毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023年8月27日放送の『深堀り』のコーナーから、和歌山県で梅を手掛ける人たちの取り組みを紹介します。
「日本の伝統食・梅を後世に残したい」という想いでメンバーが集まった「梅ボーイズ」。南高梅を使用した、安心して食べられる「梅・塩・紫蘇」だけで漬けた無添加の梅干しにこだわり、全国の小売店・オンラインショップで販売しています。
和歌山を拠点に活動中の梅ボーイズですが、全国で後継ぎの決まっていない梅農園を次世代に継承する取り組みも開始。7月からは、北海道三笠市で10万平米の梅園の経営を引き継ぎ、地域の活性化にも貢献しています。
今回は、「梅ボーイズ」のリーダー、山本将志郎(やまもと・しょうしろう)さんにお話しを伺いました。
――山本さんの実家は、和歌山県で100年以上続く梅農家です。北海道大学薬学部を卒業後の2019年、株式会社うめひかりを設立。梅でワクワクすることをモットーに、より多くの人に梅の魅力を伝えるため、日々活動中です。山本さん、もともと家業を継ぐお気持ちがあったのでしょうか。
実はぜんぜん継ぐ気はなかったんです。僕が大学生の時に、兄がこの農園を継ぎました。僕は大学でがんの新薬の開発に携わっていたので、いずれは会社の研究室に勤めようと思っていました。
――だいぶシフトチェンジしましたね。地域の後継者不足もあって、お兄さんを手伝うようになったんですか。
そうですね。和歌山県は日本一の梅の産地ですが、やはり後継者不足は深刻です。最初に手伝い始めた理由は、実家を継いだ兄の仕事が栽培までで、漬けるのは梅干し屋さんに頼んでいたことからでした。
それにより自分の梅がどこでどうなっているかがわからず、「農業をしいても、やりがいがなぁ……」という話になり、「兄が育てた梅の味を生かして梅干しを作ろう!」と思ったのがきっかけです。
――薬学部の知識を生かしたのでしょうか。
いろいろ実験しましたね。ジップロックに梅を小分けして、何十通りもの漬け方を試しました。
――山本さんがリーダーとなって誕生した「梅ボーイズ」。どんなメンバーが集まっているんですか。
メンバーは20代から30代までの7名で、梅農家の集まりです。
――普段はどんなことをされているんですか。
栽培した梅を塩と紫蘇で漬け、販売する活動がメインです。また、地域で耕作放棄地がどんどん増えているので、もう1度耕して、新しく農業を始めたい人たちが農園長になれるような仕組みを作っています。
――皆さんが作った梅干しはどこで食べられますか?
「梅ボーイズ」で検索いただくと、購入サイトがでてきます。とにかく酸っぱい梅干しだけを販売しています(笑)。
――あはは! とにかく酸っぱいんですね。
酸っぱい梅干しが好きな方は、ぜひ挑戦してみてください。
――7月から、北海道三笠市にある梅園の経営を引き継いだそうですね。その経緯を教えていただけますか。
和歌山での仕事が軌道に乗り、他の地域の方々からも依頼をいただくようになりました。北海道の農園は10万平米と、すごく大きいんですよ。和歌山で言うと、6農家分の農地が1か所に固まっているイメージです。地域の人たちにとって憩いの場というか、シンボルみたいな梅園でした。ですが「経営的に耕せていない」という相談をもらい、見に行ったのがきっかけですね。今年はひとまず、北海道へ農作業をしに行きました。
――気候が全然違うので、その辺りの問題がありそうですね。
そうなんです。梅の木は雪の寒さで勢いがなく、品種も異なるので和歌山と比べると収穫量が少ないんですよ。
――広大な敷地なのに、収穫量は少ないんですね。
和歌山と比べると、100分の1ぐらいです。その中でも「なんとか再生してほしい」という声があったので、今は試行錯誤しながらやっています。
――どんな品種の梅を扱っているのでしょう。
「ブンゴ」という品種で、青森ではよく育てられているものになります。
――南高梅と比べると、サイズや味わいはいかがですか。
サイズは南方梅と引けを取らないくらい大きいです。ただ、南高梅は半熟しきった柔らかいものを梅干しにするんですが、ブンゴは木からもぐのが一般的なので、柔らかさはあまりなくて。梅酒だったら美味しいものができるんじゃないかなと思います。
――梅酒は梅でだいぶ風味が変わりますもんね。
今年はシロップだけを作っていますが、今後どうなるのか楽しみです。
――最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。
「梅ボーイズ」は、全国各地で梅の文化を残していくために取り組んでいます。YouTubeチャンネルではその活動を発信していますので、よろしければご覧ください!
――山本さん、ありがとうございました!
***
(番組パーソナリティ 横田)
仕事のやりがいを求めたことがきっかけとなって、うまく地域に生かされているのがいいですよね。皆さんの活動がもっと広まったらいいなと思います!
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文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部