千葉の食材を使った「房総イタリアン」を味わう! |豊洲「Trattoria BOSSO」

2022.7.18 | Author: 天谷窓大
千葉の食材を使った「房総イタリアン」を味わう! |豊洲「Trattoria BOSSO」

全国のコミュニティFMをネットしてお送りするラジオ番組『ロコラバ』。12時台にお送りしている「東京ロコラバ・ランチ」では、「東京で“ふるさと”をいただく」をテーマに、全国各地のご当地グルメが集まる東京で味わえる“ふるさと”をご紹介しています。

 

今回は、東京・豊洲にある「Trattoria BOSSO(トラットリア・ボッソ)」で、千葉県・房総半島の食材をふんだんに使った「房総イタリアン」を体験しました。

日々の野菜に人気の貝も… 日本の食を支える千葉

大都市圏の一角をなす立地ということもあり、農産地としてのイメージがあまりない千葉県ですが、実は全国的に見ても非常に重要な位置を占めています。たとえば、ネギの生産高は全国1位。鹿児島や茨城のイメージが強いさつまいもも、トップの鹿児島に次いで全国2位。にんじんも同様に、全国2位の生産高を誇っています。

かつては居酒屋などで「大アサリ」の名で提供され、いまやスーパー、一般家庭でも広く見かけるようになった「ホンビノス貝」も、実は千葉県が日本における発祥の地です。1988年、千葉県千葉市美浜区の海浜幕張地域の人工海岸で発見。いわゆる「外来種」でしたが、その美味しさから、食用貝として爆発的に広まっていった経緯があります。

灯台もと暗し、とはよく言ったもの。東京のすぐお隣、千葉県は、日本の食を支える一大拠点なのです。

 

地産地消のイタリア料理をヒントにした「房総イタリアン」

開放的な雰囲気の「Trattoria BOSSO」店内

東京メトロ・ゆりかもめの豊洲駅から徒歩3分、駅前に立ち並ぶオフィスビルの一角で営業している「Trattoria BOSSO(トラットリア・ボッソ)」では、千葉県・房総地域で収穫された食材をふんだんに使った「房総イタリアン」を楽しむことができます。

千葉産食材の魅力を味わえる「房総イタリアン」メニューの数々

お店の名前「BOSSO」は、「房総(ぼうそう)」にちなんだネーミング。地産地消を基本とし、地元の食材を使う文化を持つイタリア料理の精神を取り入れ、「房総イタリアン」と銘打った料理を提供しています。

地元の生産者との深い交流で実現する多彩なメニュー(筆者撮影)

食材は市場で直接買い付けるほか、可能な限り千葉から直送のものを使用。口コミや商談会など通じて生産者との一対一のつながりを大切にし、地元・千葉に根ざしたお店作りに取り組んでいます。

風味豊かなワインとともに食事を楽しむのも、イタリアンの魅力です。お店には、イタリア留学経験者でソムリエの資格を持つ店長セレクトのワインがズラリ。グラスワインも含めると、その種類は80種類にものぼります。

「イタリア国内の20州すべてから必ず1本はメニューにいれています。ワインにあまりなじみのないお客様にも楽しんでいただけるよう、味のお好みを伺ったうえで、最適なワインをお出ししています」(店長)

おいしいワインとの出会いは、食材が持つ風土の味わいとの相性を第一に考えてこそ。「スパイスやフレーバーによってインパクトのある味わいを持つものから、原料のブドウ品種そのものの味わいが楽しめるものまで揃えています」と、店長は胸を張ります。

「たとえばフルーツでも、北海道のフルーツと、九州や沖縄のフルーツは、まったく異なる味がしますよね。酸味が強いものもあれば、甘味が強いものもあります。食材自身にも、産地の風土に由来する味の違いを持つので、ワインもなるべく北から南まで、さまざまな産地のものを選ぶことを心がけています」(店長)

 

百花繚乱! 房総の四季が舞う4種類のピザ

房総の“四季”をイメージした「ピッツア房総」(税込1,850円)

まずいただいたのが、お店の看板メニューである「ピッツア房総」。房総の四季を表した4種類のピザが一枚にまとまっていて、なんとも豪華な一皿です。

(筆者撮影)

「春」をイメージしたピザは、南房総産の菜の花と銚子産イワシ、ドライトマトの組み合わせ。トッピングのバジル、ジェノベーゼは乾物ではなくフレッシュなものを使っており、湯気とともにさわやかな香りを放ちます。

一口食べると、菜の花のしっとりした味わいと、脂のたっぷり乗ったイワシのコクがいっきに口の中へ押し寄せます。その濃厚さに、思わずうっとり。さらに千葉県産のドライトマトがさわやかな酸味とパンチのきいた旨味を添え、食材全体の風味を力強く持ち上げます。

(筆者撮影)

「夏」をイメージしたピザは、南房総・青木農園産のバジルのジェノベーゼと生トマトの組み合わせ。生トマトはとても甘味が強く、まるでオレンジジュースを飲んでいるかのようなまぶしさ。思わず「さわやか!」と声を上げてしまいました。

(筆者撮影)

「秋」をイメージしたピザは、佐倉産の特選無農薬しいたけと生ハムの組み合わせ。しいたけも乾物ではなく、フレッシュな生のものを使っており、生しいたけならではの肉厚なプリプリの食感が味わえます。

(筆者撮影)

そして「冬」をイメージしたピザは、八街産の落花生とベーコンの組み合わせ。ベーコンのしなやかな舌触りとじんわり染み渡る塩味は、なんとも優雅な味わいです。千葉県を代表する落花生は、ポクポクとした素朴な食感。加えてそこに香ばしいナッツの風味があわさり、夏場の取材にもかかわらず、まるで冬の森を散策しているかのような気分になりました。

 

目を閉じれば房総! 地元の風を味わう一品料理

“よじゅえもん”モッツァレラチーズ トマトソース スパゲティ(Full 税込1,520円/Small 税込1,200円)

「BOSSO」の房総イタリアンは、ピザに限らず、さまざまなメニューで楽しむことができます。

「“よじゅえもん”モッツァレラチーズ トマトソース スパゲティ」は、イタリア産トマトをベースにしたソースに、千葉県いすみ市のふるさと返礼品にも選ばれた「よじゅえもんのチーズ工房」のモッツァレラチーズをトッピング。クセがなく、モッチリふんわりとした食感はソースの後味をほどよく保ち、余韻の感じられる味わいを作り出します。

ボッソ自慢の前菜5種盛り合わせ(税込600円)

「ボッソ自慢の前菜5種盛り合わせ」は、房総産の食材をイタリアン風にアレンジした、個性豊かな一品料理を楽しめるメニュー。菜の花の香りとほろ苦さがオイルで引き立つ「房総産 菜の花とベーコンのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノに、旨味が凝縮された「銚子産イワシのコンフィ」は食べ応え抜群。「南房総・青木農園産のフレッシュバジルのカプレーゼ」は、一口食べればバジルの香りが鼻を駆け抜け、森で深呼吸した気分になれます。

なかでも「シラスのゼッポリーニ」は、ちくわ天みたいな食感の、ふわふわしたイタリア風揚げパンといったところ。ほんのり甘くモチモチした生地に青のりの香りが乗っかり、どこかちくわ天のような懐かしい味わい。その純朴な味わいがクセになります。永遠に食べていられる……。

 

近いほど気づかない“地元の魅力”を食で再確認

店内のメニューには千葉県の「地名」が踊る

店内に掲げられた、手書きのメニュー。その一つひとつには、房総産、市原産…… と、千葉県内の地名が添えられています。こうして見ると、千葉県内のさまざまな場所で、その土地の風土を活かした食材がたくさん作られていることがわかります。

人は住みなれている場所ほど、実はその魅力に気づかないもの。いわゆる「観光名所」に地元の人々が行くことが少なかったりと、自分たちにとってはすっかり当たり前の存在であるがゆえ、その魅力に気づけていないものがたくさんあるのかもしれません。「Trattoria BOSSO」は、多彩な味を通じて、地元の魅力に目を向けることの大切さを教えてくれる、素敵なお店でした。

■Trattoria BOSSO(トラットリア ボッソ)

東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント1F
東京メトロ・ゆりかもめ「豊洲」駅から徒歩3分
ランチ 11:30〜17:30
ディナー 17:30~22:30(ラストオーダー21:30)
定休日なし(ビルメンテナンスなどで臨時休業の場合あり)
03-6204-2190

取材・文 = 天谷窓大
企画・編集・撮影 = ロコラバ編集部(株式会社トランジットデザイン)

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