コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」

<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>

ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー


第3回/個人的な汚い話で恐縮ですが・・・

 124chの『オレの音ミゾをほじっておくれ』でアコースティック・リヴァイブの石黒謙さんを番組にお招きしたことがあった。ありがたいことに、スタジオをよりいい音にしましょうと自社アクセサリーを持参してくれて、グレードアップにつながった。

 そのひとつにプラグなど接点をクリーニングするスプレー式の導通クリーナーECI-100があった。
 石黒さんは「こういうの大嫌いで出したくなかったんですけど、効果がすごいので踏み切りました」とか言っている。
 だが単品で使用したわけではないので、効果のほどははっきりしない。


 石黒謙(左)さんがゲストの回。
 (2013/3/2・9放送)
 AcousticRevive「ECI-100」

 そこでちょっと拝借と僕は自宅に持ち帰って試してみることにした。この手のクリーナーは、ややもすれば音にクセがのったりするので用心が必要だ。
 おそるおそるデジタル・ケーブルだけに使ってみると、事前にエタノールで磨いておいたにもかかわらず、綿棒が真っ黒くなるほど汚れがとれた。含有するナノダイヤモンドカーボン粒子が研磨しているのかもしれない。

 しかしこの粒子の役目は実は研磨ではなく、接点部の超微細なくぼみに入り、接触面積を増大させることにあるという。ほんまかいなである。また完全に含浸するのに24時間かかるともいう。もう一回ほんまかいなである。

 塗布直後の音は、確かに大きく変わった。クリアかつ爽やかになって、汚れが取れたイメージのままの美麗な音。これはこれでまあ有りだが、ガッツが減退したように思った。

 さてその翌日、24時間後経ってから興味津々で聴いてみると、腰の強さが加わり音圧までも高まっているようでもある。クセなどの副作用もない。なんだこの成長ぶりはと首をひねりつつも、やったぜとすっかり浮かれてしまった。

 そこから夜な夜なクリーニング業務が始まる。スピーカー・ユニットが左右で8個、アンプが4台なので、ほんとにもうウンザリしたが、やらずにはいられない。そして最近の個人的なオーディオ・アクセサリーでは大ヒットともいえる結果が出た。

 もうひとつの大ヒットが、同じく『音ミゾ』に来てもらったとき、オヤイデ電気の荒川敬さんからサンプルでもらった「クリーニングスティックEC」というクリーニング・グッズだ。
 大振りのブック型マッチの棒みたいな形をしていて、ガラスエポキシ板に、研磨剤とワックスを含んだフェルトが貼り付けてあるという。壁コンセントや電源ケーブルの穴をこれで、グリグリこする。ここは掃除ができない部分だったのでまさに待望のグッズである。
 実際、泥が詰まっていたのかと思うくらい黒くなった。何年分もの垢が取れたという感じだ。
 


 荒川敬(左)さんがゲストの回。
(2013/3/30・4/6放送)



 オヤイデ「クリーニングスティックEC」

 使用後の「クリーニングスティックEC」

 なお値段も手頃なので、オーディオ・マニア宅に行くときのお土産に最適かも。使い捨てなのでいくらあってもいいので。

 音はぎらっとした微かな歪み感が減ってすごくなめらかになった。音像がはっきりして奥行きも出た。これもかなりいい。となると考えることはひとつしかない。アコリバのクリーナーを塗布して掃除したらどうなるのか。

 結果はまあお察しの通りで、オーディオにとって電源がいかに大事かということをまたもやこれでもかというほど体感してしまいました。

(2013年3月11日更新) 第2回に戻る 第4回に進む

田中伊佐資

田中伊佐資(たなかいさし)

音楽出版社を経てフリーライターに。ジャズとその周辺音楽を聴きながら、オーディオ・チューニングにひたすら没頭中 。「ジャズライフ」「ジャズ批評」「月刊ステレオ」「オーディオアクセサリー」「analog」などにソフトとハードの両面を取り混ぜた視点で連載を執筆中。著作に「ぼくのオーディオ ジコマン開陳 ドスンと来るサウンドを求めて全国探訪」がある。

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