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永遠に残る名曲と名演を、音楽評論家・東条碩夫さんのご案内でお届けします。
6月/日本のオーケストラ、入魂の競演
今回は日本のオーケストラを聴いてみましょう。わが国のオーケストラ、最近は本当に演奏水準が高くなりました。周囲との調和を重んじる日本人の性格のため各楽器がけば立たない、日本語の発音の特性の影響で響きがなだらかになる━━といった特徴もあり、それが好みを分けることは事実ですが、たとえばドイツ、フランス、アメリカのオーケストラの個性がそれぞれ違うのと同じように、日本には日本のオーケストラの個性があっていいはずなのです。
今月取り上げる曲と演奏は、ヤン・ヴィレム・デ・フリーント指揮京都市交響楽団のシューベルトの交響曲「ザ・グレイト」、大野和士指揮東京都交響楽団のマーラーの交響曲「巨人」、パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のバルトークの「管弦楽のための協奏曲」、ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のマーラーの交響曲第5番。入魂の快演をお聴きください。(東条碩夫)[6月4日放送 再=11日・18日・25日]
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※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。



アメリカの名門、ボストン交響楽団は、今世紀初めまで29年間にわたった小澤征爾の音楽監督時代の思い出もあって、私たち日本のファンにはひときわ身近な存在と言えるでしょう。今回はそのボストン交響楽団の、この1世紀の間に音楽監督を務めた大指揮者の中から、4人の名演を聴いてみます。
最初に、20世紀前半に君臨した個性的な巨匠、セルゲイ・クーセヴィツキー。ボストン響の活動に多くの新企画を導入し、また多くの作曲家に作品(それも結果として名作続出!)を委嘱した人です。最も有名な業績は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」の管弦楽編曲をラヴェルに委嘱したこと。今回はその彼の指揮する「展覧会の絵」を聴いてみましょう。録音は古いですが、聴きやすい音です。
彼の後を継いだ音楽監督が、かの有名なフランス生まれの巨匠、シャルル・ミュンシュです。極め付き、ドビュッシーの「海」と、サン=サーンスの「第3交響曲」を。
それから2人の指揮者を間において、われらの小澤征爾が音楽監督に就任します。今回は意表を衝いて、チャイコフスキーの「第5交響曲」と、フォーレの「ペレアスとメリザンド」を選んでみました。これは実に純で清澄な、素晴らしい演奏です。
そして、現音楽監督のアンドリス・ネルソンス。ショスタコーヴィチもいいですが、今回は昨年の来日で演奏したR・シュトラウスの「アルプス交響曲」はいかがでしょう。
(東条碩夫)[4月30日放送 再=7日・14日・21日・28日]
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※オンエア曲リストは放送後2週間を経過すると削除されます。ご了承ください。




「ニューディスク・ナビ」の代わりというには不足ですが、最近私が気に入った新譜から、これぞというディスクをご紹介してみたいと思います。
まずは意欲満々、パーヴォ・ヤルヴィとドイツ・カンマ―フィルのハイドン。彼らの最新録音「太鼓連打」は、「パパ・ハイドン」などというおっとりしたイメージを粉々にするほど大胆不敵な演奏です。そして、80歳代に入った巨匠マウリツィオ・ポリーニが再録音に挑んだベートーヴェンのピアノ・ソナタ集。この年齢で大難曲「ハンマークラヴィーア・ソナタ」を弾くというのが凄いですね。
正統的な演奏ですが、不思議な凄味をたたえたマルタ・アルゲリッチとルノー・カプソンによるベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」も聴き逃せません。そして最後に、ベルリオーズの歌曲集「夏の夜」と交響曲「イタリアのハロルド」を組み合わせたディスクもぜひ。この2つの曲の続き具合がまた絶品ですし、余計な演出を一切入れないストレートな演奏が、ベルリオーズの音楽の良さを引き出しています。(東条碩夫)
[2日放送 再=9日・16日・23日・30日]
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