コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第8回/地震が恐い。




 地震が恐い。落語で饅頭が恐いというのがあるが、地震はしゃれにならない。

 あんまりこんなことを言って恐怖心を煽るのもいけないし、もしかしたらこの原稿がミュージックバードのウェブサイトにアップされる前に大きな地震が発生しているかもしれないが、地震が怖いのは事実だ。ただまあ、怖がっているだけではなんなので出来る範囲で準備はしている。たとえば、3日分の飲み水と食料は用意しておこうとか、家具が倒れてもドアは開くような状態を確保しようといったこともあるが、ここで書くべきはオーディオのことである。
 1995年の関西淡路大震災の、ほんとに震源地の上の地区では圧倒的な縦揺れによってアップライトピアノの上部が天井に刺さったというから、どんな地震が来ても大丈夫というわけではもちろんない。最近流行りの言葉で言えば減災の考え方だが、それでもやらないよりはやった方がマシだろう。






 東日本大震災の地震発生時、僕は家のオーディオのある部屋にいて、揺れ始めてすぐにスピーカーを押さえていた。ティールのCS-7は高さが140cm。バッフルがレジンコンクリート製のためか重さは90Kgくらいある。当時はネジこみ式の純正のスパイクを使用していたのだが、横にあるスティール製のアナログレコード棚がグワングワンと大きく揺れて、レコード盤たちが液状化したように注ぎだし、そのレコードになぎ倒されるカタチでスピーカーも倒れた。全体重をスピーカーの倒れない方向にかけたが、かなわなかった。

 その後、東京在住のいろんな人と話したのだが、被害としてはトールボーイ型スピーカーが倒れたとか、オーディオラックからアンプやプレーヤーが落ちた例が多かったようだ。あるいは太いケーブルのおかげで、ケーブルは損傷したがコンポーネント自体は落ちかかった状態で止まったというのも聞いた。スピーカーについて言えばひとつの要因として、スパイクがスパイク受けから外れ、床などに直接刺さり、そこを支点として倒れるというのが典型的な転倒例だった。

 と言うことでうちではこんな対策をしている。
 それ以前からスパイクのネジ山とスピーカー本体側のナット側のネジ山が傷んでいて、高さの微妙な調整がうまく出来なくなっていたこともあり、地震の後にスパイクと受けのナットも取り外した。そしてハーモニクスの木製のインシュレーターの3点支持というセッティングになっている。ただしこれは地震対策としては30パーセントくらい。



THIEL CS-7を支える突っ張り棒!


突っ張り棒はヒモでしっかりと固定

 密かに励行しているのが突っ張り棒の存在だ。これは言うまでもなく100パーセント地震対策である。見た目が芳しくないので、雑誌等の取材でうちのオーディオが登場する時でも見せたことはないのだが、丈夫な造りで長さ調節の出来るつっかえ棒を探してきて、落ちないようにヒモで止まった状態にしている。ヒモは荷造り用のポリプロピレンのものだ。このヒモは新聞をまとめたりするのに使うが見た目は悪いもののたしかに抜群の引っ張り強度だ。蛇足ながらこのヒモはカルダスのスピーカーケーブルの中とか、オヤイデの電源ケーブルの内部に使われている素材でもあり、振動吸収性もいい。それでうちでは電源ケーブルを支えたりするのにも使っている。

 念のために書くが、つっかえ棒を使用するのは寝る時とか外出する時だ。ミクロ単位の振動コントロールといった音質対策ではないので誤解なきよう。

(2013年4月30日更新) 第7回に戻る 第9回に進む 

鈴木裕

鈴木裕(すずきゆたか)

1960年東京生まれ。オーディオ評論家、ライター、ラジオディレクター。ラジオのディレクターとして2000組以上のミュージシャンゲストを迎え、レコーディングディレクターの経験も持つ。ライターの仕事としては、オーディオ、カーオーディオ、クルマ、オートバイ、自転車等について執筆。2010年7月リットーミュージックより『iPodではじめる快感オーディオ術 CDを超えた再生クォリティを楽しもう』上梓。(連載誌)季刊『オートサウンド』ステレオ・サウンド社、月刊『レコード芸術』、月刊『ステレオ』音楽之友社、季刊『オーディオ・アクセサリー』、季刊『ネット・オーディオ』音元出版、他。文教大学情報学部広報学科「番組制作Ⅱ」非常勤講師(2011年度前期)。オートサウンドグランプリ選考委員。音元出版銘機賞選考委員(2012年4月現在)。

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