コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第187回/佐賀県鳥栖市の老舗ジャズ喫茶「コルトレーンコルトレーン」[村井裕弥]







 コラム184で、ジャズバー「PIA」(青森市)を取り上げた。3月だというのに、地吹雪がすさまじくて、翌朝からの移動もけっこう難儀した(新幹線がのきなみ遅れたり、止まったりするのだ)。

 水沢江刺、一ノ関、新潟。そのあとは佐賀県鳥栖市のジャズ喫茶「コルトレーンコルトレーン」に向かった。20年近く前、有田に行く途中、コルトレーン像がどでかく描かれている外壁を車窓から発見し、「なんだ!? あの建物は」と腰を抜かしてから、ずうっと行ってみたかったのだ。

 鳥栖駅下車。駅の西側に出て、左折。ひたすら線路ぞいを歩くと、10分あまりで、コルトレーンの大きなお顔が見えてくる。

 このお店は、JBLのバックロードホーンを常用。ウーファー2205を4530BKという箱に収め、その上にスコーカー2445J+2309(ドライバー+ホーン)。トゥイーターは075か2405Hと聞いていたが、そのどちらでもないトゥイーターがホーンの内側にセットされている。まさかそんなことはなかろうが、見た目はビクターSX-V7のソフトドームトゥイーターに少し似ている?

 筆者はフォアローゼズの水割り、ウチのやつはアサヒスーパードライ中瓶をオーダー。直後に、スピーカーから極上ジャズサウンドがこぼれ出た。それもマイルス・デイヴィス『クッキン』! 前夜一ノ関「ベイシー」でさんざ語り尽くした盤なのでびっくり。そのあとマッコイ・タイナー『プレイズ・エリントン』もかかったから、もう前夜の会話をここのマスターが聞いていたのかと思うほど(そんなことあるわけないけど)。







 ボビー・ハッチャーソン『ハプニングス』もかかったから、「ほら、これがボビハチ。『PIA』でかかったウォルト・ディッカーソンとは全然違うでしょ」とウチのやつにささやく。これくらい違うと、さすがにウチのやつもわかってくれる。

 そのあとは『ノーマン・グランツ・ジャムセッションVOL2』『リー・モーガンVOL3』などがかかった。どちらも自宅でよく聴く名盤だが、「まるで違う」としか言いようがない。わが家の音はお茶漬け、このお店の音はビーフシチュー。老舗ジャズ喫茶のオーディオって、ホント奥が深い。




 ここのマスターはくり返し「オーディオに関しては初心者だから」と謙遜なさる。なんでも、ハードのチョイスと調整は藤井さんという方にすべてお任せしているのだとか。

「だから私はソフト(LP)蒐集に専念できるのですよ。もしこのお店がお気にめすようでしたら、その分業が成功しているということだと思われます」








左がマスター原明さん


 そう聞いたあと、アンプなどが置かれているスペースを覗かせてもらったが、意外なハイコスパ機器目白押しで、度肝を抜かれた。この価格帯の機器で、「あの音」を出してるの!? すげぇ。藤井さんのセンスと鳴らしテクニック、間違いなく名人級だ! ああ、そういう人に私もなりたい…。

 FALの新ユニットC60eが現在わが家のメインになっている件、ジャズピアニスト野瀬栄進さんのスタジオライヴ(近くミュージックバードで放送される)、ベルリン・フィルのSACD5枚組『アジア・ツアー2017』についても書きたいのだが、またの機会とさせていただく。

(2018年4月20日更新) 

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【ALLION試聴会のゲストに井筒香奈江さん】
村井裕弥が講師をつとめるALLION試聴会。
今月のゲストは、歌手の井筒香奈江さんです。5月16日リリース『Laidback 2018』をいち早く聴ける上に、制作秘話まで聞ける絶好のチャンス!満席が予想されますので、お早めの電話予約(03-3755-5558)をお願いいたしします。
 日時:4月28日(土)18:00~
 場所:ALLION試聴室(東京都大田区西蒲田1-23-16)

村井裕弥

村井裕弥(むらいひろや)

音楽之友社「ステレオ」、共同通信社「AUDIO BASIC」、音元出版「オーディオアクセサリー」で、ホンネを書きまくるオーディオ評論家。各種オーディオ・イベントでは講演も行っています。著書『これだ!オーディオ術』(青弓社)。

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