コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第7回/パラボラ・アンテナを60センチ径の大型に替えると
オーディオ愛好家・高田敏夫さんのお宅を直撃! 高田邸の60㎝アンテナ 【動画】オーディオ愛好家のお宅訪問! |
45センチ径のパラボラ・アンテナを60センチ径の大型に替えると、ミュージックバードの音質がいちじるしく向上した(元はといえば、高田敏夫さんのお宅で起きたエピソード)。そのことについて初めてふれてから、いくばくかの時が経過した。 |
アンテナ仮設当日、わが家に予想をはるかに超えて大きな宅配便が届いた。これが60センチ径のパラボラ・アンテナか。いかにもデカいな。もちろん、その大部分は緩衝材で、アンテナ本体がこのサイズなワケはないのだけれど…。
そして、おおよそ2時間後、担当者もわが家に到着。「もう何百回同じことをやったかわからない」という熟練した手つきで、パラボラ・アンテナを段ボール箱から取り出す。そのあとは、正にチョチョイのチョイだ(60センチは、衛星からの電波をしっかり受け止められるから、その分、微調整が容易。さっとベスト角度が決まる)。
その結果出てきた音だが、「ここまで違うのか」というのが正直な感想。言っちゃなんだが、わが家のチューナーは最も安価なチューナー(CDT-1AM)に光デジタル端子を付けたCDT-1AMD。それなのに、「チューナーを最高級モデル(Conclusion C-T1CS)に買い替えたのではないか」というような音が飛び出してきた。
ご存じのリスナー様も多いと思われるが、この作業をおこなうとき、チューナーのフロント・ディスプレイには2つの値が表示される。右のふたケタは、この作業中キャッチした最も強い電波の値(それが即99に換算される)。それに対して左のふたケタは、現在キャッチしている電波の強さ。右の99に比べていくつにあたるかが表示される。理想的には、右も左も「99」が表示されてほしい!
2週間前、60センチ径のパラボラ・アンテナを仮設するときは、その「左右とも99」にいともたやすく到達(さすがは熟練担当者)。しかし、それを45センチ径のパラボラにつなぎ替えると、99どころか、80もなかなか出ないのだ。担当者は、おおよそ20分間、ドライバーを片手に奮闘したが、ついに断念…。
念のため断っておくが、筆者宅のベランダは真南向きで、となりビルの近接等もない。天空に向けて、スカッと空いている。それなのに、45センチ径のパラボラだと、ベストの角度に調整するのは至難のワザなのだ。
そのあと、担当者とお茶しながら、放送を聴いた。できるだけ先入観を抱かないようにして聴いたつもりだ。それなのに・・・。
「デジタルの理屈から言うと、アンテナがデカかろうか小さかろうが、一定以上の強さで受かれば、音質に違いが出るワケないんですが、現実はこうですよね。わたくしも、最初高田敏夫様のお宅で経験するまではわからなかったんですが」
「今、45センチ径のアンテナを使っている人が、60センチ径にしようと思うと、いくらくらいかかるんですか?」
「片手くらい(約5万円)かかります。でも、それじゃハードルが高すぎるから、今なんとか安くできるよう努力している最中なんです」
「その交渉ごと、がんばってくださいよ。わが家のようなチューナーを使っていてもこれほど違うんだから、最高級チューナーをお使いのお宅だと、もっと違うんじゃないかなあ」
「わたくしもそう思います。リスナー様の中には、『放送がよく途切れる』『高いチューナーに買い買えたが、それだけの甲斐がない』等々様々なご不満をお持ちの方もいらっしゃるのですが、実はその大多数は、受信が正常におこなわれていないからじゃないかと思っているんです。しかし、こちらから『多少費用はかかりますが、そちら様にお伺いして、正しい受信がされているか点検した上で、ベストな状態にさせていただきます』と申し上げても、『それは困る』とおっしゃる方が多くいらっしゃる」
「そのお客様の心理わかりますよ。ボクもオーディオ始めた頃、メーカーや輸入商社が親切で言ってくれる『ご自宅チェック』が嫌で嫌でたまらなかったから。あと、プライバシーをのぞかれたくないという方もいらっしゃいますしね」
Conclusion C-T1CS |
しかし、これはなかなか厄介な問題だ。局としては、きちんと番組作りをおこない、さまざまな気配りをして送信。チューナーの品質にも、この上なくこだわっている。しかし、アンテナを地元の業者さんやリスナー様ご自身が取り付けた場合、それがベストであるという保証はない(極端な話、最初がよくても、台風などで微妙に狂っている可能性だってある)。あなたのお宅も「一応途切れることなく受信できているだけ」で、クォリティ的には大きな損失を被っている可能性があるのだ。 |
※イベントは終了しました
管球式アンプの老舗ブランド「マックトン」が毎月最終金曜、チャレンジ試聴会を開催しています(全10回)。
4月のテーマは「オーディオ電源工事で、アンプの真価を引き出せ!」。オーディオ電源工事のスペシャリスト、島元澄夫氏(出水電器)においでいただき、皆様の前で、実際に簡易電源工事をやっていただきます。工事前と工事後で、音はどう変わるのか。あなたの耳で確かめられる、滅多にないチャンスです。休憩をはさんだ後半は、島元氏がプロデュースしたALLION T-200svが、マックトンのアニバーサリー・セパレートXX-550&MS-1500に挑戦します。
日時/4月26日(金)19:00~20:30
場所/マックトン試聴室(西武新宿線・井荻駅から徒歩7分)地図
プロデュース・司会/村井裕弥
予約/必ず事前にお電話でご予約ください。
TEL:03-3394-0131(マックトン)
※満席で予約が取れなかったときは、翌日土曜日も試聴できるようにします(但し講演等はなし)。こちらも要予約。
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