THE JAZZ【Premium】
Jazz In Applause
再放送=(土)13:00~14:00
ジャズが歴史上ただ一度ポピュラー・ミュージックのトップ・ランナーの位置に立った「Swing Age」と呼ばれた時代(1930年~1945年)。「Jazz In Applause」(ジャズ・イン・アプロウズ=歓呼のジャズ)は、そんな時代を彷彿とさせるゴージャスな時間をお届します。
11月/オスカー・ピーターソンを支える者たちのお話し
11月の最初に取り上げるのは「A Jazz Portrait of Frank Sinatra」。数多のジャズ奏者からリスペクトされるフランク・シナトラの得意作をセンス良くまとめるのはオスカー・ピーターソンにとっても大仕事である。それらを絶妙に料理してみせたことはピーターソンのセンスもピカ一であるが、アルバムを企画したであろうノーマン・グランツのシナトラに対する特別な敬意、あるいは内心Verveにて歌ってほしかった、という思いが見えてくる。(3日)
ミルト・ジャクソンと共演した「Oscar Peterson Trio with Milt Jackson」では弱音から強音に至るまでぴたりと寄り添い、あたかも初めからレギュラーメンバーであったかのような調和がとれている。それはひとえに名手同士が集まって奏でる「大人の余裕」もあるだろうが、「MJQ」を率いていたミルト・ジャクソンとそこ所属していたレイ・ブラウンの絆の強さやそれに共感するピーターソンの心意気も感じることができる。(10日)
1962年ごろはオスカー・ピーターソンにとっても一つの転機となる。というのも彼やトリオを支えてきたノーマン・グランツに代わりジム・デイビスが専属プロデューサーについたのである(総合Pはグランツ)。「West Side Story」はそのデイビスに代わってからのヒット作の一つである。すでに傑作となっているウェストサイド・ストーリーを前にピーターソンやデイビスもまた、単に曲を並べるだけでなく徹底的なアレンジを加えている。その結果、ノーマン・グランツの後継としての自負と新路線を開拓するデイビスの意思や、それに応えようとするトリオの本気が伺える逸品に仕上がっている。(17日)
ジム・デイビスの挑戦的な姿勢はアーニー・ウィルキンス・バンドと組ませた「Bursting Out With The All-Star Big Band 」からもうかがえる。基本的にオスカー・ピーターソンはライブでの余興でもないかぎりビッグ・バンドと組むことはまずないが、あえて組み合わせることで新たな魅力を引き出すことに成功している。それは「Manteca」のラテンなリズムに乗っかりつつ、ソロに入った途端にサラりと洒落っ気を出して弾いて見せたことでもよくわかる。まさにバンドの「熱気」とピーターソンの「瀟洒」が両立している逸品なのである。(24日)
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