コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー

第51回/ソーラーパネルや空気清浄機が自宅に持ち込まれ、耳を疑った6月[田中伊佐資]







人工太陽とその周囲に置かれたソーラーパネル

●6月×日/ミュージックバードのリスナー、雪まるださん宅でオーディオのソーラーパネル電源を体験したことは2月の日記で書いた。
 今度はオーディオ仲間と連れだって、うちへ遊びに来たいという。ソーラー装置一式を持参するらしい。となると自宅電源工事は一通りやっているので、ソーラーとの勝負ということになる。これはおもしろい。もし負けたら宗旨替えすることになるのかどうか。
 当日はあいにく朝から雨混じりの曇天で、ソーラー駆動は難しいようだった。ちょっと残念な気分でいたら、
雪まるださんは何事もないかのように一式を家に運び入れてきた。人工太陽と称する裸電球とアルミホイルで作った集光パネルまでも用意していたのだった。

 ソーラー駆動させるトランスポートはSDメモリーカード・プレーヤー。これをDAC(DEQX)の端子にL字コネクタを介して接続。プレーヤーは手のひらサイズだから、背面にくっついたような絵なる。まさにケーブルレス。




 電源に混入するノイズがない、ディスクの回転に伴う揺らぎがない、ケーブル伝送のロスがないことがメリット3本柱で、
ぼくのCDトランスポートでは到達できない音がした。バックグランドの静けさ、音の立体感など一皮むけた感じがする。また、録音がそれほどよくないソフトでも、ある一定のレベルまで引き上げてしまう力があるとみた。ぼくはディスクの音質評価の原稿を書いたりしているので、これを導入したらこんがらがってしまうにちがいない。

 雪まるださんの友達も結構なマニアばかりだった。そのうちのお一人は、湯桶に屹立した備長炭(第48回参照)を見て「仮想アースですね」と一発で見抜き、
それどころか自作の仮想アース装置を持ってきていた。とっくの昔に仮想アース効果は確認していて、試行錯誤しながら内容物を調合しているらしい。
それにもやはりなにか鉱物が入っているようだ。

 ぼくのにわか仕込み品は気に入っているが、炭や銅は固有音がちょっとのる。この自作品はさすがに練り込まれていて、
全体が明快になってこれといってクセはなかった。



QLS-AUDIO社の
SDメモリーカード・プレーヤーQA550




キソアコースティックのHB-X1

 次に水筒のようなものが出てきた。これはカドーのハンディ型空気清浄機MP-C10で、オンにしたら本当に、音が澄み渡ってきた。空気清浄機も各社いろいろ試してみたが、これが最も音によい結果をもたらしたという。そして試しにこれをソーラーで駆動させるとさらに音がよくなった。信じられない。信じたくない。

 この方の家にも近いうちに訪問させてもらうことにした。

● 6月×日/岐阜県中津川に行き、キソアコースティックを取材。眼目は同社のアクセサリー「」を原亨社長のシステムで聴くことだが、ぼく個人としては原さんの音そのものを体感したかった。

 東京のメーカーや輸入代理店の方々は、たびたび自社製品を持ち込んで評価のコメントをもらっていたことがあった。
そんな通称「原もうで」はいまや伝説になっている(現在は同じメーカーの立場になったのでお参りはなくなった)。

 キソアコースティックといえばスピーカー、HB-1とその上位モデルHB-X1だ。これらは同じ市内にあるギター・メーカー高峰楽器が、
ギターと同じ素材を使い、同じ職人による手作りで仕上げられている。ただいかんせん10cmウーファーの小型でありながら軽くペア100万円を越えることで、ぼく個人としては現実離れした製品ではあった。

 だがしかし試聴の冒頭にこのスピーカーは1000万円を越えるFMアコースティックのアンプから大電流をぶち込まれ、
その実力を見せつけた。エンクロージュアはまさに楽器そのものだ。爆音を吐きながら軋むことも歪むこともない。大音量、望むところだといわんばかりに、受けて立っている。そしてまた小型スピーカー特有の音場空間が大きく広がる。これはおそるべし。100万円越えは、伊達ではなかった。

(2014年7月10日更新) 第50回に戻る 第52回に進む 

田中伊佐資

田中伊佐資(たなかいさし)

音楽出版社を経てフリーライターに。ジャズとその周辺音楽を聴きながら、オーディオ・チューニングにひたすら没頭中 。「ジャズライフ」「ジャズ批評」「月刊ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」などにソフトとハードの両面を取り混ぜた視点で連載を執筆中。著作に「ぼくのオーディオ ジコマン開陳 ドスンと来るサウンドを求めて全国探訪」がある。

  • アナログ・サウンド大爆発!~オレの音ミゾをほじっておくれ
  • Brand-new CD~ジャズ・サウンド大爆発!
    オレのはらわたをエグっておくれ

  • お持ちの機器との接続方法
    コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」バックナンバー