コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第256回/新型コロナウイルスの影響で取材自粛の対策を考えた4月[田中伊佐資]
●4月×日/新型コロナウイルスによって人々が外出を自粛している日々が続いている。
といっても僕の場合は、以前からいつもそうですみたいな引きこもり気味なので「ステイ・ホーム」とか「巣ごもり」とかキーワードが浮上していても、さほど新味がない。 | ![]() T. Rexの『Electric Warrior』。このTシャツはカッコよすぎて着られないと筆者は語る |
自宅シリーズを続けるのは仕方ないがどうも冴えない。どこかに取材へ行きたいし、その候補もあがっているが、緊急事態宣言が解除されていない以上、慎むべきだろう。
ヴィニジャンに限っていうと、外出しないで済む方法を考えるに、過去に「アンケート企画」を2回ばかりやったことがある。次もまたこれかもしれない。
最初にやったのは「レコード袋の道に入ると袋小路に入る」というタイトルで「お持ちのレコードは、内袋と外袋の口が、上・左・右どっちを向いてますか」という趣旨だった。
編集担当の吉野さんは「そんなのネタになりますかね」とひどく懐疑的だった。
![]() Jamie Lidellの『Building A Beginning』は玄関に飾りたい絵柄 | 実は僕も読み物として成立できるかなと危惧していたが、その問いかけをレコード好きにするとそうする理由や蘊蓄が飛び出してきて、すごく興味深かった。よくぞ訊いてくれましたと話が盛り上がるのだ。 その次が「こんなレコジャケTシャツ、私は着たい」。これは新著に回答者を増やして掲載している。 ミソは好きなジャケットを訊いているのではないところ。いくら好きでも、それを胸に付けるのは憚れるケースもあるはずだ。 たとえばヒプノシスが制作したT. Rexの『Electric Warrior』。むちゃカッコいいジャケ。なのでもう普通にTシャツ化されている。 だけど僕みたいなおっさんにしてみればカッコよすぎて眩しい。このTシャツ着ていたら「なに気張って若ぶってるの」と思われちゃう気がする。 そうかと思うと逆にパッとしない絵柄でもTシャツにすると妙に映えることだってある。 |
そんなことで、次にやるアンケートの内容を考えているのだが、テーマが存外にまとまらない。たとえばジャケつながりでこんなのどうだろう。
▼私が思うこれぞエロジャケ ▼このジャケットを自宅の××に飾りたい | ![]() Grant Greenの『Funk In France』はキッチンに合うデザイン |
![]() Eric Johnsonの『Europe Live』は見開きにすると内容の印象までが変わる | ▼私の好きなゲートフォールド(見開き)ジャケ 表の面だけに見慣れているジャケットでも、見開きにすると新鮮な驚きをもたらすものはたくさんある。ああ、こうなっていたのか、みたいな。 しかし実作業のことを考えると、皆さんレア盤を選ぶ傾向があるので、その画像を入手するのが大変だ。ましてや雑誌掲載に耐えられる解像度のものはネットでは見つけにくい。となると持ち主のジャケットを撮影しに行かなければならない。それでは外出自粛じゃなくなる。 再び棚を探してみてEric Johnsonの『Europe Live』がいまの気分かな。 もちろんジャケットから離れてもいい。 ちなみに僕はバキューム式のマシンを持っているけれど、ほとんど実践していない。「このレコードはメンテすればもっといい音になるな」と想像がつくと、まあいいかとそこでもう安心してしまう。面倒くさいので。 |
▼私のレコード再生で欠かせないアクセサリー、グッズ そんなことでこれから吉野さんに電話をして相談してみるつもり。だが「まあ、今回は休載にしてもいいですよ」とか言われて思いっきりコケたりして。 | ![]() 筆者が「レコード再生で欠かせないアクセサリー」はヴィンテージシステムに使うアームケーブルでモガミの超極細フレキシブル2芯シールド(3011) |
【田中伊佐資さんの新著 田中伊佐資さんがステレオ誌に連載中の突撃体験記「ヴィニジャン」をまとめたムックが音楽之友社から5月25日に発売されます。お楽しみに! 『ヴィニジャン レコード・オーディオの私的な壺』 | ![]() |
(2020年5月20日更新)