毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023年7月30日放送の『地域人』のコーナーから、徳島県の「阿波踊り」を世界に発信する取り組みを紹介します。
江戸時代より400年以上の歴史を持つ伝統芸能「阿波踊り」。徳島県を発祥とし、現在では全国の夏祭りで楽しまれている日本三大盆踊りのひとつです。本場「徳島市阿波おどり」では、毎年お盆シーズン4日間に延べ1,000グループもの阿波踊り連が繰り出し、100万人以上の見物客で賑わいます。まち全体が踊り場と化し、「踊る阿呆」も「見る阿呆」も興奮と熱気に包まれます。
この魅力を世に広めたいと奮闘する、株式会社猿楽社(さるがくしゃ)の南和秀(みなみ・かずひで)さん。フリーペーパー『あわだま』、グラフ誌『阿波楽(あわらく)』、外国人向けの情報誌『AWAODORI PRESS』など、阿波踊りをテーマにした出版物を多数手がけ、日本にとどまらず世界へと発信し続けています。
今回は、阿波踊り専門のルポライター歴29年!南和秀(みなみ・かずひで)さんにお話を伺いました。
――南さんは1968年に徳島県で生まれました。出版社勤務を経て、阿波踊り専門のルポライターへ。阿波踊り関係者へのインタビューはこれまで1,700人を数え、現在も徳島をはじめ全国各地で取材活動を行っています。2018年10月には「ジャポニズム2018」の取材のため渡仏し、阿波踊り公演の模様をカメラに収めました。同年12月、初の個展となる写真展「Dansons le présent -パリに舞う、阿波の歓声。」をそごう徳島店で開催しました。南さん、阿波踊りについて詳しく教えていただけますか。
ルーツは諸説あるんですが、徳島県の藩主が庶民に対して「今日は無礼講だから踊りなさい」と言ったことがきっかけだと言われています。400年以上の歴史がある踊りです。生演奏で行われるのが特徴で、男性の踊りの「男踊り」、女性の踊りの「女踊り」というものが基本になるんですが、女性が男性の踊りをする「法被踊り」や子どもだけの踊りなど、さまざまな種類があります。
――チームのことを「連」と呼ぶのはどんな理由があるのでしょう。
「連なる」という意味合いから呼ばれていると思います。それぞれの連の名前は、地域の名前や趣味の団体など、それぞれのグループにちなんで名付けられています。
――「踊る阿呆」も「見る阿呆」という言葉が有名ですが、どんな意味があるんですか。
阿波踊りは見ていても楽しいのですが、踊るとさらに楽しくなるんですね。「その場にいるんだったら、一緒に踊りましょう」という囃子詞(はやしことば)です。
――阿波踊りの専門誌を作ろうと思ったきっかけは?
地元で生まれ育ったものの、子どものころは阿波踊りにまったく関心がなかったんです。大人になって入社した会社が郷土の出版物を手がけていて、そこから興味を持ち始めたのがきっかけです。
――徳島の人にとって、阿波踊りは非常に大切なものなんですね。
そうですね。生活の一部になっています。多くの方が阿波踊りの時期である8月を起点に、1年の計画を立てていますね。8月が終わると、年を越したような感覚になります(笑)。
――阿波踊りは全国規模で展開されていますが、各地に広がった理由をお聞かせいただけますか。
東京都内にも30から40カ所ほど阿波踊りが行われていますが、徳島県の人が関わっていたわけではありませんでした。各地の商店街のイベントとして始まったようです。それぞれの地域で長く続けられています。お御輿や山車に比べると、阿波踊りは初期費用があまりかからないので広まりやすかったのかもしれません。
――2018年にフランスで取材をされたそうですね。
海外でも阿波踊りは人気を見せています。50年前にはすでに、ブラジルのリオで連が結成されていたんですよ。コロナ以前はインバウンドの影響を受けて、2018年は海外で阿波踊りの公演が非常に多かったんです。そのひとつとして、フランスに取材に行きました。
――ちなみに、南さんは踊られるんですか?
踊れないんですよね。見よう見まねはできるんですけれど(笑)。今年は8月12日から15日までの4日間、普段は静かな街である徳島市が踊り一色になります。
――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
ぜひ阿波踊りを見にお越しください。また、弊社では今年も「阿波楽」という雑誌を出版します。Amazonなどで購入できますので、 ご興味ある方はぜひお願いします。
――南さん、ありがとうございました!
***
(番組パーソナリティ 横田)
私の手元に「阿波楽」があるんですが、たいへん内容が濃い! 阿波踊りってこんなに奥深いんだなっていうのを改めて感じましたね。
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文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部