真空パックでフードロス削減!インターホールディングスの超高真空特許技術

2023.10.29 | Author: 池田アユリ
真空パックでフードロス削減!インターホールディングスの超高真空特許技術

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023年9月17日放送の『深堀り』のコーナーから、真空パックでフードロスや二酸化炭素の削減を目指す取り組みを紹介します。

“「捨てない」毎日を、未来に”をスローガンに、「超高真空特許技術」を活用し、地球全体の二酸化炭素の削減を目指す株式会社インターホールディングス。

同社が保有する真空特許技術は、ロケットの油圧機器から着想を得た真空率99.5%を可能にする世界唯一の技術です。この技術を活用することで食品の酸化を防ぐことができ、フードロス・GHG(温室効果ガス)・コスト削減などの課題解決に貢献。循環型社会の発展に寄与することを目指しています。

今回は、同社の代表取締役社⻑ 兼 CEO 成井五久実(なるい・いくみ)さんにお話を伺いました。

真空率99.5パーセントの「真空パック」⁉

――福島県出身の成井さんは東京女子大学文理学部 心理学科卒業後、DeNAに入社し、デジタル広告営業を経験。その後、トレンダーズに転職し、100社以上のPR、女性マーケティングを担当しました。2016年、28歳でジオンを設立し、情報サイトを運営。会社設立から1年後、事業を売却し、ベクトルグループ参加のスマートメディア社長を務める傍ら、女性企業家を支援する活動にも従事。2022年6月からインターホールディングスにて現職に至ります。成井さん、「超高真空特許技術」についてお聞かせください。

この技術は、現在92歳の発明家・萩原忠先生が昨年、特許技術を私の会社に譲渡いただいたという背景があります。 もともと萩原先生がNASAのアポロ計画に参画されていたので、そのロケットの油圧機器からの着想を得て、民間用の真空パックの構想に繋がりました。

――真空率99.5パーセントと、100に近いわけですが、一般的な真空率はどのぐらいなんでしょう。

通常の真空パックの真空率は7、8割と言われています。

――そうなんですか! 超高真空は宇宙空間のレベルなんですね。

はい。超高真空というのは、圧力の世界で4段階目に高いもので、大気圏を突破した宇宙空間と同じ状況で食べ物などを保存できます。

――どういうところで応用しているのでしょうか。

この真空パックを農家やスーパーマーケット、それから一般家庭の消費者に販売しています。現在は、クラウドファンディングサイトのMakuakeでも販売を開始しています。真空パックのメリットとして、新米を弊社の真空パックに入れていただくと、半年間ほど水分量を保持して保存ができるんです。 お米は時期を過ぎるとだんだん価格が落ちてしまいますが、新米の価値のまま販売することができるので、農家の助けにもなると思っています。

――なるほど。すごくお米が取れた年は、これで保存しとけばいいわけですね。

お米のような固体だけではなく、液体の真空容器もあります。例えばワインなどの飲み残しなど、1本のボトルが開けられない時、真空ボトルに入れていただくと、1ヵ月間は味が変わりません。

 

飲食店の方向けの「大容量真空リフィルパック」や家庭で使える「真空量り売り機」

――自宅でも、気軽に使えるものなのですか?

はい。気体を抜くことを脱気と言うのですが、液体の場合は上に残った酸素を押し出すだけで、 固体の場合は10回ポンプを引くだけで簡単に真空にできます。

――布団圧縮パックは掃除機で行いますが、なかなか吸い切れなくて大変ですもんね。

布団圧縮パックの場合は、時間が経つと空気が逆流してしまうことがありますよね。私たちの真空パックは逆止弁が中に入っていて、空気を逆流させない構造になっています。

――「大容量真空リフィルパック」や「真空量り売り機」もあるそうですが、どのように使うのでしょうか。

「大容量真空リフィルパック」は、飲食店で大容量の真空パックに油や調味料などを入れることで、鮮度が高いまま酸化することなく、料理のクオリティを一定に保てます。

「真空量り売り機」は、真空パックを内蔵した測売機です。小売店やスーパーマーケットで販売中です。必要なものを必要な分だけ、マイパックに入れて持ち帰れます。

――なるほど。1人暮らしの方にいいですね。

私も1人暮らしの時は牛乳を飲みきれませんでしたが、弊社の商品なら30日間ほど味の変化がなかったというデータも出ています。1人暮らしの方にも使っていただきやすいと思います。

 

真空パックでフードロスを解決!

――この技術に惹きつけられたきっかけがあったのでしょうか?

今回、起業家として2回目の挑戦なのですが、物価がどんどん安くなっていて「日本に元気がないな」と感じていました。ただ、日本は技術で世界的なポジションをとってきた国だと思います。 日本で埋もれている技術を、ビジネスを得意とする仲間で世界へ実装するような取り組みができればと考えました。

――今後はどんなことを展開したいですか。

グローバル規模でフードロスの解決をしていきたいと考えています。例えば、食べものが腐りやすい気候の国にこの技術を持っていくことで、世界中に運べなかった食材が運べるようになります。社会の流通を変えていきたいですね。

――最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

インタールホールディングスは、フードロスに着目しています。これから食品を長持ちさせたい農家やメーカーと繋がっていきたいです。また、この真空パックをリユースすることで、過度にプラスチック製品を使用しない脱プラスチックの取り組みにも力を入れたいと思っています。興味のある方はぜひお声かけいただけたら嬉しいです。

――成井さん、ありがとうございました!

***

(番組パーソナリティ 横田)
温かい気候の国々で、本場のお刺身が食べられる日が来るかもしれませんね。同世代なのに「見ている規模が違うなぁ」と、尊敬すべき点がたくさんありました!

文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

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