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Best Sound~オーディオ評論家が選ぶ優秀録音盤~

124ch THE AUDIO  (月~金)6:00~9:00、11:00~13:00、15:00~19:00、 (土・日)6:00~9:00
評論家による優秀録音盤セレクション。 

●田中伊佐資・選(ジャズ) (2015年4月~8/30) プロフィール その他選者
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1 bachology / david gazarov trio
( mzce 1294 )
アゼルバイジャンのピアニスト、デヴィッド・ガザロフのジャズ・バッハ集。目玉はオーディオ・ファンなら誰でも知る、オスカー・ピーターソン『プリーズ・リクエスト』の「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」のカヴァー。本家に負けずスイング。
2 cuban jazz project / arje
( CQCR-1005 )
アルヘはイラケレのサックス奏者として活躍したロマン・フィリウを中心に結成されたバンドで、ニューヨークの最先端ジャズをキューバ人が独自の解釈をする。ハバナにある無人のホールで録音され、ベースとドラムスの音のデカさは尋常ではない。
3 parting shot / steve khan
( FNCJ5545 )
ラテン風味たっぷりのジャズ・フュージョンの快作。スタジオ=NYアヴァター、録音=ジェームズ・ファーバー、マスタリング=グレッグ・カルビの三役が揃うとやっぱり音は凄い。特にデニス・チェンバースのバスドラはオーディオ的な快感に満ちあふれている。
4 complete communion to don cherry / aldo romano
( fdm 46050369662 )
アルド・ロマーノによるドン・チェリーのブルーノート盤『コンプリート・コミュニオン』へのトリビュート作。ジェラルディーン・ローランのサックスとファブリジオ・ボッソのトランペットが冴え渡る。ガッツ溢れるむちゃかっこいいジャズ。生身の人間が汗だくで肉体を使ったジャズ。
5 all kinds of ballads / kenichi shimazu
( rkcj-2016 )
バラードを弾かせたら天下一品のピアニスト、嶋津健一が率いるトリオによる、故ハーマン・フォスターに捧げたバラード集。客を招いたスタジオ・ライヴ形式で、すべてスタンダード曲を演奏。音質も極めて良好。
6 blue and sentimental / boris vanderlek
( al73248 )
いまどき珍しい、不健康なツラ構えのこの若いテナー奏者は、時には雄々しく、時にはむせび泣く。ベン・ウェブスター、ズート・シムズばりのストレートなブロウが爽快。ハン・ベニンクによる神業ブラシワークにも大注目。
7 inspiration / max ionata
( albcd 024 )
イタリアのテナー、ソプラノ・サックス奏者マックス・イオナータのイタリア「Ueffilo Music Club」におけるライヴ録音。ピアノ・トリオがバックのワンホーンということでイオナータの歌心たっぷりの太いサックスが存分に楽しめる。
8 brombo / jb project
( kicj 451 )
ドラムの神保彰とベースのブライアン・ブロンバーグがタッグを組んだハード・ドライヴィングなジャズ~フュージョン。タイトル曲の「ブロンボ」はオーディオ・システムの低音再生能力をはかることができる重低音を収録。
9 live at village vanguard / marc ribot
( pcd24358 )
フリージャズ、ノイズ系とジャンルを問わないギタリスト、マーク・リーボウが名門クラブで行ったライヴ盤。コルトレーンの2曲、アイラーの2曲、スタンダード2曲というセレクトで、ムチャかっこいいギターが鋭く切り込んでくる。
10 edelweiss / makoto nakamura
( ewcd0148 )
中村真のレギュラー・メンバーによるピアノ・トリオ作品。タッド・ガーファンクルが岩手県北上市さくらホールにて録音。北欧録音のように澄み渡ったピアノトーンに、ホールの空気感を感じられる空間表現が心地好い。ピアノはファツィオリ。
11 3 / bennink borstlap glerum
( fncj5502 )
ピアノのミケル・ボルストラップ、ベースのエルンスト・グレラム、ドラムのハン・ベニングによる1997年ライヴ録音盤。有名スタンダードも取り上げているが、アグレッシブに崩していくところが実にスリリング。そして重鎮ベニングのブラシさばきがすごい。
12 desireless / complete communion
( MJCD 1229 )
イタリアのジャズ雑誌『ムジカ・ジャズ』が制作。おそらく超入手困難になってしまっているが、これはアルド・ロマーノの「コンプリート・コミュニオン・トゥ・ドン・チェリー」の続編ともいえる快作。両作品とも甲乙付けがたい名盤だ。
13 but beautiful / teruo goto
( KAME011 )
第20回日本プロ音楽録音賞ベストパフォーマー賞受賞!サックスの後藤輝夫とギターの佐津間純のデュオ・アルバム。電源、ケーブル類にこだわる亀吉音楽堂での録音で、リアルでありながら温かい楽器のトーンが気持ちよく聴き手を和ませる。
14 pop songs / moncef genoud
( MZCO1300 )
ジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、ポリス、ジョン・レノンらの名曲をピアノ・トリオでカヴァー。原曲を足掛かりにしながら、ジュヌ独自の世界を構築する。クールで木訥でよく歌うピアノは、耳馴染みがよく、飽きがこない深みもある。
15 i hear the sound / archie shepp
( ARCH1301 )
『アッティカ・ブルース』から40年経過し、そのスピリットを継承した「アッティカ・ブルース・オーケストラ」のヨーロッパ・ツアーの模様を収めたライヴ。主役のシェップ以外に女性ヴォーカルや大編成ブラス陣をフィーチャー。
16 p.s. i love you / jakob dinesen
( DDCJ4013 )
デンマークのサックス奏者、ヤコブ・ディネセンのジャズ・バラード集。最大の魅力はハスキーでグジュグジュのサブトーン。吐息サックス・ファンにはたまらないはず。5曲にストリングス・カルテット入り。
17 magnetic moments / oka makoto
( MH-1110 )
サックス・プレーヤー岡淳の快作。いまや貴重になったアナログ・テープの一発録り。適度な緊迫感がうまく作用したのか、演奏は見事にグルーヴしまくっている。もちろん音質的にもアナログ的な温かい肌触りが光る。
18 generations / georges paczynski
( ascd 060401 )
ドラマーのジョルジュ・パッチンスキ率いるピアノ・トリオの2006年作品。叙情的かつ耽美的な、いかにもヨーロッパ系のピアノ・トリオだが、録音が素晴らしい。冴え渡るシンバルや締まったベースはいかにもヨーロッパ録音。
19 l'incantesimo di nino rota / fabrizio bosso
( tocj-90072 )
実力派トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソが映画音楽の巨匠ニーノ・ロータ作品をロンドン交響楽団と共に甘く吹き上げる。「ロミオとジュリエット」や「ゴッドファーザー」など名曲ぞろい。スタジオの空気感たっぷりの録音も秀逸。
20 one for rudy / joey defrancesco
( hcd 7256 )
タイトルの「ルディ」とはエンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーのことで、名匠の近作(2013年録音)が楽しめる。50年代からまったくぶれていないディープなサウンドは健在。ともかくジョーイ・デフランセスコのオルガンが太くて深い。
21 last dance / keith jarrett charlie haden
( ucce1146 )
有名スタンダードをテーマに、キース・ジャレットといまは亡きチャーリー・ヘイデンのデュオ集。心静かな会話は2人にしかできないかけがいのないもの。チャーミングなメロディーが粛々と綴られていく。歳月による風化に耐えられる名作。
22 someday / magnus hjorth
( ddcj 4001 )
ヨーロピアン・ジャズの快作を次々と制作している「Cloud」レーベルの出世作。都内3か所で左右2つのマイクロホンを立てただけのワンポイント録音のライヴ盤。ピアノ・トリオの動きやその場の雰囲気を信じられないくらい見事にとらえている。
23 equilibrium / hans ulrik lars jansson
( ddcj 4010 )
ラーシュ・ヤンソン・トリオをバックにサックスのハンス・ウルリクによるワンホーン作。エンジニアは北欧を代表するスウェーデンのラーシュ・ニルソン(9曲)とデンマークのビャーネ・ハンセン(5曲)。当然、音質は極上。
24 portraits / dario carnovale
( albcd 022 )
ここ数年で最高のピアノ・ソロ優秀録音のひとつ。ファツィオリの豊かで奥深い響きを見事に収録している。エンジニアはここ数年で急激に脚光を浴びているイタリアのArteSuono Studioを主宰するステーファノ・アメーリオ。
25 seven seas / avishai cohen
( tocj-90070 )
世界屈指のベーシスト、ブルーノート移籍第2作。ヴォーカリストを迎えさらにトロンボーン、サックス、イングリッシュ・ホルンの管楽器を増強して多彩なサウンドで迫る。ジャズの定型を打ち破ったユニバーサルなジャズ。傑作。
26 and the groove masters / mark whitfield
( art-1030 )
2005年に日本で収録されたマーク・ホイットフィールド(g)、ドクター・ロニー・スミス(org)、ウィナード・ハーパー(ds)トリオによるエキサイティングなライヴ。ファンキーなギターとソウルフルなオルガンの絡みが熱い。
27 shadow theater / tigran
( 374 799 8 )
ティグランはジャズ・ピアニストだが、本作は故郷アルメニアのトラディショナル・フォーク、フュージョン、プログレなどの要素を綿密に織り交ぜたジャンルレス・ミュージック。女性歌手Areni Agbabianとティグランのヴォイスをフィーチャー。
28 diario / yoshiyuki takuma
( XQDN-1043 )
日本人ヴァイブラフォン奏者、宅間善之のデビュー・アルバム。T-TOCらしい鮮烈な録音で、頭の中でグワヮーンと鳴り響くロングトーンはほかのヴァイブ作品ではなかなか聴くことができないはず。バックの若手トリオも好演。
29 dazzling / moriyama takeo
( fscj-0004 )
森山威男がジョージ・ガゾーンを迎えたカルテットによるライヴ。場所は岐阜の「スタジオF」。コルトレーン・ナンバーを軸に凄まじい激情パフォーマンスが続く。リスナーも気持ちを込めて愚直に向かい合うべきジャズ。
30 live at the house of tribes / wynton marsalis
( tocj-66266 )
ウィントンのトランペットがたっぷり楽しめる「ハウス・オブ・トライブス」のライヴ盤。コンボ編成がうれしい。選曲はお馴染みのスタンダードで、現代アコースティック・ジャズの極限ともいえるパフォーマンスを聴かせる。日本から中村健吾が参加。
31 songs of freedom / nguyen le
( 9506 - 2 )
ベトナム系フランス出身のギタリスト、グエン・レによるロック寄りのカヴァー・アルバム。ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、レッド・ツェッペリン、ジャニス・ジョプリン、ボブ・マーレイなどの有名曲を絶妙に料理する。
32 music of jimi hendrix / hiram bullock
( vicj-61585 )
ハイラム・ブロックがWDR(西部ドイツ放送協会)ビッグ・バンドを束ねて、ジミ・ヘンドリックスをカヴァーしたケルン大学のホールのライヴ。壮大なジャズ・ファンク・ロックがごきげん。録音がアグレッシブで強烈な重低音が楽しめる。
33 three for getz / paolo recchia
( albcd 021 )
アルト・サックス、ギター、ベースのトリオがスタン・ゲッツに捧げた作品。ゲッツというよりポール・デスモンドの『ライヴ』が好きな人にすすめたい。涼しげでリラックスした演奏で3つの楽器を極めて素直にとらえた録音も優秀。
34 spiral circle / helge lien
( diw-627 )
激しいドラムの連打、低く沈み込んだベースなどで多くのオーディオ・ファンを魅了した「テイク・ファイブ」を収録。ヘルゲ・リエンを一躍有名にした出世作でもある。オスロにある世界有数のスタジオ、レインボウの真髄が味わえる。
35 live at smalls / omer avital
( ofm-020 )
「スモールズ」はNYにある、その名の通り小さなジャズ・クラブ。録音がクラブの最前列で聴いているかのように近い。クインテットメンバー3人がイスラエル出身ということもあり、わびしいエキゾチズムに惹かれる。
36 triology / chick corea
( uccj-3031/3 )
チック・コリア・トリオの3枚組CDで、収録時間は3時間20分以上のライヴ盤。注目のメンバーはベースがクリスチャン・マクブライドにドラムスがブライアン・ブレイド。悪かろうはずがない。縦横無尽のインタープレイが聴ける貫禄のピアノ・トリオ盤。
37 family / jeff tain watts
( dk003 )
自主レーベルを主宰し、制約にしばられない制作を続けるジェフ・ワッツのカルテット作品。スティーブ・ウィルソンのサックスをフロントに据えピアノにデビッド・キコスキ、ベースにジェームス・ジナスという強烈な布陣。パワフルなドラムは相変わらず。
38 live at the village vanguard / enrico pieranunzi
( camj 7857-2 )
エンリコ・ピエラヌンツィがヴァンガードにのりこんだ傑作ライヴ。ドラマーがこのライヴの1年4か月後に亡くなったポール・モチアン。本作の白眉は11分にもおよぶニーノ・ロータの名曲「甘い生活」。一編の映画を観るようにドラマチック!
39 trios live / joshua redman
( wpcr 15881 )
ジョシュアのサックスにベースとドラムというトリオのNYライヴ。クラブ・ライヴとなると豪快にハジけ、特にサックスとグレゴリー・ハッチンソンの超人神業ドラムのぶつかり合いは相当聴き応えがある。レッド・ツェッペリンの「オーシャン」がカッコイイ。
40 celebrating mary lou williams / trio 3 geri allen
( intakt cd 187 )
オリバー・レイク、レジー・ワークマン、アンドリュー・シリルの「trio 3」にジェリ・アレンが加わったNYバードランドのライヴ。女性ジャズ・ピアニストの先駆者的存在、メアリー・ルー・ウィリアムのナンバーを4人がアグレッシブにキメる。
41 plays morricone / enrico pieranunzi
( camj 7873-2 )
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの優れた楽曲を、親友のエンリコ・ピエラヌンツィがマーク・ジョンソン~ジョーイ・バロンを擁して美しく構成する。叙情性やロマンティシズムをぷんぷん発散し、現代の欧州ピアノ・トリオ作品を代表する1枚。
42 floating / fred hersch
( kke 034 )
デリカシーに富んだ美しいトーンを持つピアニスト、フレッド・ハーシュが自己のトリオ(ベースがジョン・エベール、ドラムがエリック・マクファーソン)で放った代表作。複雑に絡みあう美メロディーの微妙なニュアンスが聴きどころ。録音も上質。
43 live at village vanguard / anat cohen
( anz-1203 )
サックス&クラリネット奏者アナット・コーエンによるヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ。選曲はスタンダードで固め、バックにはベニー・グリーン、ピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュの腕利きを揃えた。ベニー・グッドマンへトリビュートする楽しいスイング・セッション。
44 out here / christian mcbride
( kke 024 )
クリスチャン・マクブライド初の単独ピアノ・トリオ作。小難しことは考えず、ストレートにスイングする。ベース・ソロでもバッキングでも、いつもの極太ベースをがっちり捉えた録音も優秀だ。ゴージャスなアメリカン・ジャズ・サウンドを満喫したい。
45 song song song / baptiste trotignon
( nj622411 )
ピアニストとして一級の実力を持つバティスト・トロティニョンがタイトル通り、様々な歌手を何人も招いて制作した「歌もの」。ヴァラエティに富んだ展開はまったく飽きさせない。1曲だけ参加しているメロディ・ガルドーのキュートな歌声だけでも価値がある。
46 black spirit / fabrizio bosso
( mycj 30558 )
イタリアの人気トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソが大きな影響を受けたフレディ・ハバードに捧げた快作。フレディのほかにディジー・ガレスピーやルイ・アームストロングの楽曲も取り上げてストレートアヘッドに迫る。
47 tranety / lorenzo tucci
( albcd013 )
ハイ・ファイヴのドラマーとして活躍するロレンツォ・トゥッチのピアノ・トリオ。「モーメンツ・ノーティス」「アフロ・ブルー」「ワイズ・ワン」などコルトレーンの曲を中心に演奏し、イタリアのピアノ・トリオとしても傾聴に値する。
48 fountain of youth / roy haynes
( vacr-2067 )
2015年春に90歳を迎え、まさに生きる伝説となったドラマー、ロイ・ヘインズが2002年12月NYバードランドで収録のライヴ。圧倒的なエネルギーでバンドを鼓舞するドラムによってマーカス・ストリックランドのテナーが大暴れ。
49 blues 4 us / shinnosuke takahashi
( pilj-0004 )
高橋信之介(ドラム)、山下洋輔(ピアノ)、池田篤(サックス)、中村健吾(ベース)による新宿「ピットイン」でのライヴ。エリック・ドルフィー~オーネット・コールマンからの刺激を感じる熱血ジャズ。強力なビートにのって全員がスイング!
50 reveille / kermit driscoll
( 19 / 8 1015 )
ビル・フリゼール・バンドのベースだったカーミット・ドリスコールが、女流ピアニストのクリス・デイヴィス、超売れっ子ドラマー、ヴィニー・カリウタ、そしてかつてのボス、フリゼールを呼び、アグレシッブな演奏を繰り広げる。
51 eldorado trio / sclavis/taborn/rainy
( cf193cd )
全体にやや前衛っぽいところもあるが、10分を超える「La Visite」の1曲は、誰でもうなる名演中の名演。ルイス・クラヴィスのバスクラから放たれる哀愁の調べは、エキゾチック演歌とでも呼びたい。録音も超優秀。
52 plays duke / orquesta libre
( glam 0002 )
タイトル通りエリントン集だが、俊英ドラマー芳垣安洋が率いるオルケスタ・リブレ(10人編成)に気鋭のピアニスト、スガダイローとタップダンスのロンロンが加わり、新鮮なジャングル・サウンドが繰り広げられる。スリリングでビッグ・バンドに負けない華々しさもある。
53 new life / antonio sanchez
( camj 7856 2 )
パット・メセニー・バンドの実力派ドラマー、アントニオ・サンチェスの3作目となるリーダー・アルバム。全曲サンチェスのオリジナルでアルト・サックスのデヴィッド・ビニーとテナー・サックスのドニー・マッキャスリンをフィーチャー。
54 berlin / toru tenda
( mzce 1243 )
フルート奏者、天田透のデビュー盤。前代未聞にもソプラノ、アルト、バス、コントラバスという4種を吹き分ける。編成はベースとドラムのトリオ。一般的なフルートの概念を超越した演奏はビシッと硬派、ドルフィーを思わせるところもある。
55 flamenco skerches / chano mominguez
( tocj-90073 )
『カインド・オブ・ブルー』50周年を記念し全曲をカヴァーしたライヴ。チャノのピアノをとことんフィーチャーしたフラメンコ・ジャズである。ベースのほかは、カホーンと呼ばれる打楽器、ヴォーカルとダンサーによるパルマ(手拍子)と足踏みが入る。
56 foxy / jon irabagon
( hot soup 102 )
2008年モンクコンペ優勝者のジョン・イバラゴンによるテナー・トリオ作品。テナー一本で約80分間に渡りこれでもかというほど連続で吹きまくる演奏が続く。ドラムスはバリー・アルトシュルだが、基本はハードバップ路線を走る。
57 simple measures waltz for cj / doug roche
( - )
コロラド州で活躍するピアニスト、ダグ・ローチによる2006年録音のピアノ・トリオ盤。マイナーな自主制作盤だったが、可憐で親しみやすいメロディーに日本人ジャズ・ファンが飛びつきいまだにロング・セラーを続けている。
58 split kick / high five
( tocj-66543 )
イタリアン・ハードバップ・コンボ「ハイ・ファイヴ」のブルーノート第2弾。ファブリッツィオ・ボッソ(tp、flh)ダニエル・スカナピエコ(ts)の2管が「スプリット・キック」や「クイックシルヴァー」などをストレートに熱演。
59 trio in tokyo / michel petrucciani
( fdm 46050 369252 )
ミシェル・ペトルチアーニ、スティーヴ・ガッド、アンソニー・ジャクソンのトリオが1997年11月にブルーノート東京で録音した伝説のライヴ。ペトルチアーニ本人が「最強のピアノ・トリオ」と自讃したように、インタープレイの極致を展開。
60 live for fun / high five
( tocj-66496 )
ヨーロッパのジャズ・シーンの第1線で活躍する精鋭5人が集まったイタリアNo.1ジャズ・バンド、ハイ・ファイヴの初のライヴ・アルバム。2008年ブルーノート東京公演で繰り広げられた圧倒的なライヴ・パフォーマンスの模様を収録。
61 money jungle / terri lyne carrington
( cja 34026 02 )
デューク・エリントン~チャールズ・ミンガス~マックス・ローチの『マネー・ジャングル』がリリースされて50年目に当たる2013年、女性ドラマーのテリ・リン・キャリントンが放ったオマージュ作品。マーチン・ルーサー・キングJr.、オバマらのスピーチを加える。
62 red sparkle / jeff hamilton
( 74114-2 )
ジェフ・ハミルトン・トリオの諸作は録音がよく、ピアノ・トリオ・ファンだけでなくジャズ・オーディオ・ファンの定番中の定番。本作はトリオの第8弾。ドラマーがリーダーということもあってかザクザクっと乾いたブラシが最高に気持ちいい。
63 day trip / pat metheny
( 7559 79956 1 )
メセニーが、ジャズあり、ボッサあり、フォークありと縦横無尽にギターを弾きまくり、クリスチャン・マクブライド(b)とアントニオ・サンチェス(ds)がサポート。悪かろうはずがない。できたら3枚組のLPを買っておきたいところ。
64 wisteria / steve kuhn
( ecm 2257 b0016762 02 )
2012年の10指に入るマイ・ベスト・ジャズ。キューンは、終始一貫して一瞬の隙もなく、とろけるような美旋律をシャープに繰り出す。曲のテーマもアドリブ・ソロも関係なく、これがすべて地続きでいっぱいに満ちている。聴き始めたら止められない。
65 move this / jonas johansen
( stucd 11072 )
デンマークを代表するドラマー、ヨナス・ヨハンセンがサックスのフレドリク・ルンディンを従えて録音したワンホーンのカルテット作品。北国の詩情を綴っていく佳曲が多く、北欧ジャズの隠れ名盤といえる。また録音が極めて優秀。
66 into the woodwork / swallow quintet
( xtrawatt 13 279 8380 )
テナーが歌い上げ、エレベとドラムがスイングして、ギターもまた疾走し、オルガン(カーラ・ブレイ)が全体を引き締めるような構図がバンド・サウンドとして実にかっこいい。作曲はすべてスワロウで別個の曲をメドレーのようにつなげる展開もあり。
67 enroute / john scofield
( verve 06024986135 )
ジョン・スコフィールド(g)スティーヴ・スワロウ(el-b)ビル・スチュワート(ds)による2003年12月、NY「ブルーノート」のライヴ録音。白熱したインタープレイの応酬が聴きどころ。まさに現代ギター・トリオの傑作ライヴとして後世に名を残す。
68 watts / jeff tain watts
( dk 002 )
ドラムのジェフ・ワッツがブランフォード・マルサリスとテレンス・ブランチャードをフロントに据え、ベースにクリスチャン・マクブライドを迎えた強力メンバーによるガッツ溢れるセッション。自身のレーベルDARK KEY RECORDSよりリリース。
69 heaven on earth / james carter
( HN4542 )
ジェームス・カーターとMM&W等でお馴染みジョン・メデスキの双頭プロジェクトが2009年5月に行ったライヴ。カーターのサックスが暴れまくるファンキーなオルガン・ファンクで、ほかメンバーもクリスチャン・マクブライド、アダム・ロジャース、ジョーイ・バロンと申し分なし。
70 play the blues a la trane / david liebman
( DBCHR75978 )
リーブマンのピアノレス・サックス・トリオが、コルトレーンにちなんだブルースを吹きまくった2008年ベルギーにおけるライヴ。大きな影響を受けたコルトレーン・ナンバーということもあり気合い十分でハードなブロウが続く。サックスは2曲がソプラノ、3曲がテナー。
71 convergence / chuck israels trio
( W 370.2 )
チャック・イスラエルのベースは、演奏もさることながら、録音が際立って素晴らしい。太さと切れが高次元でバランスをとっている。ドラムレスでホッド・オプライエンのピアノとスティーヴ・ブラウンのギターによるトリオ。リラックスしたムードが楽しめる。
72 one quiet night / pat metheny
( 48473-2 )
パット・メセニーのバリトン・ギターを使用した初のソロ・アルバム。オリジナル・ナンバーに加えて、ノラ・ジョーンズ「ドント・ノー・ホワイ」やキース・ジャレット「マイ・ソング」などヴァリエーションに富んだカヴァー曲も収録。
73 under rousseau's moon / gil goldstein
( hn4527 )
ピアノ、アコーディオン奏者のギル・ゴールドスタインが2006年1月にNYの「ブルーノート」で行ったライヴ。「リバティ・シティ」や「スリー・ ビュー・オブ・ア・シークレット」などジャコ・パストリアスの名曲が新たに蘇る。
74 live at montreux / keith jarrett
( 2021/22 173 7326 )
キース・ジャッレット~ゲイリー・ピーコック~ジャック・ディジョネットのトリオ、通称スタンダーズの2001年7月モントルー・ジャズ祭でのライヴ。発表は2007年で6年間も温存していた。「マイ・フーリッシュ・ハート」など13曲のスタンダードを熱演。
75 it's no coincidence / fabio bottazzo
( fb012 )
イタリア人で新潟在住のギタリスト、ファビオ・ボッタッツォの自主制作によるトリオ作品。自主制作盤はチープな録音と思われがちだがとんでもない。録音は2曲を除いてオノ・セイゲンで、音場空間がたっぷり広がる。惜しいことに入手困難。
76 what's new at F / eddie gomez
( mf103 )
エディ・ゴメスがビル・エヴァンスの『ホワッツ・ニュー』をトリビュートした岐阜の「スタジオF」におけるライヴ。フルートはもちろんジェレミー・スタイグで、ジミー・コブのドラミングも光る。及川公生の録音も秀逸。2001年録音
77 yesterdays / keith jarrett
( UCCE-1112 )
キース・ジャレット・トリオに2001年4月の東京公演のライヴ。スタンダード・ナンバーやジャズメン・オリジナルが並ぶのは通例だが、「ストローリン」「イエスタデイズ」「スリーピン・ビー」の3曲は今回初めて収録された。
78 surely / makiko hirabayashi
( mzce-1279 )
デンマーク在住ピアニスト、平林牧子がドラム&パーカッションのマリリン・マズールとベースのクラウス・ホウマンと組んだトリオ作品。日本盤はトリオ+ストリング・カルテットとクワイアーとの共演がボーナスCDになった2枚組。
79 and his friends / hiroshi fukamizu
( unacd-08-02 )
高音質で知られるレーベル「UNA MAS Jazz」からリリースされたドラマーの深水洋が率いるワンホーンカルテットのライヴ。レーベルが保有する東京・三鷹のジャズ・ライブハウス「UNAMAS」で収録。ほかのメンバーは川村裕司(ts)寺下 誠(p)紙上 理(b)。
80 live in japan vol 1 / steve kuhn steve swallow
( mtcj-6501 )
ピアノのスティーヴ・キューンとベースのスティーヴ・スワロウによる1994年に行われたデュオ・コンサート・ツアーのライヴで、録音は仙台。スタンダード、キューンのオリジナルを中心に両巨人のリラックスした語らいが聴ける。『Vol.2』も必聴。
81 hard to find / giovanni sanguineti
( us-cd044/s )
イタリア人ベーシスト、ジョヴァンニ・サングイネーティがデビッド・ヘイゼルタイン、エド・シグペンと組んだトリオ作品。レーベル名の「ウルトラ・サウンド」の通りベースはゴリゴリと突き上げてくる。北イタリアに自前スタジオを持っていて、音の仕上がりは名前負けしていない。
82 unplugged / larry carlton robben ford
( 335-1302 )
ラリー・カールトンとロベン・フォードのフュージョン~ブルース界を代表するギタリストの競演ライヴ。タイトルの通り二人がアンプラグド=アコースティック・ギターでぶつかる。録音は良好でバックのベースとドラムを含めた4人の動きがピチピチと躍動的だ。
83 village vanguard vol1 / paul motian
( 910 133-2 )
ポール・モチアンが、NYのヴィレッジ・ヴァンガードで2006年12 月に行ったライヴの模様を記録した3部作の第1弾。メンバーはクリス・ポッター (ts)ラリー・グレナディア (b)グレッグ・オズビー (as)菊地雅章 (p)という錚錚たる顔ぶれ。
84 night time / bodil niska
( bjcd101 )
女流サックス奏者、ボディル・ニスカがズート・シムズばりにスタンダードを分厚くブロウ。録音はオスロのレインボー・スタジオで、エンジニアはヤン・エリック・コングスハウク。熱っぽく煮えたぎったサウンド。王道テナー・ファンにはおすすめ。
85 enfants terribles / lee konitz
( 4552 )
リー・コニッツ(as)ビル・フリゼール(g)ゲイリー・ピーコック(b)ジョーイ・バロン(ds)というオールスターによる2012年8月15~19日NYブルーノートで行われたライヴ。全曲が聴き慣れたスタンダードばかり。ベテランたちの解釈が新鮮だ。
86 golden circle / rosario giuliani
( vvj 086 )
サックスのロザリオ・ジュリアーニ、トランペットのファブリッツィオ・ボッソらによって組まれたゴールデン・サークルというピアノレス・カルテットの作品。オーネット・コールマン・トリビュートがテーマでストレートな熱血ジャズが横溢。
87 ron carter paul motian / bill frisell
( 79897-2 )
ビル・フリゼールのギター・トリオ盤では個人的に最高傑作。ロン・カーターとポール・モチアンという重鎮メンバーを率いてセロニアス・モンク、ハンク・ウイリアムスらのスタンダードやトラディショナルを演奏する。
88 the three primary colors / yosuke onuma
( sicp 10010 )
小沼ようすけ~リチャード・ボナ~アリ・ホーニッグらによる新世代ギター・トリオ。ジャズ、ロック、ソウルなどがクロスするフュージョンで、タメが利いたグルーヴ感たっぷりのギターは心地好い。オーディオ的にはボナのエレベの切れ味がいい。全体のサウンド・バランス良好。
89 jim hall / charlie haden
( uccm-1229 )
チャーリー・ヘイデン(2014年7月没)、ジム・ホール(2013年12月没)両巨匠がかわす崇高な会話が聴ける90年に行われたモントリオール・ジャズ祭のライヴ。決してハイファイではないが妙にアナログっぽい音質もいい。
90 tribute to ai sestetti anni 60 / luca mannutza sound six
( albcd 008 )
ハイ・ファイヴのピアニスト、ルーカ・マンンヌッツァがマックス・イオナータ(ts)、アンディ・グラヴィッシュ(tp)、パオロ・レッキア(as)の3管をフロントに据えて、60年代ジャズへの思いを込めた現代イタリアン・ジャズ。
91 around the world / yoshio suzuki
( fncj-1005 )
ベースの鈴木良雄、ギターの増尾好秋による初のデュオ・アルバム。学生時代から共演歴のあるベテラン(1946年生まれの同級生)がオリジナルとスタンダードを織り交ぜてリラックスしたインタープレイを繰り広げる。
92 emily / hiroshi sugano
( antx 5001 )
サックス奏者、菅野浩のファースト・アルバム。ポール・デスモンドに大きく影響を受けたサックスの音色が甘美。「ウェンディ」「エミリー」「ジャスト・スクイーズ・ミー」など師の愛想曲を好演。1/2インチ・オープンリールでのダイレクト2チャンネル録音。
93 the water is wide / charles lloyd
( ucce-9180 )
衰えることを知らないサックス界の巨人チャールス・ロイドが1999年に録音したバラード・アルバム。たっぷりした温かいテナー、それをサポートするブラッド・メルドーやジョン・アバークロンビーの巧妙なバッキング、すべてが美しい。
94 conversations / jim hall joey baron
( aso111 )
ギターのジム・ホールとドラムのジョーイ・バロンによる珍しい編成のデュオ作。大半は即興で演奏されていて「conversation=会話」をするかのような2人のやりとりが収められている。歌心たっぷりのギターを満喫する作品ではないが、録音が秀逸。ドラムの低音が深い。
95 trios / carla bley
( ecm 2287 372 4511 )
カーラ・ブレイ初のECMからのリーダー作。長年付き合いがあるアンディ・シェパード(sax)、スティーヴ・スワロー(b)とのトリオ作品で、気心知れた間柄でなくてはできない絶妙な間合いや呼吸を感じとることができる。傑作。
96 live at rocco / peter erskine
( pepcd007 )
ドラムのピーター・アースキン、ピアノのアラン・パスカ、ベースのデビッド・カーペンターによる西海岸のクラブ「ロッコー」での2枚組ライヴ。1曲を除きオリジナル曲で占められているが、耳馴染みのいい曲ばかり。優秀録音盤としても知られている。
97 mistico mediterraneo / paolo fresu
( ecm 2203 274 5621 )
トランペット、バンドネオン、コルシカ島の男性7人コーラスが、教会のような天井の高さを感じさせるスタジオで重層的なアンサンブルを響かせる。地中海界隈のフォークソング(民謡)のようなサウンドには他に類がない独特の哀愁がある。
98 nomad / frenc snetberger
( mzce 1072 )
ハンガリーのギタリスト、フェレンツ・シュネートベルガーがノルウェーのベーシスト、アリルド・アンデルセンとイタリアのドラマー、パオロ・ヴィナッチアと組んだギター・トリオ作品。ヤン・エリク・コングスハウクの録音はいつも通り超優秀。
99 brown street / joe zawinul
( int 3450 2 )
ジョー・ザヴィヌルが2005年にケルンのWDRビッグ・バンドと共演した2枚組ライヴ。コンボによるビッグ・バンド・サウンドをはかったウェザー・リポートのナンバーが、リアルなオーケストラで蘇る。ブラス・アンサンブルが見事。
100 pas de dense / daniel humair
( zzt 100404 )
ドラムのダニエル・ユメール、サックスのトニー・マラビー、ベースのブルーノ・ シェヴィロンによるピアノレス・サックス・トリオ作品。自由で攻撃的な即興演奏が繰り広げられる。フランス「スタジオ・ラ・ビュイッソンヌ」を本拠とするジェラール・ド・アロの録音はまさに峻烈。
101 remembering shelly / roberto gatto
( albcd 007 )
ドラマーのロベルト・ガットが同じドラマーのシェリー・マンに捧げたローマのクラブでのライヴ。マルコ・タンブリーニ、マックス・イオナータの2管をフロントに据え、ウェストコースト・ジャズの風合いをもたせたイタリアン・ハードバップを聴かせる。
田中伊佐資

田中伊佐資(たなかいさし)

音楽出版社を経てフリーライターに。「ジャズライフ」「ジャズ批評」「月刊ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」などにソフトとハードの両面を取り混ぜた視点で連載を執筆中。著作に「オーディオ風土記」(DU BOOKS)「ぼくのオーディオ ジコマン開陳 ドスンと来るサウンドを求めて全国探訪」(SPACE SHOWER BOOKS)がある。

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