なんの変哲もないはずの生姜が名物に?“地域の歴史”で気づく地域おこしの可能性

2023.6.6 | Author: 池田アユリ
なんの変哲もないはずの生姜が名物に?“地域の歴史”で気づく地域おこしの可能性

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は4月30日放送の『地域人』のコーナーから、栃木県の「生姜」に着目した取り組みをご紹介します。

 

栃木県足利市の北部に位置し、標高200~500mの山並みに囲まれた名草地区。この地域に流れる名草川沿いには田畑が広がり、ホタルが自生群を構える自然豊かな集落です。

 

しかし、魅力的なものがあったとしても、住み慣れた人間からの目線では気づけないことも多く、「地域おこしをしたいが、何を“おこす”べきなのかわからない」という悩みが――。

 

そんな暗中模索の中で出会ったのが宇都宮大学の地域デザイン科学部でした。地域デザイン科学部と農学部の教員を招いて共同研究プロジェクトを開始。「地域おこしの主役」として浮かび上がってきたのが“名草の生姜”でした。

 

今回は、このプロジェクトに携わった、足利市みどりと文化・スポーツ財団総務課 撮影支援室  室長の柏瀬誠(かしわせ・まこと)さんにお話しを伺いました。

山々が始まる麓、蛍、広い空…自然の美あふれる名草地区

――柏瀬さんは普段どのようなお仕事をされているのでしょうか。

昨年までは名草の地域活性化に取り組んでいました。今年からは映画やドラマの撮影の支援などを担っています。

足利市地域創生課 移住定住担当者 柏瀬誠さん

――フィルムコミッションみたいなセクションなんですね。名草地区とはどんな場所なのでしょう?

市内は人口が減り、高齢者の割合も多く、耕作放棄地や空き家も多い、いわば過疎の地域です。ただ、首都圏から「田舎暮らしをしたい」という方から人気な場所でもあります。高速道路が近くにあり、町場へは車で10分ほどの距離です。

――自然の豊かさが、名草区の魅力なんですね。

あるテレビ番組で「関東平野のどん詰まり」と紹介されたこともありました(笑)。山々がちょうど始まる麓に位置し、空が非常に広く感じられます。夜には蛍が見られる田園風景が楽しめますよ。

 

なんの変哲もない生姜が名物になった背景

――「名草の生姜」は、地域おこしの主役になっていると聞きました。

そうなんです。市内の飲食店さんに名草で育った生姜でレシピを作ってもらい、フリーペーパーに掲載したことがきっかけでした。普段は脇役の生姜なんですが、スポットライトを当てたことで生産者さんから喜びの声が上がりましたね。フリーペーパーは県内外の生産者さんからも反響をいただきました。

その2年後、「あしかが輝き大使」を務める東京・南青山のレストラン「南青山essence」の藪崎友宏シェフに協力してもらい、名草の唐辛子やシイタケを使った火鍋スープ「名草生姜の麻辣火鍋」を開発しました。

――生姜の火鍋、おいしそうです! そもそも、なぜ生姜に着目したのでしょう?

もともと生姜にフォーカスしようとは思っていませんでした。「(地域おこしを)どこから手をつけたらいいかわからない」と行き詰っていたんです。そこで、宇都宮大学 地域創生推進機構 社会共創促進センターの坂本文子さんに相談させていただきました。

大学の教員の方々とオンラインで打ち合わせをしたり、住民の方と交流をしていただいたりするなかで、「名草の生姜に注目してみては?」という話が出たんです。大学の先生たちが「昔は生姜を漬物にして現金化していた」という話をおもしろがってくれて……。そこから生姜が主役になっていく流れができていきました。

――渦中にいると、自分たちの町の魅力がわかりづらいものですね。

名草の生姜をアピールするべく制作した小冊子「おうちでかんたん 名草の生姜 お料理手帖」は地域内外で好評を博し、なんの変哲もない「名草の生姜」に対する地域の意識が変わる呼び水の一つになった

 

鳥獣被害に負けない「地域おこし」

――地域活性化に向けて、今後の展望はありますか?

今後も「主役は生姜」でやっていきたいと思っています。また、麻辣火鍋は非常に効能があることがわかり、第2弾でお粥を開発しました。去年、仲間と一緒に作ったお米を使って、体にやさしい味になりました。

――お粥、体があったまりそうです。

その他にも、15年ぐらい放置されていた柚子畑の整備を始めました。今年はその柚子を使って何か作りたいなと思っています。

――薬味類が多い地域なんですね。

正直なところ、鳥獣被害のある地域なので、大きな食材を作るのは向いていないんです。そのため、こういったスパイス系のもので、見た目以上に効能があったり、農薬を使わないで作ったりする食材に力を入れています。健康志向の方におすすめしたいですね。着実に今あるものを使って、数年後に「あの時やっていてよかったね」って言われるようになったらいいなと思っています。

――今思いついたんですが、生姜チップスなんていかがでしょう?

いいですね! いろんな展開ができると思うので、これからもチャレンジしたいです。

――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

名草地区の火鍋やお粥はとてもおいしく仕上がっています。他のものもどんどん作っていきますので、ぜひ遊びに来ていただけたらと思います。これらの商品は、足利市のふるさと納税の返礼品としてもお買い求めいただけます。ご賞味いただけたら嬉しいです。

***
(番組パーソナリティー 横田さんコメント)
足利市というと、栃木にある都市というイメージしかありませんでしたが、こんな魅力があるとは気づきませんでしたね。行ってみたいなと思いました!

(番組パーソナリティー 川久保さんコメント)
宇都宮大学の皆さんが、足利に乗り込んで「名草の生姜がいい!」って思ったんでしょうね。どれくらいすごいのかを体感したいです。

 

現地取材記事:誰も気に留めなかった「名草生姜」が地域おこしの主役になるまで

 

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文・構成 = 池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

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