディオが無闇に高額になったような気がするのは気のせいか。

 と、やはり話はオーディオに跳ね返ってくる。

(2013年8月31日更新) 第19回に戻る 第21回に進む

鈴木裕

鈴木裕(すずきゆたか)

1960年東京生まれ。オーディオ評論家、ライター、ラジオディレクター。ラジオのディレクターとして2000組以上のミュージシャンゲストを迎え、レコーディングディレクターの経験も持つ。ライターの仕事としては、オーディオ、カーオーディオ、クルマ、オートバイ、自転車等について執筆。2010年7月リットーミュージックより『iPodではじめる快感オーディオ術 CDを超えた再生クォリティを楽しもう』上梓。(連載誌)季刊『オートサウンド』ステレオ・サウンド社、月刊『レコード芸術』、月刊『ステレオ』音楽之友社、季刊『オーディオ・アクセサリー』、季刊『ネット・オーディオ』音元出版、他。文教大学情報学部広報学科「番組制作Ⅱ」非常勤講師(2011年度前期)。オートサウンドグランプリ選考委員。音元出版銘機賞選考委員(2012年4月現在)。

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