コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第52回/広島市アコースティックサウンドクラブが、ついにDSDマスターを解禁!! [村井裕弥]
アコースティックサウンドクラブ。通称、ASC。広島市西区を拠点とするオーディオ愛好家たちのグループだ。その活動は多岐にわたるが、広く知られるのは「確認音源」。 筆者は入会して16年余りになるが、この理想のCD作りは思いのほか手間がかかる。まずマイク。AKGの高価な製品をバラして、その部品をシェーカー(バーテンダーがシャカシャカ振っている金属製の器)の中に取り付け、石・砂などを充填することで防振し、スーパークライオ処理。 その結果生まれた「確認音源」は黎明期から数えれば20タイトル以上! 中で最も知られているのは、『土と水Duo Live In 萩』と思われる。井上博義(ベース)と藤井政美(サックス)のシンプルなデュオだが、市販CDの「ミキサー(調理家電)でこねて低音成分だけ抽出したようなベース」の対極に位置する超リアル・ワールド。釣り舟の上でかっさばいた、獲れたての刺身みたいな音といえば、想像していただけるだろうか。発売当時、「3曲目『サマータイム』、奏者たちのバックで鳴く蝉がウチでは聞こえるor聞こえない」で起きた大論争なども懐かしい。 |
|
|
ほかにも、阿蘇山のふもと「オーディオ道場」でライヴ収録した『雪の魂』(あの日はホント寒かった)、筆者が製品試聴の際常用している『14YEARS AFTER』、名うてのプロvsアマの録音対決となった『Silver Spirits』など紹介し出すとキリがないのだが、拡大し過ぎて論旨がボケてしまいそうなので、これまた端折らせていただく。 今回強く訴えたいのは、ここ数年の活動だ。20年前はCD-RにCDフォーマットで収録したのち、なんの加工もせず、編集(無音部分をカットして、トラック番号を入れるだけ)。それをまたCD-Rにコピーして配布といったごくシンプルなやり方であったが、デジタルレコーダーを買い換えるたび、ハイレゾ対応、DSD対応となり、「だったら、より高次なフォーマットで収録しておこう。いますぐ聴けなくても、将来きっとみんな喜ぶから」ということで、近年はDSDレコーディング。 |
そして、DSDネイティブ再生できる会員が増えつつある流れを受け、ついにこの夏からそのDSDマスターが解禁されたのだ! ようし。この2つを徹底比較して、当連載の原稿にしようと意気込んで、そのDSDマスターを再生。しかし、ほんの数分、いや数秒でヤル気は失せた。なぜって、DSDマスターの音が比較にならない程素晴らしく、とても比較にならないからだ…。 とここまで書いたところで、またクロネコメール便が到着。DSDマスター公開第2弾『20YEARS AFTER』がわが家に到着! まずはNASの中に収められているCD-Rリッピングデータを聴く。うん、確かな手応え。CDフォーマットだって、こんな音が録れるのだ。だから、これを聴く限り「CDフォーマットを正しく再生しろ。そうすればハイレゾなんか要らん」「ハイレゾは、所詮邪道」「目先だけ変えて、ボロ儲けしようとするヤツらにだまされるな」と叫ぶ方々の気持ちも十分理解できる。
|
|
|
○ よりナチュラル |
![]() | 【新刊「これだ!オーディオ術2 格闘編」8月発売!】 8月、2冊目の単行本『これだ!オーディオ術2 格闘篇』(青弓社)を出すことになりました。5年前に出した初単行本では、「オーディオは、買い物で終わる趣味じゃない」を強くアピールし、「2009年まで、自分がオーディオとどう取り組んできたか」をレポートしましたが、その基本線は変わらぬものの、今回は ○ アナログ再生にどう取り組んできたか ○ 少しでもアナログに近い音を再生するため、何をしてきたか について書いています。 |
要するに、この5年間何をやってきたかのドキュメンタリーですね。
○ 格安アナログプレーヤー活用法
○ PCオーディオとの出会い
○ 英語にもパソコンにも弱い人間が、ネットワーク・プレーヤーの初期設定にチャレンジ
など、前著より皆さまのお役に立てる内容が多いのではと思います。
あと、オーディオ誌でない媒体に書いたアクセサリー記事等も転載。読み物としても、実用書としても通用する内容を目指しました。まずは書店で手に取ってみてください。(村井)