コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー


第169回/出水電器試聴会で、毎回新たな発見が[村井裕弥]

 10月14日(土)、大田区西蒲田・出水電器で、ALLIONの月例試聴会が開催された。筆者はそこで、半年あまり司会兼講師のようなことをしている。

 ここまでのテーマは、
【3月】マックトンの管球式セパレートXX-5000MS-2000とALLION の聴き比べ(コラム148参照)
【4月】元ヒット開発研究所(現SARP)LTC101055Sとの聴き比べ
【5月】バクーンプロダクツ(SATRI)のセパレートPRE-5410mk3AMP-5521およびチャリティ用プリメインAMP-KUMAMOTOとの聴き比べ(コラム157参照)
【6月】フェーズメーションの管球式セパレートCA-1000MA-2000との聴き比べ
【7月】Nmode(リリック)の最新DAC(プリアンプとして使用)X-DP10+最新高速1bitアンプX-PM100との聴き比べ
【8月】ALLION A10で、ディナウディオCONFIDENCE C2を鳴らし切る!
【9月】ディナウディオ第2弾、Contour 60への挑戦(C2とContour 60、どっちが好きかで「懇親会」が最高に盛り上がった)
【10月】ラージモニター(ソニー製プロ用ウーファー2本搭載)を、DEQXとALLION S200IIでマルチアンプ駆動!!


 2017年6月フェーズメーションの回


2017年9月Contour60の回


 自宅敷地内の柱上トランスを自分だけで独占する。それが「マイ電柱」
 4月14日(金)、試聴室の直近に「マイ電柱」が立てられ、以後音質が飛躍的に向上したことも強調しておこう(立てた直後の変化はもちろん大きかったが、翌月、またその翌月と、エージングが進んでいく変化度にも参加者一堂がびっくり!)。
 ゲストとしてお招きするアンプブランドは、基本的に村井が選定している。要するに「いろいろなところで聴いて『これは』と感じ入った製品だけを借りているということだ。  「予選を勝ち抜いたアンプだけが出られるということですな(笑)」
 常連さんからそのようなお声をちょうだいしたこともあるが、正にその通りだと思う。
 「どっちが勝ったか、イベントの締めに投票とか挙手とかするんですか?」
 このようなお声もたまにちょうだいするが、そのようなことはしない。アンプAとアンプB、違いはあっても優劣はない。まれに「とんでもアンプ」に遭遇することもあるが、そういう製品は呼ばないから、それでいいのだ!
 実際、マックトン、SARP、バクーンプロダクツ、フェーズメーション、Nmodeの製品は、それぞれ独自の美音でお客様方を魅了し、その一方で「ALLION A10って、実はこういう音なのだ」と客観的立ち位置を明らかにしてくれた。

 8月に入ってからは、ALLION島元澄夫社長がぞっこん惚れ込んでいるスピーカー、ディナウディオに出演を依頼。島元社長は以前FASTというアンプを扱っていたが、その頃からディナウディオ・ユーザーのお客様が多く、FAST、ALLIONともにベストマッチ。「ALLION A10で鳴らすディナウディオの音をぜひ皆様に聴いていただきたい」ということで2か月連続の登場となった。
 島元社長いわく「ディナは特にピアノがいいんですよ」。
 「ようし、それなら」と様々なディスクを持っていき、グルダ、ツィマーマン、稲岡千架、反田恭平などかけ続けたが、ふだんクラシックを聴かない方々も、その美音にうっとり。ベーゼンドルファー、ハンブルク・スタインウェイ、ベヒシュタインEN、ニューヨーク・スタインウェイCD75の違いも、きっちり描き分けてくれた。
 その結果があまりにもよかったので、「この試聴室にディナウディオを置くべきだ」と島元社長に迫る参加者まで現れた(実は、筆者もそのひとり)。


2007年10月、ALLIONスタートの日に、伊豆の国市の試聴室を訪ねた


2006年3月、この日の録音が、のちに確認音源『14 Years After』として世に出た


2011年10月のASC「確認音源」収録会

 10月14日の主役「ソニーのプロ用ウーファー2本を擁するラージモニター」はいつの間にかウーファー1本にパッシヴラジエーター(ドロンコーン)を加えたシステムに改造されていた(苦笑)。

 その日かけたディスクは、以下の通り。
○ ベートーヴェン:交響曲第1番ほか 久石譲指揮ナガノ・チェンバー・オーケストラ
○『オトダマ』はせみきた(和太鼓)ほか
○『バッハ オルガン作品集』塚谷水無子(パイプオルガン)
○ マーラー:交響曲第1番 バッティストーニ指揮東京フィル
○ タン・ドゥン(譚盾):歌劇《マルコ・ポーロ》作曲者指揮オランダ放送室内管弦楽団ほか
○ スクリャービン:24の前奏曲、プロコフィエフ:《ロメオとジュリエット》からの10の小品 矢島愛子(ピアノ)
○『アニタ・シングス・ザ・モスト』アニタ・オデイ(おなじみエソテリックが作ったSACD
○『モーニン』アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ(これもエソテリックSACD)

 ここまでかけたあと、参加者のおひとりから熱烈リクエストがあり、ASC(広島市を中心に活動するオーディオ・クラブ)が毎年リリースしている「確認音源」をかけ続けることに。
 ここのCDあるいはCD-Rは、井上博義(ひろし)さんという方のアコースティックベースが中心だが、何枚かのディスクをかけかえていくと、ある年を境に音質が飛躍的向上しているではないか!?
 熱烈リクエストしたご本人によると、録音機材の電源をまったく新しいものに替えたからだという。実はその電源、ALLION A10やエソテリックK-03Xなどにも使われているのだが、技術解説はA&R Labのサイトでお読みいただこう。

 出水電器試聴会は、原則「毎月中旬、土曜夜18時スタート」だが、そうでない月もあるから、ALLION掲示板をまめにチェックしていただきたい(参加希望者はこの掲示板に書き込むか、出水電器への直接予約を)。
 アンプの買い換えなどまったく考えていない方も気楽に参加できる会なので、どうかお気軽に参加していただきたい。実際、「懇親会」だけを目当てにいらっしゃる常連さんも何人かいらっしゃる「ゆるーい会」だから。

(2017年10月20日更新) 

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村井裕弥

村井裕弥(むらいひろや)

音楽之友社「ステレオ」、共同通信社「AUDIO BASIC」、音元出版「オーディオアクセサリー」で、ホンネを書きまくるオーディオ評論家。各種オーディオ・イベントでは講演も行っています。著書『これだ!オーディオ術』(青弓社)。

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