大いなるジャズの軌跡(最終回)ーデューク・エリントン

最終回にふさわしいのは誰かを考えた時、現代に続くジャズへの貢献度という意味でもデューク・エリントンを外すわけにはいかない。個人的にもシナトラ、エリントンを生で聴いて以来、ジャズ人生が決定づけられた奏者である。取り上げる1963年「The Great Paris Cocert」ではエリントンの優美さとライブでの荒々しさが両立した作品である。これは1923年以来エリントン自身がバンドを解散していないことと、長きにわたって支えてきたメンバー(ジョニー・ホッジスなど)がいたこともあり、いくら譜面を用意しても決して真似できないサウンドを守ってきたことの証明でもある。個としてもバンドとしても唯一無二を守り続けられた奏者は誰か考えた時に「エリントンだな」と至っても何ら不思議なことではないのである。

ここまでの約16年間数多くのジャズ奏者を取り上げてきたが、いずれもジャズ史に足跡を残した「喝采を浴びる」にふさわしき巨人たちである。これだけの歳月をかけてなおその軌跡の全容を表しているわけではないが、言い換えればそれだけ巨大な世界観があることこそがジャズの醍醐味なのだ。また何かの機会があれば再びお会いできることを楽しみにしたい。(23日)