2007年06月/第45回 本場ナントのラ・フォル・ジュルネ

 今年も5月のゴールデン・ウィークに、東京国際フォーラムで3回目の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が開催され、大変な人気を集めた。
 日本クラシック界最大の行事ともいえそうなこの催しが、フランス西部の町ナントで毎年行なわれている音楽祭を移植したものだというのは、多くの方がご存じだろう。
 1995年に始まったナントの「熱狂の日」は、すでに13回を数える。今年も1月31日から2月4日まで、5日間開催された。テーマは東京と同じ「民族のハーモニー」。曲目も演奏者の顔ぶれも、かなり共通している。
 東京都だけで1200万、首都圏で考えれば4200万という人口を持つ「オ・ジャポン」とわずか30万人のナントでは、そもそも周囲の規模が異なるし、ゴールデン・ウィークという特殊な休日の連続も、ナントにはない。ところがそれでも町の人口の半分にあたる15万人を動員するというのだから、さすが「元祖」の熱狂恐るべし、である。
 今月のユーロ・ライヴ・セレクションでは、14日から24日にかけ、9回にわたって今年のナントの「熱狂の日」のライヴをお送りする。颯爽たるヴァイオリンで旋風を巻きおこしたネマニャ・ラドゥロヴィチなど日本にも来た音楽家ばかりでなく、コンチェルト・ケルンやケルン室内合唱団のように、来日しなかった人たちの演奏も聴けるという、オマケも付いている。

山崎浩太郎(やまざきこうたろう)
1963年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。演奏家たちの活動とその録音を、その生涯や同時代の社会状況において捉えなおし、歴史物語として説く「演奏史譚」を専門とする。著書に『クラシック・ヒストリカル108』『名指揮者列伝』(以上アルファベータ)、『クライバーが讃え、ショルティが恐れた男』(キングインターナショナル)、訳書にジョン・カルショー著『ニーベルングの指環』『レコードはまっすぐに』(以上学習研究社)などがある。
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