「あすいく」の幸脇啓子さんがつくった、保護者が預けたくなる体験型保育プログラム「駅いく」「山いく」

2023.10.6 | Author: 池田アユリ
「あすいく」の幸脇啓子さんがつくった、保護者が預けたくなる体験型保育プログラム「駅いく」「山いく」

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は2023年9月3日放送の『深堀り』のコーナーから、保護者と保育園を繋ぐ取り組みを紹介します。

 

急な仕事や用事でお子さんを預けたい、でも預け先が見つからない……。そんな子育て世代の悩みを解消するサービスがあります。株式会社grow&partners(グロー・アンド・パートナーズ)が提供する「あすいく」は、一時保育を利用したい保護者と、保育枠を有効に活用したい保育園をつなぐ、一時保育予約&管理サービスです。

 

また、子どもたちが楽しみながら学ぶことができる体験型保育プログラム「駅いく」「山いく」などもスタート。子どもたちの成長につながるだけでなく、保護者のストレスも軽減。家族の笑顔が広がることに貢献しています。

 

今回は、同社の代表取締役、幸脇啓子(さいのわき・けいこ)さんにお話を伺いました。

自身の子育て経験から誕生した「あすいく」

――幸脇さんは東京都出身です。出版社で働いた後、出産、育児を機に起業。保護者が子育てを楽しみ、親子の笑顔が増えるための「一時保育」というサービスに注目。 マッチングプラットフォームサービスを行うほか、預けたくなる保育を作るために様々なコンテンツと協業を進めています。幸脇さん、「あすいく」はどういった背景から生まれたのでしょうか。

「あすいく」は、「明日行ける保育園」というところから名前を付けたんです。私が1人目を産んだ時に、出産後のギャップを感じたことがきっかけでした。働いている時は自分のペースで仕事をして、自分の好きなタイミングで休み、趣味を楽しんでいたのですが、子どもが生まれると、外に出かけることが全然できなくなってしまったんです。

「これが当たり前なのかな」と思ったのですが、 たまたま実家の母に生後4カ月の子どもを預けて、カフェに行ったことがありました。その時、「なんだ、この自由な世界は!」と思ったんです。

――あはは(笑)。そうだったんですか。

以前は普通のことではあったんですが、1人でゆっくりできるって最高の時間だったんだなと感じました。 その日、いつもより子どもに優しくできたような気がしたんですね。「寝てー!」「なんで泣き止まないの」となるのではなく、「まあ、今日1人で少しのんびりできたから、付き合ってあげられるかな」というように気持ちの余裕が生まれました。こうした経験から、親が1人時間を作ることは、働く母親だけでなく、育休中や専業主婦の方にも大事なことなんじゃないかなと思ったんです。

最初は、私も自治体が運営する一時保育サービスに申し込もうとしたんです。でも手続きがすごく大変でした。用紙に記入して、電話をして、1回面談に行く必要があるなどしているうちに挫折しちゃって……。保育園を利用するようになってから、保育園って本当に素晴らしいサービスだと感じました。「もっと誰でも預けられるようにできたら……」と思い、このサービスを立ち上げたんです。

――「あすいく」の利用方法を教えていただけますか。

「あすいく」で検索していただくと、公式LINEが出てきます。友達登録をしていただき、そこから会員登録をしてもらうと、すぐに活用できます。

たとえば、お子さまを預けたい日付や時間、その子の年齢や地域などで検索いただくと、まるでホテルの空室状況をチェックするように、いつが空いているかがパッと見られます。検索から決済まですべてネットで完了するので、当日は現金のやり取りもありません。

――検索してみたところ、とても使いやすそうだと感じました!


鉄道や山で遊べるプログラムで、「子どもを預ける」罪悪感を払拭!

――鉄道を活用したプログラムも開催しているそうですね。

「あすいく」の開発当初、保護者の方にヒアリングしたんですが「子どもを預けることに、なんとなく罪悪感がある」という意見がかなりありました。私も保育園に預け始める時、「いいのかな、子どもがかわいそうじゃないかな」という思いがあったんですね。「罪悪感って、親が1人の時間を取るための鍵かもしれないな」と。そこで「預けたくなるような保育プログラムを作ろう!」と思ったんです。

私の長男はまだ小さいとき、休みの日に東京駅に行ってずっと電車を見ているほど、電車が大好きでした。 それで、「電車を楽しめるようなプログラムがあったら、皆さんも子どもに体験させてあげたいのでは?」と思い、「駅いく」を企画しました。今年、JR東日本とともに上野駅で、保育士さんと駅員さんに協力してもらい、お子さんを3時間お預かりし、新幹線ホームを見学したり、駅員さんのお話を聞いたり、一緒にお弁当を食べたりするプログラムを行いました。これがたいへん人気で、「子鉄」たちがたくさん集まりました(笑)。

――山へ行くバージョンもあると聞きました。

「山いく」というプログラムです。私は東京で子育てをしている中で、保育園の園庭や、普段遊びに出かける公園の狭さを感じていました。会員の保護者からも「子どもを野山で駆け回らせたい」というニーズが多かったのもあり、長野県佐久穂町にある、自然保育を大切にした保育園に協力いただいて、3泊4日のツアーを行いました。山を駆け回ったり、飯ごう炊さんをしたり、採れたてのトウモロコシを食べたりと子どもたちが遊んでいる間、親御さんはコワーキングスペースでお仕事をしています。こちらも非常に満足度が高かったです。

――親御さんにとっても、お子さんにとってもWin-Winですね。

子どもを預けることへのモヤモヤではなく、「子どもにこんな体験をさせてあげられた!」という喜びを保護者の皆さんに感じていただけたらと思っています。

――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

鉄道のコンテンツ、それから月やサイエンスを楽しめるコンテンツも秋に実施予定なので、ぜひ会員になっていただけたら嬉しいです。今年 9月には都内のショッピングセンターを活用して、買い物をしながらお子さんを預けられる新しいサービスも始めますので、ぜひご利用いただければと思います。

――幸脇さん、ありがとうございました!

***

(番組パーソナリティ 横田)
お子さんを預けることに罪悪感を持つ親御さんの気持ちもわかるし、たまにそれを責める方もいらっしゃるように思います。ただ、子ども時代を過ごした者の意見としては、保育園や幼稚園って社会見学のような場所なんですよね。社会勉強をさせていると思えば、そんなに罪悪感を持つことはないのではないかなと思います。社会に広がる親御さんの思いをくみ取った、すごくいいサービスだなと思いました!

文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

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