お米や乾パン、災害備蓄品…廃棄予定だった食材をクラフトビールにアップサイクル|神奈川県横浜市

2023.9.20 | Author: 池田アユリ
お米や乾パン、災害備蓄品…廃棄予定だった食材をクラフトビールにアップサイクル|神奈川県横浜市

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023年8月13日放送の『地域人』のコーナーから、廃棄予定の食品をビールの材料としてアップサイクルする取り組みを紹介します。

 

「自然とわたしに美味しい一杯」をテーマに、日本各地の廃棄予定だった食材をクラフトビールへアップサイクルする株式会社Beer the First(神奈川県横浜市)。これまでに、廃棄間近のパンを原料とした『RE:BREAD』や、日本初のラーメンクラフトビール『華麺舞踏会 醤油との出会い』などを開発、販売してきました。

 

今年6月には、東京丸の内エリアの建物を管理する三菱地所株式会社と協業し『Loop Marunouchi(ループ・マルノウチ)』を発売。丸の内の建物から賞味期限を迎えてしまう災害備蓄品をアップサイクルし、出来上がった商品を丸の内・東京駅近辺で販売を行う「丸の内の地産地消」を目指しています。

 

今回は、同社の坂本錦一(さかもと・きんいち)さん、内間悠人(うちま・ゆうと)さん、山川大介(やまかわ・だいすけ)さんにお話を伺いました。

クラフトビール『Loop Marunouchi』

――今日は3名の方に登場いただきます。坂本さんは学生時代、国際ボランティアサークルに所属し、卒業後は食品商社に入社しました。7年目に脱サラして株式会社Beer the Firstを立ち上げます。 内間さんは、坂本さんと小中の同級生で、ビールプランナーです。学生時代の海外旅行をきっかけにクラフトビールにはまったそうです。 同社で新商品のコンセプトやペアリング、ビールのストーリーを含めた商品プランニングを担当しています。そして、山川さんは大阪府出身。これまで記者として数多くのラーメン店を取材、執筆。現在は同社の宣伝隊長として活動しています。まずは坂本さん、そもそも廃棄食材を使ってクラフトビールを作ろうと思ったきっかけは?

坂本 私が食品商社に所属していた時、全国のメーカーや農家の元に伺う機会がありました。その時にフードロスの現状を知ったんです。少し傷があると商品として出せなかったり、価値が下がってしまったりという問題について、何か取り組めたらと思いました。

その後、新型コロナウイルスの影響で時間ができたので、「自分の好きなクラフトビールと掛け合わせて、フードロスに向き合ってみたい」と思い、会社をスタートさせました。調べていくなかで「炭水化物の食品ならビールが造れる」と知り、百貨店で売られていた廃棄間近のパンからビールを作る事業を展開したんです。その商品が『RE:BREAD』になります。

坂本錦一さん

――内間さんはビールプランナーということですが、どんなお仕事をされているのでしょう。

内間 私はフードロスが生まれるさまざまな背景を元に、その食品を使ったビールの楽しみ方を提案しています。たとえば、ビールの名前やラベル、味わいなども含めてアップサイクルの商品として興味を持っていただけることに焦点を置いています。

――「商品のストーリーを紹介しながら、消費者の方に楽しんでもらう」ということですね。廃棄間近の災害備蓄品を活用したビールも造ったと伺いました。

内間 三菱地所株式会社と協業したクラフトビール『Loop Marunouchi』になります。三菱地所さんのビルで保有する、災害時の帰宅困難者向けへの備蓄の食品があるんですが、結局使われないまま賞味期限間近になっていました。そこで、備蓄していたお米や乾パンからビールを造ることになりました。

三菱地所株式会社と協業したクラフトビール『Loop Marunouchi』



『華麺舞踏会 醤油との出会い』は、海苔の味のビール⁉

――クラフトビール『華麺舞踏会 醤油との出会い』。面白い名前ですね。ラーメンライターだった山川さん、こちらはどんなビールでしょう?

山川 ラーメンの麺を麦の一部に置き換えて造った、海苔の香りがするビールです。東京の日本橋にある「山本海苔」というお店のものを使用しています。海苔は長方形の形をしていますが、加工する時、端の部分は商品として使えません。それを山本海苔さんからいただき、ビールの一部に活用したサスティナブルな商品です。

――評判はいかがですか。

山川 すごく評判がいいですね。最初は「海苔?」とはてなマークのような顔をされることがありますが、飲んでみると「出汁ビールのような甘みを感じる」という声をよくいただきます。意外と飲みやすくて、女性にも好評な商品です。

――「醤油との出会い」とありますが、醤油のフレーバーも入っているのでしょうか?

山川 いえ、醤油ラーメンに合うビールをコンセプトにしているんです。日本で1番食べられているラーメンって実は醤油味なんですよね。「日本人のソウルフードである醤油ラーメンに合うビールができたら面白いかも!」と考え、サブタイトルに添えました。

――なるほど。「締めのラーメン」と「締めの一杯」ですね!


ブルワリーブランド「UTAGE BREWING」誕生!

――今年8月に新しいブルワリーブランド「UTAGE BREWING(ウタゲ ブルーイング)」を立ち上げたそうですね。

坂本 現在は委託で醸造しているんですが、将来的には自社で醸造したいので醸造所の準備を進めています。それに先駆けてこのブランドを立ち上げました。名前の由来になっています。音楽があったり、楽しい場だったり、疲れた体にこう染み当たる1杯だったり……。「ビールの良さを体現できるワードって宴だよね」と思ったことから「UTAGE BREWING」と名付けました。8月1日からECサイトをオープンし、本日紹介したビールも販売しています。

――今後は、どんなビールを造りたいですか

坂本 幅広い食品から造りたいと思っているので、廃棄される予定のフルーツなどを使ったビールもいいのではと思っています。

――最後に、リスナーの皆さんにそれぞれメッセージをお願いします。

内間 さまざまな企業とのコラボをして、フードロスの活動している背景に興味を持ってもらえると、ビールを超えた楽しみ方ができると思います。

山川 新商品をどんどん造っていこうと思っています。「締めのラーメン」、そして「締めのビール」を楽しんでもらいたいです!

坂本 ラーメンのクラフトビールは、東京駅近くの八重洲にある「らーめん七彩飯店」で提供しています。醤油ラーメンと一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。「うちの会社の食品からも、ビールができそう」と思われたら、ぜひご連絡ください。


(番組パーソナリティ 横田)
『Loop Marunouchi』を試させていただきました。パンの香りからくる甘みを感じて、すごくおいしかったです。皆さんもぜひ試していただきたいです!

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文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

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