コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第134回/最近のクリーン電源 [鈴木裕]
まず電気に乗ってくるノイズだけでなく、本来は100Vなければいけないのに何かの事情で90Vしかない場合でも100Vに生成しなおしてくれるのがアキュフェーズのPS-1230、PS-530だ。同社にとってはこれで3代目になる。 |
![]() アキュフェーズPS-1230。壁からの電気を使って、 新たに50・60Hzの正弦波の電気を生み出している。 |
というのも、以前からアキュフェーズのクリーン電源は同社のアンプのような音の傾向を持っているのだが、クリーン電源の音も最近のアキュフェーズのアンプの傾向へと変化。端的に言うと、その出力デバイスの変更があったモノーラルのパワーアンプM-6000とM-6200の関係のような、より透明感が増し、音の剛性感が上がり、という方向へとシフトしているんじゃないだろうか。
![]() ラックスマンES-1200。3年の開発期間を経て、 この秋に発売されたクリーン電源。独自の方式だ。 |
ラックスマンがクリーン電源、ES-1200を出したのもうれしい。なぜアキュフェーズのモデルチェンジと同じタイミングなのかと業界的にも話題だが、3年前から開発していて、ちょうど今年のリリースになったそうだ。意外と開発に時間がかかっている。 |
それで壁コンセントから来る高周波のノイズを除去できるのかとちょっと疑問に思ったりもするが、実際に聴くと透明度高く、瞬発力の高い、色づけの少ない電源が供給されるのを感じる。
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![]() アイソテックの電源フィルターEV03タイタン。 直列と並列のフィルターを組合わせている。 |
![]() アコースティック・リヴァイブRPC-1。 |
並列型フィルターと言えば是非紹介したいのがアコーテスティック・リヴァイブのRPC-1だ。たしか夏前に「オーディオって音楽だ!」にアリコバの石黒さんと岩谷さんにゲストに来てもらったのだが、その時にスタジオで試したのが実は外部でのテストの最初だったらしい。これが「並列型」というククリで語っていいかどうか怪しいくらいの音の変化量で、試した人の多くが驚いている。音像にまとわりつく付帯音がなくなり、実体感が上がり、よりリアルに、しかもより音楽が美しくなる。うちは前段系とパワーアンプ側とブレーカーを分けていて、前段系に使いだしたのがその音にほだされ、パワーアンプ側にも2個目を購入することにした。 |
フルテックにはコンポーネントのIECインレットと電源ケーブルの間に入れるような電源フィルターが数種類ラインナップされていて、最近も新製品が出ている。効果が高いという話は訊いているが、残念ながら実際にテストしていないので音の傾向についてはわからない。
購入しやすい価格帯としてはiFiの製品が推薦できる。スイッチングタイプの電源アダプターを使う機器には、4種類の電圧のものから選べるiPowerが注目だ。あるいは3.5Aまで対応する直列ノイズフィルター型のiPurifier DC。使っている技術の「軍事用レーダー技術を流用したActive Noise Cancellation®(アクティブ・ノイズ・キャンセレーション)」といった説明がどうもよくわからないのだが、効果は抜群だし、音がやせたり、妙にきれいきれいにならないところにこのブランドの音も感じる。効果は大きい。 |
![]() ![]() (左)iFiの電源アダプター、ipower。4種類の電圧がある。 (右)iFiの電源フィルター、ipurifier20dc。 スイッチングタイプのアダプターに是非、使用したい。 |
他にも以前からいろいろな機会に言っているが、壁コンセント自体、そのカバー、電源タップなど、オーディオリプラス、クリプトン、フルカワなどの製品をテストして明確な効果を確認している。電気はオーディオの源というのは文字からだけでなく事実だ。時にコンポーネントを買い換えるよりも効果的だったりするので考えてみてほしい。
(2016年10月31日更新) 第133回に戻る 第135回に進む
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