毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は5月21日放送の『地域人』のコーナーから、鳥取県で珈琲豆を天然水で洗う焙煎所をご紹介します。
鳥取県西部にそびえる秀峰・大山の南側の麓に位置し、岡山県との県境にある町・江府町。県三大河川・日野川の源流を有する水資源が豊富なこの場所で、2020年に起業したのは、大阪から移住してきた遠藤明宏(えんどう・あきひろ)さん。
山間にある廃校を活用し、奥大山の名水で豆を洗ってから焙煎する「奥大山の水洗い珈琲豆」の焙煎所としてリニューアル。大山の雄大な景色と美味しい水、そして珈琲の香りと共に、第二の人生を謳歌しています。今回は、遠藤さんに移住や起業のお話しを伺いました。
――千葉県出身の遠藤さんは現在66歳。大手食品メーカーで商品開発や営業を経験し、定年後は妻のふるさとである鳥取県に移住します。その後、趣味の珈琲焙煎を活かして起業。全国の珈琲ファンにお届けできることを喜びに感じていらっしゃる今日この頃とのこと。遠藤さん、とってもお若く見えますね。
いえいえ、若作りです(笑)
――充実したセカンドライフを送っていらっしゃるからこそかもしれません。移住しようと決めた理由をお聞かせいただけますか。
ある日、妻が「わたしが定年 を迎えたら、いつまでもここにいる必要がないし、高齢の両親がいる鳥取県の倉吉に戻りたい」と言ったんです。この一言で、私の気持ちが動きました。「妻について行こう!」と思いました。
――あはは(笑)。大事なことですね。奥様のご両親はご健在でいらっしゃいますか。
90代も近いですが、元気にしております。
――移住したことで、大きな変化を感じたことはありますか?
想像していた通り、自然が近いという印象を持ちました。家の周りには田んぼがあって、カエルの鳴き声がびっくりするくらい大きいんですよ。「いったい何匹いるんだろう?」って思うくらい。 このカエルの声の大きさも、一線を超えると笑いがこみ上げてきます(笑)。いつも身近に自然を感じて、私にとって移住は3重丸、ですね!
――もともと珈琲焙煎の趣味があったそうですね。
生の豆を入手して、妻との2人分の珈琲豆を、自宅のガスコンロの上でくるくると機械を回しながら焙煎して楽しんでいました。
――趣味が高じて起業するなんて、すごいですね。「珈琲豆を水で洗う」ということですが、詳しくお聞かせいただけますか?
ある時、インターネットで上手な焙煎の仕方というのを調べていたんですね。すると、ある情報に出会いました。「珈琲の生豆の周りには土埃がたくさんついているので、水で洗ってから焙煎するといい」と書いてあったんです。それで試してみたら、クリアでスッキリした味になっておいしかったんです。
――へぇ!
妻も驚いて、職場の人に「夫が焙煎の趣味を始めました。飲んでやってください」と、その珈琲豆を配ったんです。数日後、皆さんから「飲みやすかった」「スッキリした味ですね!」と好評の声をいただきました。
変な先入観を持ってもらいたくなかったので、お渡しするときには水で洗った豆だということは言わないでもらいました。けれども、私と同じ感想が返ってきたので、すごく手ごたえを感じました。
「全国には珈琲ファンがたくさんいるけれど、本来の豆の味を知らない人がほとんどなのかも」と思ったんです。「このおいしい珈琲豆を届ける仕事は、残りの人生をかけるだけの価値がある!」そう思って起業しました。
――お住まいは倉吉だそうですが、焙煎所は江府町で、少し離れた場所にあるそうですね。豆を洗うためのいい水があるからでしょうか。
そうなんです。「どうせ洗うなら、鳥取を代表するおいしい水で洗いたい」という思いがありました。そこで見つけたのが、 奥大山(おくだいせん)の天然水でした。毎日車で約50分かけて、江府町で焙煎をしています。
――焙煎所は、廃校になった学校を使っているそうですね。
旧米沢小学校の理科室を借りています。焙煎するための熱源はガスですから、ちょうどよかったです。
――学校は広いですからいろいろ使えそうですが、他の教室も使われていたりしますか?
いえ。あくまでも理科室だけをお借りしています。
――そうなんですか! 他の教室も、喫茶店などに使えたら良さそうな気がします。
今後、挑戦したいですね。
――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いいたします。
「奥大山の水洗い珈琲豆」は、生豆の周りに付いた土埃を奥大山の水できれいに洗ってから培煎しています。雑味がなく、スッキリした味わいが楽しめます。 豆そのもののグレードも非常に高く、「スペシャルティコーヒー」という、海外審査員がテイスティングをし、80点以上の点数を付けた珈琲豆だけを使っています。ホームページから、ぜひお買い求めいただけたらと思います。
――遠藤さん、ありがとうございました! 奥様とともに元気にお過ごしください!
***
(番組パーソナリティー 川久保さん)
好きなことを仕事にして、ライフワークにできるというのは幸せなことだなぁと思いますね。
(番組パーソナリティー 横田さん)
「好きこそものの上手なれ」って、このことだなと感じました。珈琲焙煎の研究を熱心に進めている姿が素敵だなと思いました!
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文・構成 = 池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部