毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は4月16日放送の『地域人』のコーナーから、千葉県にキャンプ場を立ち上げた夫婦の取り組みをご紹介します。
千葉県の房総半島 南東部に位置する勝浦市に、この春「リスッコ・ファミリーキャンプ場」がオープンします。
ここは東京から移住してきた森永さんご夫婦がゼロから里山を開拓し、子育て世代のために作ったファミリー専用のキャンプ場。自然の中で子どもたちにさまざまな体験と、自由な発想力を育てる場を提供しています。
「家族のかけがえのない思い出作りの場所になることを目指しています」と語る、株式会社「アウトドア・ラボ」の代表取締役、森永孝仁(もりなが・たかひと)さんにお話しを伺いました。
――森永さんは、以前までITのスタートアップの取締役CTOに従事していたそうです。子育てをしていくなかで「安心して子どもを連れて行けるキャンプ場を作りたい」と思ったことから、勝浦市に約4000坪の里山を購入し、家族で移住。ゼロから夫婦で山を開拓し、5月1日に「リスッコ・ファミリーキャンプ場」をグランドオープンします。森永さん、IT企業勤務からキャンプ場の経営とは、大きな変化ですね。
パソコンのキーボードからチェンソーに持ち変えることにしました(笑)。
――「安心して子どもを連れて行けるキャンプ場がない」という悩みがきっかけだったそうですが、具体的にどんな悩みだったのでしょう。
僕は月2回ほど、子どもと一緒にキャンプに行っていました。ただ、近年はソロキャンプなど、大人の楽しみとして取り組む人が増えており、同じ場所で子どもがキャンプすることの難しさを感じていました。
ソロの人は穏やかに過ごしたいだろうに、うちの子が叫んで走り回っていたり、夜泣きをした子どもの声が、静まり帰った場内に響き渡ってしまったりすることもありました。僕ら夫婦も対策をしていくんですが、どこか気を遣っていたんです。
それで、ファミリーで楽しめるキャンプ場を探しましたがなかなか見つからず、もともと何かを作ることが好きだったこともあって、「ないなら作ってしまおう!」と思ったんです。
――4000坪の山を購入するのは、大きな決断だと思います。今まで管理されていなかった山を買われたそうですね。
どこの地方でも人口が減っていて、間伐するなど、山の手入れが行き届いていない現状があります。僕たちが購入した山も、雑木林の密林のような状態からスタートしました。周りから「本当に夫婦でやるの?」「本当は(山づくりの)経験があるんでしょ」と言われていました(笑)。
――なぜ、ご自分たちだけでやろうと思われたのでしょう?
単純に、作りたかったんです。コンピューターでアプリやウェブシステムを作ることをしていても、 自らの手で形になるものを作っていないことに気がつきました。妻も「そんな面白いことをやるんだったら、仲間外れにしないでね」と言ってくれて。当時、妻は2人目の子どもを産む直前にもかかわらず、キャンプ場作りに加わってくれました。
――チェンソーやブルドーザーもご自身で操ったそうですね。
ショベルカーを中古で1台購入し、乗りこなすために講習会に行って練習しました。高さ20メートル以上ある木がほとんどなので、上に登ってチェンソーで伐り倒したりなどしましたね。
――もう林業ですね…。とくに大変だったことは?
「1発勝負」っていうところですね。木はたくさん伐ってしまうと、また生やすのに50年以上かかってしまいます。キャンプ場の景観を保ったり、子どもたちが遊べるスペースを作ったりなど、さまざまなことを考えながら伐る必要があるんです。
――いよいよ5月1日にグランドオープンですが、キャンプ場の特長を教えてください。
「リスッコ・ファミリーキャンプ場」は、「里山の木々を最大限残す」というコンセプトがあります。僕らが伐採し、木を残そうとしたからこそ、場内には木洩れ日や日陰がたくさんあるんです。こんなに木々が近いキャンプ場というのは、僕が今まで行った場所のなかでどこにもなかったように思います。
それ以外にも、子ども用のお手洗いやおむつ交換台、親子で一緒に洗い物ができる高さが異なるシンクなど、水回りに利便性を持たせました。自然のなかで自由に遊べる、ファミリー専用のキャンプ場です。お互い様の精神で過ごしていただけたらと思います。
――現在、プレオープン中とのことですが、どんな反響がありますか。
子どもたちが目の色を変えて遊ぶ姿を見た親御さんから、「普段、こんなに動き回る子ではないのに!」と驚かれたことがありました。このキャンプ場だからできる体験を、楽しんでいただけていると思います。
――森永さんは移住者でもありますが、今後、地域とどんなふうに関わっていきたいですか?
ありがたいことに、地域の方に受け入れていただき、皆さんに応援していただいています。僕には4歳と1歳の息子と娘がいますが、子どもたちにとってまさにこの地域がふるさとになるのだなと。そう考えると、もっと勝浦市の魅力を発信していきたいと言う気持ちになります。
妻が中心に行っている「勝浦ブループロジェクト」では、SNSで若い人たちに勝浦の海の素晴らしさを伝えています。こういった活動を通して、地域に貢献をしていきたいと思っています。
@katsuura_blue #沖縄 じゃないよ?#千葉の海 だよ? #勝浦ブルー ♬ 海の声 - fumika
――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
「リスッコ・ファミリーキャンプ場」は東京都心から90分という近距離に位置しています。「日本の渚100選」に選ばれた鵜原海岸まで車で6分という近さも魅力です。ぜひこの夏、猛暑知らずの勝浦に遊びに来ていただければと思います。
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文・構成 = 池田アユリ