アートで地域貢献!「チームひのワン!」が手掛ける「日野いいとこマップ2022」とは?|東京都日野市

2023.8.30 | Author: 池田アユリ
アートで地域貢献!「チームひのワン!」が手掛ける「日野いいとこマップ2022」とは?|東京都日野市

毎週日曜11時から13時まで、全国のコミュニティFM(一部地域を除く)を結んで放送している地域SDGs情報バラエティ『ロコラバ』。今回は7月16日放送の『深堀り』のコーナーから、身近なまちの魅力を再発見する取り組みを紹介します。

 

東京の西側、多摩エリアに位置する日野市は多くの駅を有し、都心へのアクセスも良好で、自然が豊かなベッドタウンです。

 

「その魅力や面白い情報が市内の人々に伝わっていないのでは?」という思いから立ち上がったのが「チームひのワン!」。日野市に住む異業種のメンバーで結成され、それぞれの個性を生かして、まちの魅力を発信しています。

 

昨年末には、地元の小学生からまちの歴史をよく知る年配者まで、幅広い層に話を聞いて製作された「日野いいとこマップ2022」が完成。多くの人々の思いが詰まったこのイラストマップは、身近なまちの魅力が再発見されると共に、地域の絆を深めることに貢献しています。

 

今回は、「チームひのワン!」メンバーの線画家アーティスト・もんでんゆうこさんにお話を伺いました。

線画家アーティストが参加する「チームひのワン!」

――もんでんさんは、2019年に線画家アーティストとして活動を開始しました。横浜赤レンガ倉庫や大阪のNU茶屋町など、グループ展で作品を発表。2022年には、建設中マンションの仮囲いを使ったアートプロジェクトに参加しました。受賞歴は2009年「パルテノン多摩美術公募展」に入選、2010年に上野の森美術館「日本の自然を描く展」で佳作、2011年に「全日本アウトサロン絵画大賞展」に入選など、輝かしい記録をお持ちです。もんでんさん、「チームひのワン!」についてお聞かせいただけますか?

日野市の産業振興課が主催した「HINO商人塾」に集まった、日野市で個人事業を営む7人で結成されたチームになります。

――いつごろ募集があったんですか。

2021年の募集で、私は2期生として参加しました。すでに第3期まで開催されました。

――どんな方が集まっているのでしょう。

整体院を営んでいる方や、絵本屋、オーダーメイドの家具屋、IT業、居酒屋のオーナー、資源循環コーディネーターと線画家の私の7名で構成されています。

「チームひのワン!」の皆さん

――皆さんで集まった時に「日野市のいいところ、あまり人に知られていないよね」と言うお話になったそうですね。

はい。日野市は都心へのアクセスが良くて、その上、自然に恵まれたエリアなんです。ただ、「隣接する街と比べて、市内でお金を使う人が少ない」という事実を、「HINO商人塾」の講座で知りまして。「これってもったいないよね!」と、みんなと共通の思いが通じました。「まずここに住む人たちに、日野の良さを知ってもらうところから始めてみよう!」という思いから始動したチームになります。


地域のいいところを紹介する「日野いいとこマップ2022」

――プロジェクトの一つである「日野いいとこマップ2022」が完成するまでに、いろんな方にインタビューしたと聞きました。

そうなんです。地域に暮らす人や関心のある人を集めて南平(みなみだいら)のいいところを聞くまち歩きのイベントを開催しました。実際メンバーで手分けして、この活動にご賛同いただけるよう1件1件お店を取材しました。真夏だったので、「暑かった」という印象が強く残っています。また、地元の小学生や消防団にアンケートを実施して、そこで得られた情報をもとにマップを制作しました。

イラストマップの中には、34名の地域でお店を開いている方の似顔絵が描かれています。 「実際にお店に行って、地元の人に会ってみたい」と思っていただけるきっかけになればいいなと思ったんです。

「日野いいとこマップ2022」©2022もんでんゆうこ

――日野市といっても、かなりの面積がありますが、今回は京王線の南平近辺の地図を作ったと聞きました。ここは、映画のロケ地にもなっているそうですね。

そうなんです。日野映像支援隊という、映画やドラマなどのロケ地として誘致する団体があるんです。今回、たまたまその団体と連携を取らせてもらえて。偶然にもマップのリリースとロケ地として日野市で撮影された映画『あちらにいる鬼』の公開が同時期だったんです。そこで、映画のロケ地を紹介する形で、マップとコラボさせていただきました。日野映像支援隊の皆さんにはたくさんのご協力をいただきましたね。

――南平でロケがあったとは知りませんでした!

南平の土地って高低差があるので、鹿島台やその辺りにある公園は見晴らしがよく、ロケ地に適していると聞いています。


南平の「今昔パズル」

――このマップから派生して、南平の「今昔パズル」というジグソーパズルも作ったそうですね。

調布市にあるシャフト株式会社さんに作っていただきました。この地域の現在と昔の地図で作られているパズルです。下の台の部分には南平の家が建ち始めた1961年頃の景色を、ジグソーパズルの部分には今回のイラストマップを使いました。

昔の写真を探すのに苦労しましたね。国土地理院や日野市立図書館の方、市内在住の地図研究家今尾恵介さん、「日本の古文書を読む会」会長の上野さだ子さんにもご協力いただいて、なんとか見つけられました。

――日野市っていろんなジャンルのプロフェッショナルがいるんですね。地図やパズルは、どういった方がもらえるんですか。

イラストマップは南平の住人の方にはぜひ手に取ってほしいと思ったので、約8,000世帯に無料で配布しました。パズルについては我々の思いに賛同してくださった方からの寄付金で追加注文させていただき、地元の小中学校に贈呈しました。

――子どもたちの反応はいかがでしたか?

まだ直接反応をいただくところまでは至っていないのですが、パズルという親しみやすいコンテンツを使って遊びながら、地域のお店の良さを知るきっかけにしてもらい、自分が住んでいる地元に興味を持ってほしいなという風に思っています。


かけがえのない体験となった「壁画を通じた交流」

――もんでんさんの、地域に根差した思いを寄せて活動される理由とは?

実は、日野からスタートしようという気持ちはまったくなかったんですけど、たまたま日野市に住んでいる人たちと仲良くなって、ご近所付き合いがきっかけでした。小さなコミュニティから始まって、数珠繋ぎのように不思議なご縁でお仕事をいただくようになったんです。

もんでんゆうこさん

最近のお仕事ですと、多摩平の森アートプロジェクトへの参加のお話をいただいて、 建設中のマンションの仮囲いに大きな壁画を作らせてもらいました。願ってもないチャレンジだと思ったので「直描きしたいです」と相談したら、会社の方も快く引き受けてくださって……。

街中で壁画を描いていると、地元の方が少しずつ気にするようになり、犬の散歩中に立ち寄って「だいぶできてきたねぇ」と声をかけてくれるようになりました。「壁画って地元の人との交流のきっかけになるんだな」って、アートには地域に貢献できる可能性がすごくあるんじゃないかっていうのを強く感じましたね。

――最後に、リスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

詳細につきましては、「ひのワン」で検索いただき、ホームページでぜひ地図などご覧ください。 また、日野市内の図書館でも借りることができますので、イラストマップを片手に南平のまち歩きをお楽しみください。

――もんでんゆうこさん、ありがとうございました!

***

(番組パーソナリティ 横田)
マップを拝見したんですけど、線画の温かさがにじみ出ていて、「この人に会ってみたいな」という気持ちが掻き立てられました! やっぱり「人」って大事だなって思いましたね。

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文・構成=池田アユリ
編集 = ロコラバ編集部

 

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