コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第5回/見るオーディオ




 オーディオは音楽を聴く道具だ。つまり、音楽を聴くのに必要だから使っている、世の中のおおかたの人にとっては。

 ただしこれがお好きな人というか、マニアと言うか、最近はオーディオファイルなんても言ったりするが、趣味の領域になるとオーディオ自体が目的になってくる。たとえばアンプやケーブルごとの音を楽しんだり、自分の好きな音楽表現に近づけたり、といったようにオーディオ自体に対する欲求というか、欲望が高まっていく。そしてオーディオにとって音が大事なのはもちろん、スガタ、カタチに対する欲望も高まってくるわけだ。デザインであり、意匠であり、そのオーディオが作られた設計思想とか精神性とかコダワリとかを反映しつつ、モノとしての存在感を持っていることが大事なってくる。









上段がESOTERIC K-03、
一番下がfocusriteのRED2


赤に塗った鋳鉄製ボックス

 なんせ、愛好しているわけだから。大枚をはたいて、多大な時間をかけているのだ。単に音が出りゃあいいってもんじゃないだろ。

 ただしこれ、きわめて主観的である。
 やたら大きくて周囲を圧倒するくらいのが好きな人。コンパクトで何かが凝縮した感じが好みの人。ツルツルな感触から離れられない人。ごっつい感じじゃないとダメな人。メカメカしいものにぐっと来るヤカラ、アールデコな様式美を持ったデザインにうっとりしちゃう御仁まで十人十色、蓼(たで)食う虫も好き好きである。

 また、アンプやデジタルプレーヤーといった、それぞれのコンポーネントのデザインもそうだが、それをどんなラックに置き、どんな部屋のインテリアの中に設置するのかというのも贅沢な楽しみである。というか、人によっては、オーディオの中に部屋があるような「やっちまった感」横溢の人さえいる。組み合わせ方もある。同じブランドで組み合わせた整然とした感じのシステムもあれば、ひとつとして近いイメージではないのに全体としてはなんかバランスが取れていてカッコイイものもある。よく言われるように「組み合わせの妙」と「妙な組み合わせ」は紙一重である。

 と、上から目線で書いているが、自分のシステムとなるとこの点に関しては(いや、関しても、か)自信がない。見た目から入らないタイプである。かなり雑然としている。しかも最近メディアが増えて、箱(コンポーネント類)の数が増大気味だ。そもそも日本政府同様、いろいろと予算が不足しているのだ。

 自分のデザインなどの好みを考えてみると、以前は「艶消しの黒好き」だった。マット・ブラック・フェチだったのだ。我ながらなんか地味だなというのもあったし、写真を撮っても見栄えは悪かった。しかし時が何かを解決してくれたのか、エソテリックのK-03というSACD/CDプレーヤー(アルミの銀色)を導入したあたりから色みが増え、決定的なのはフォーカスライトのパラメトリックイコライザー、RED2がその名前の通りアルミに赤色のアルマイト処理されており、ここからずいぶんシステム全体の感じが変わった。勢い付いて、電源系の鋳鉄製ボックスまで赤で塗っている始末である。
(2013年4月1日更新) 第4回に戻る 第6回に進む

鈴木裕

鈴木裕(すずきゆたか)

1960年東京生まれ。オーディオ評論家、ライター、ラジオディレクター。ラジオのディレクターとして2000組以上のミュージシャンゲストを迎え、レコーディングディレクターの経験も持つ。ライターの仕事としては、オーディオ、カーオーディオ、クルマ、オートバイ、自転車等について執筆。2010年7月リットーミュージックより『iPodではじめる快感オーディオ術 CDを超えた再生クォリティを楽しもう』上梓。(連載誌)季刊『オートサウンド』ステレオ・サウンド社、月刊『レコード芸術』、月刊『ステレオ』音楽之友社、季刊『オーディオ・アクセサリー』、季刊『ネット・オーディオ』音元出版、他。文教大学情報学部広報学科「番組制作Ⅱ」非常勤講師(2011年度前期)。オートサウンドグランプリ選考委員。音元出版銘機賞選考委員(2012年4月現在)。

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