コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第91回/ちゃんとした使い方をするだけで、ここまで化けるアクセサリーもある! [村井裕弥]
兵庫県西宮市に、Ge3というアクセサリーメーカーがある。代表的な製品は、銀蛇というケーブル(コラム第82回参照)。芋蔓というスピーカーケーブルも好評だ。近年は、要石25という仮想アースも高く評価されている(『Stereo』誌1月号P60で推奨したところ、3月号P56で生形三郎氏が、その効果を検証してくれた)。雲泥というインシュレーターもわが家の必需品なので、語りたくて仕方ないのだが、先を急ぐ。 今回紹介したいのは「竜巻5号」という製品だ。Ge3のWebサイトではこれを「『超結界機器用』5個分を1つのケースに入れたもので、効果や使い方は超結界機器用と同じです」と紹介しているが、そもそも多くの方には「超結界機器用」が意味不明であろう。 そこで超結界機器用の説明を見ると「いろいろな機器の下や内部に設置するだけで、マイナス情報から守る特殊なフィールドを作り、機器の品質や強度、加工精度などを向上させます。それにより機器本来の設計値に近い性能を発揮させることができます」とある。要するに「オーディオ機器を、音を悪くする要素(エネルギー)から守ってくれるアクセサリー」だというのだ。 それがなぜ「竜巻」になるのか。Ge3では、以前からトルネード貼りというのを推奨していて、オーディオ機器の下(四隅に1個ずつ)とオーディオ機器の上(こちらは十字方向に1個ずつ)に計8個貼り付けることで、竜巻のように回転するフィールドが生じ、機器をより強固にガードしたり、持つ力を最大限発揮できるようにしたりするのだという。 Ge3の掲示板などを見ると、早々とこの製品を購入したユーザーが、率直な感想を書き込んでいる。7月11日(土)にDYNAUDIOショールーム「on and on」で開催された試聴会(音元出版主催 講師:林正儀氏)のレポートを寄稿されている方も何人かいる。それらを読んでいると、「どうして自分も参加しなかったのだろう」という思いに駆られる。 幸いGe3には「お試し貸出サービス」という制度がある。返却時の送料を負担し、試聴後アンケートに答えられる人は、2週間製品を借りることができるのだ。試聴用の「竜巻5号」は、申し込みの2日後くらいに届いた。 縦3センチ×横4センチ×高さ2センチ。これを貼ることで、オーディオ機器をマイナス情報から守れる? しかし、多くの人たちがこれの効果を認めているのだ。否定するにしても肯定するにしても、まずはきちんとテストしてみなくては。 ここで困ったことがひとつ。Ge3の図解を見ると、どうやら四角い箱に入ったスピーカーを想定しているようなのだ。四角いスピーカーなら確かに、上は十字に貼れるし、下の四隅に貼るのも容易。しかし、わが家のルーメンホワイトのように、上から見た形が「涙のしずく」になっているスピーカーだとどこに貼ればよいのか(いわゆるティアドロップ型)。ほかにも、卵型スピーカー、宇宙人のようなスピーカー、お酒のとっくりのようなスピーカー、奥行がなく平べったいスピーカー、ウーファー・エンクロージュアの上に丸いトゥイーターが載っかったスピーカーなど、「天板に十字型」が困難なスピーカーはかなりありそうだ。 |
これがGe3「竜巻5号」16個入りセット 緩衝材に包まれ、上段に8個、下段に8個 これが、オーディオ機器をマイナス情報から守ってくれる? |
「ラックの上の機器もフィールド内に収めたい時は、何らかの方法で支柱を作って「竜巻5」を持ち上げます。(中略)支柱は針金や木、紙で作ってもOKです」
ラックに「竜巻5号」をトルネード貼りすることで、ラック内機器は守られるが、ラックの天板に載せた機器は守られない。そこで支柱を作り、「竜巻5号」を取り付けることでフィールドを上方向に拡大。そうすることで、天板上の機器もフィールド内に入れることができるというのだ。
これの応用で、四角くないスピーカーもフィールド内に収められるのではないか。とりあえず家庭内にある材料で「支柱のようなもの」を作るとしたら、段ボールくらいしかあるまい。ただし支柱だとぐらぐらになってしまうから、ヘリのプロペラみたいな十字を作り、それをスピーカーの上に載せてみるというのはどうだろう。 まず、スピーカー下に敷いてある金属製ボードのサイズを測り、四隅に「竜巻5号」を貼り付け。次に、「ヘリのプロペラみたいな十字」を作る。下の4個で作った長方形の4辺に接するサイズにし、先端上に「竜巻5号」を貼り付け。これで、「いびつでないトルネード」がスピーカー全体をゆったり覆うはずだ。 この結果出てきた音について、何と書けばよいのか。頭をかかえているというのが現状。正直に書けば「そんなこと有るわけ無いだろ」と笑い飛ばされそうだし、控えめに書けばこの現実が伝わらない。基本的には「先にあげた3つの改善点をさらに何段階か進めた」で合っているが、次元が違いすぎる。これまでいったい何を聴いていたのだろう。もうため息しか出てこない…。 |
自宅オーディオボードの四隅に、「竜巻5号」を貼り付ける 正しくトルネードさせるために、段ボールで十字を作り、端に「竜巻5号」を貼り付ける |
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