コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第4回/デジタルだからといって

 前回、「ミュージックバードの専用アンテナを、45センチ径から60センチ径に替えたら、音質が飛躍的に向上した」という話を書いた。そうしたら、早速「そんなことはありえない」という反響をちょうだいした。
 








オルソスペクトラム「GPS-777」



オルソスペクトラム「CCV-5」

 そういう人たちには到底信じてもらえない話を、今月も書く。前回「外部クロック装置を使って、ミュージックバードの音をさらに良くしている」という話を少しだけ書いたのだが、「そのあたりのことをもう少しくわしく」という声もあったので、まずはそこから。

 「外部クロック装置? なんじゃ、それは」という方には、「デジタル信号の足並みを揃えてくれる、メトロノームのようなもの」とお答えしておこう。幼稚園児の行進はかわいらしいが、リズム感の悪い先生が笛を吹くと転んでしまう。それと同じようなことがデジタル音楽信号の伝送でも起こるから、少しでも正確なクロック(メトロノームや笛にあたるもの)がほしいのだ。

 筆者は、紆余曲折の末、オルソスペクトラムGPS-777という外部クロック装置をチョイス。およそ2年間これを愛用している。「そんなものに20万円以上も使えるか」といわれそうだが、その音質は500万円クラスの外部クロック装置に匹敵。いや、ひょっとすると上なのではないかと感じている。

 しかし、この外部クロック装置というジャンル、いまだ十分な市民権を得ているとはいえず、これを接続するためのワードシンク端子(クロック入力端子)が付いたD/Aコンバーターは数えるほどしかない。筆者はたまたま、マイテックデジタルStereo192DSD DAC(半ば業務用)を使っているので、簡単につなげたが、ほとんどのお宅では直接接続できない。





 では、どうするか。直接が駄目なら、間接接続すればよいのだ。オルソスペクトラムから、CCV-5というクロックレシーバーが発売されているが、これをチューナーやCDプレーヤーのデジタル出力(同軸あるいはBNC)とD/Aコンバーターの間に挿入。GPS-777は、CCV-5に接続してやる。そうすることで、CCV-5を通過するデジタル信号は、GPS-777によって正しく整えられるのだ。

 ただし、筆者宅にあるチューナーCDT-1AMDには、光デジタル出力しか付いていないから、光デジタル出力をいったんオルソスペクトラムDR-3000(ジッター低減装置・現在は製造終了)に導き、同軸デジタル出力に変換。それをD/Aコンバーターに入力している。

 「なんとまあややこしいことを」「ようそんなことするわ」とあきれていらっしゃる方が多数と思われるが、こうやってGPS-777を使って、正しく整えた音を一度体験してしまうと、もうそれなしの音には戻れない。何ともデジタル臭く、ウソっぽい音に聞こえてしまうからだ。

 さっきも書いたように、筆者宅のD/AコンバーターはGPS-777の直接接続もできるので、前述のように間接接続した上に、直接接続もおこなっている。そうすることで、音はさらに生々しさを増し、アナログに幾らか近くなるのだから、これも一度はお試しいただきたい。



下段右がオルソスペクトラムGPS-777。
左は同CCV-5。上段はフィデリックスCAPRICE。
DAC兼プリとして使っている。



元はジッター低減装置だが、デジタル機器のスイッチャー、
光から同軸への変換機として使っている
オルソスペクトラムDR-3000(背面)。




 ちなみに、この間接接続+直接接続のことを、親しい仲間たちは「たすきがけ」と呼んでいる。GPS-777を持ち寄って、2台でこの「たすきがけ」をおこなったこともあるのだが、その効果がまた著しかった。
→その模様はこちら

 と、ここまでの話はこれまであちこちに書いたまとめのようなものだ。先日新たな発見があったので、それを紹介して、本日の締めくくりとしたい。



 GPS-777は、その型番が表すように、GPS(Global Positioning System)の電波を応用している。そのため、付属専用アンテナを、窓際、ベランダなどに出す必要があるのだが、筆者宅はすべての窓にインナーサッシが入っているため、アンテナを内窓に貼り付けたとき、どうしても電波が弱くなってしまう。しかし、正常動作を表すインジケーターはきちんと点滅しているから、「これで十分」のはず。

 しかし、ある日インナーサッシをあけ、アンテナを外側の窓に貼り付けてみた(やけにあたたかくなり、もう結露の心配もないから)。そうしたら、音像がより明確になり、S/N比感、レンジ感等も明らかに向上!
 またしても「そんなバカな」という話だ。しかし、実際やってみたらそうだったのだから、仕方ない。

 そういえば、広島の仲間たち(アコースティックサウンドクラブ)も「CD-Rを焼くとき、CDライターのレーザー光線をいくらか強めにして焼いてやると、再生音に大きな違いが出る」といっていた。

 要するに、デジタルだからといって、いい加減なことをしてはいけないという話。より大きなアンテナを使え。より電波の強いところにアンテナを置け。すべて根っこは同じだ。
(2013年3月19日更新) 第3回に戻る 第5回に進む 

【マックトン十番勝負!第2回 村井裕弥がプロデュース】 ※イベントは終了しました
管球式アンプの老舗ブランド「マックトン」が毎月最終金曜の夜、チャレンジ試聴会を開催しています(全10回)。
3月のテーマは「タンノイのスーパー・レッド・モニターを鳴らし切るのはどちらか!?」というガチンコ勝負。株式会社ヒット開発研究所のデビュー作『LTC101055S』がマックトン創業50周年記念セパレートと対決します。
  日時/3月29日(金)19:00~20:30
  場所/マックトン試聴室(西武新宿線・井荻駅から徒歩7分)地図
  プロデュース・司会/村井裕弥
  予約/必ず事前にお電話でご予約ください。
     TEL:03-3394-0131(マックトン)
  ※満席で予約が取れなかったときは、翌日土曜日も試聴できるようにします(但し講演等はなし)。こちらも要予約。

村井裕弥

村井裕弥(むらいひろや)

音楽之友社「ステレオ」、共同通信社「AUDIO BASIC」、音元出版「オーディオアクセサリー」で、ホンネを書きまくるオーディオ評論家。各種オーディオ・イベントでは講演も行っています。著書『これだ!オーディオ術』(青弓社)。

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