毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2月12日放送の『地域人』のコーナーから、埼玉県から古い団地を活性化させるジャズ喫茶の取り組みをご紹介します。
埼玉県のちょうど真ん中あたり、東京のベッドタウンでありながら、雑木林や畑が点在し身近に緑が感じられる北本市。1971年、このまちが市としてスタートした同時期に誕生した北本団地は築50年を超え、老朽化や高齢化が大きな問題となっていました。
そこで、地元のまちづくり会社『暮らしの編集室』、UR都市機構、市役所らが「北本団地活性化プロジェクト」を立ち上げ、地域の活動拠点となるシェアキッチン「北本団地・中庭」をオープン。東京から移住を決めたジャズミュージシャン・落合康介さんは、2021年よりここでジャズ喫茶を開店しました。今回は、音楽と食を通じてコミュニティを広げ、この団地に新たな風を吹き込んでいる落合康介(おちあい・こうすけ)にお話を伺いました。
――落合さんは、ジャズのライブを中心にさまざまなジャンルのアーティストとコントラバス、馬頭琴などを通じて交流しています。2021年に夫婦で都内から北本市に移住し、ジャズ喫茶「中庭」をオープン。ジャズライブの開催や、団地で福祉に関するイベントなども企画されています。落合さん、都内から北本市へ移住されたきっかけを教えていただけますか。
2020年に、妻のカナコさんが西荻窪でキッチンを借りてお店を開いていたんですが、コロナ禍の影響でクローズになってしまいました。そろそろ引っ越しを考えようかなと考えていた時、北本市で活動している『暮らしの編集室』の江沢さんから連絡をいただいて、「商店街で何か面白いことをしてみない?」と声をかけていただいたんです。
――仕掛け人の方とは、元々ご縁があったんですね。
そうですね。妻のカナコさんと江沢さんは、昔からの知り合いでした。
――奥様のことを「さん付け」されているのが素敵ですね。ジャズ喫茶「中庭」はご自身がジャズミュージシャンということもあって立ち上げたのでしょうか。
そうですね。カナコさんが喫茶店をしていたこともあり、融合させました。
――お店に行くと、ジャズの音楽が流れているんでしょうね。レコードは何枚ぐらいお持ちですか。
7000枚*ぐらいになるかな。CDもあります。団地の方々が「家で聴けなくなったから」と持ってきてくださることもあって。そのためジャズに関わらず、演歌もかけたりしています。
(*番組放送時およびポッドキャスト上では2000枚となっていますが、放送後の確認で7000枚以上と判明したため、記事上は7000枚に訂正)
――さまざまなジャンルの音楽の集積地みたいでいいですね。地元の皆さんの反響はいかがですか。
団地なので年配の方が多いんですが、それ以外にも団地に住む子どもたちと音楽を使った音遊びをしたり、タップダンスの教室を開いたりして楽しんでもらっていますね。
――お店の営業時間は?
お店の開店時間は午前10時〜午後3時まで。土日は、午後ぐらいからオープンし、イベントが入っていれば日が暮れるまで開いています。
――移住してみて、変わったことはありましたか。
1番驚いたことは、人との距離がすごく近いということです。人と常につながっている状態で、必然的にコミュニケーション能力が試されます(笑)。今までも人と会う仕事をしてきましたが、 幅広い年齢層の方々とここまでコミュニケーションをとることはなかったですね。この前、インドに行ったんですが、団地の雰囲気はインドと近いなと思いました。
――インド!?
インドの建物って、作りとしてはどこか無個性で無機質な感じがします。でも、そこに住む人々はすごくカラフルな個性を持っていて。そういったことが団地と似ていると思ったんです。
――今後の展望はありますか。
店の名前は団地の「中庭」なので、誰でも自由に、「こんなことをやってみたい」と思う人に使ってもらえたらと思います。ジャズ喫茶ではありますが、コミュニティスペースとしての役割もあるので、団地の行事も行っています。 気取らずに、まちの一部として溶け込めたらいいなというのが目標です。
――今後のイベントスケジュールを教えていただけますか?
2月17日〜27日まで、「北埼玉ナーダム」というモンゴル雑貨市を開催しています。去年、モンゴルに行った時に繋がった人たちが団地に来てくれて、ドゴール人のボルド・エルデネさんという方がバトーキンの生演奏をしに来てくださいます。今日もジャムセッションという、みんなで楽器を持って集まって好きに演奏するイベントが行われます。
――日々、にぎやかなイベントを発信されているのですね。ありがとうございました!
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(番組パーソナリティ横田さんコメント)
「団地が生まれ変わる」というのは、どの地域でもあると思います。スーパーがあるところなら、子どもがたくさん住むので交流が生まれると思うんですけど、 そうじゃない地域でも世代間交流ができるこのようなスペースってなかなかないものだなと。とても貴重だなと思いました。
(番組パーソナリティ 川久保さんコメント)
団地とジャズはミスマッチな感じはあるけれど、逆に面白い化学反応がありそうで楽しみですね。
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文・構成 = 池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部