山燕庵の「自然循環型の農法」 高い品質のお米で美容業界からも注目|石川県羽咋郡志賀町

2023.2.7 | Author: 池田アユリ
山燕庵の「自然循環型の農法」 高い品質のお米で美容業界からも注目|石川県羽咋郡志賀町

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は1月22日放送の『地域人』のコーナーから、石川県を拠点にお米や加工品の生産販売を行っている株式会社山燕庵(さんえんあん)の取り組みをご紹介します。

自然循環型の農法で、安全とおいしさを追求した農産物を生産する株式会社山燕庵。生産地は石川県羽咋郡志賀町、本社兼出荷倉庫は埼玉県川口市に位置しています。

美味しいお米「コシヒカリアモーレ」、そのお米を使って作る玄米甘酒「玄米がユメヲミタ」、米ぬかカスを利用した暖かグッズ「ぬくぬくのぬか」、「ヌカモフ」などの加工品を製造・販売。今年2月には、化粧品ブランド「SHIRO」の原材料として「コシヒカリアモーレ」の米ぬかを使用した化粧品が販売されるなど、美容業界からも注目されています。

株式会社山燕庵が販売する商品たち(画像提供:株式会社山燕庵)

「都会の消費者と地方の生産地を結ぶ」をコンセプトに、都会にいながら自然を感じられるような時代に合った商品の提案を続けている「山燕庵」。今回は、代表の 杉原晋一(すぎはら・しんいち)さんにお話を伺いました。

 

株式会社山燕庵 代表 杉原晋一(すぎはら・しんいち)さん(画像提供:株式会社山燕庵)

 

農業とは縁遠い業界から農家への転身 きっかけは“父の夢”

――神奈川出身の杉原さんは、以前まで農業とは縁遠い映像制作会社とマーケティング会社で働いていました。会社員から一転して、なぜ農業を始めたのですか?

もともと農業に興味があったんです。地元では家庭菜園をやっていましたし、家の周りには栗や梅、梨の畑など、農業に囲まれている地域で育ちました。一番のきっかけは、父が福島県で農業を始めたことですね。手伝ううちに「楽しいな、生き生きするなぁ」と思うようになりました。

 

――なぜ福島県で農業をすることに?

父には昔から「田舎で農業をしながら暮らしたい」という夢がありました。定年退職後、最適な場所として見つけたのが、縁もゆかりもない福島県鮫川村でした。


――福島県は震災被害があった場所です。お父様は震災前から福島県で農業をされていたそうですね。当時、大変だったのでは?

建物や畑の被害は少なかったようです。棚が壊れたり、屋根が少しくずれたりする程度でした。ただ、農産物がまったく売れなくなってしまったのは痛手でした。


――原発事故の風評被害による影響ですね。状況を鑑みると、農業を辞める選択肢もあったのではないかと思いますが、続けてこられた理由はありますか。

美味しくて、安全な食べ物を自分で作るのは、究極の安全確保だと思ったからです。どこの誰かわからない人が作ったものよりも、自分で作ったものが一番信頼できますし、そういった食べ物を求めている人が必ずいるはずで、僕たちならできると感じました。時代のニーズにも、自分の生き方としても合っているんじゃないかなと思いました。

 

山燕庵の「自然循環型の農法」を支える“特別な水”

――山燕庵が取り組んでいる「自然循環型の農法」とは?

なるべく自然の中で生まれた栄養素を取り入れながら、農作物を育てる方法です。主に、減農薬で行っています。


――農薬を減らすということは、(生産面で)いろんなリスクもありそうですね。

リスクとしては、化学肥料を使わないため、栄養価の不足が懸念されます。幸い、当社の田んぼでは特別な水を使うことで栄養豊富なお米ができます。


――特別な水とは?

この地域(石川県能登半島)でしか使えないため池があるんです。他の水が一切入らない純な水なので、栄養豊富なお米が採れます。普通は大きな川の水を農業用水として引っ張ってくるのですが、地域の農業者たちと山のため池を管理することで、水中の栄養価が高まり、良質な水を田んぼに送ることができます。

(画像提供:株式会社山燕庵)

 

自分の田んぼで獲ったお米“だけ”だからこそ「粒ぞろい」

――山燕庵が作っているお米「コシヒカリアモーレ」や甘酒「玄米がユメヲミタ」にはどんな特長がありますか。

「コシヒカリアモーレ」はコシヒカリが品種の1等米で、食味検査ではSクラスと、最も良い評価をいただいています。他社と異なるのは、例えば“魚沼産”のように地域ごとでブレンドするのではなく、当社で取れたものだけを出荷しているところだと思います。そのため、粒がそろっているので、炊き上がりが均一で食べた時に粒立ちがいいです。

コシヒカリアモーレ(画像提供:株式会社山燕庵)

「玄米がユメヲミタ」は、玄米の栄養が詰まったノンアルコールの甘酒です。一般的に甘酒は白米で作ることが多いのですが、当社の商品は玄米を麹で発酵させています。発酵は金沢の「大和醤油味噌」という味噌蔵で行っているため、味噌のコクや旨味を感じていただけます。

「玄米がユメヲミタ」(画像提供:株式会社山燕庵)


精米をして出てくる米ぬかをカイロとしてアップサイクル SDGsを意識した取り組み

――山燕庵のコンセプトである「都会の消費者と地方の生産地を結ぶ」というのは?

当社の商品を買っていただき、食べていただくことで、いつの間にか自然の循環や里山の維持に繋がるような状況をつくりたいと考えています。


――実際にどんな取り組みをしているのでしょう。

例えば、精米をして出てくる米ぬかをカイロとしてアップサイクルしています。本来廃棄されるはずだった布やハーブを組み合わせて商品を作れないかというお声をいただくようになり、SDGsに関連するお仕事も増えてきました。


――最後に、リスナーへメッセージをお願いします。

山燕庵の「コシヒカリアモーレ」、「玄米がユメヲミタ」、レンジで温めて何度も使える「ぬくぬくのぬか」。また、2月22日より化粧品ブランド「SHIRO」の店頭で、当社の米ぬかを利用した化粧品が全国発売されます。ぜひチェックしてみてください。

***

(番組パーソナリティ 横田さんコメント)
化粧品以外の商品は、全国のセレクトショップやECサイトでも購入できるそうです! 「コシヒカリアモーレ」は日本橋の寿司屋「蛇の市 本店」にも卸しているそう。スウェーデンの和食レストランでも使われているとのこと! 今後の展開が気になりますね。

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文・構成 = 池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

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