コラム「ミュージックバードってオーディオだ!」
<雑誌に書かせてもらえない、ここだけのオーディオ・トピックス>
ミュージックバード出演中の3名のオーディオ評論家が綴るオーディオ的視点コラム! バックナンバー
第63回/ウーファーが吹っ飛んで、スピーカー・ケーブルの基本をいまさらながら知った10月 [田中伊佐資]
![]() 「オーディオ・ホームシアター展」公開録音(2015年1月3日放送予定) レポートはこちら |
●10月×日/ディスクユニオンのJazzTOKYOで『オーディオ風土記』発売記念のトークショーを実施。当日は台風のため大雨の様相。来場者は非常に少ない。これは考えようによっては悪くはない。完璧な晴天に恵まれたのに、人影もまばらではお店に言い訳ができない。トークの受け手になった生島昇店長の手綱さばきがよく、途中で帰る人がいなかったのはよかった。 |
●10月×日/「ジャズ耳養成マガジンJAZZ100年」(小学館)で横須賀オーディオ・マニア三人衆を連続訪問。 |
![]() 舘野光博さんのパトリシアン600 |
最後の三上剛志さんは、「趣味の獄道」のサイトで全国的に知られているマニアでありコレクター。さらに規模が大きく一夫多妻制オーディオで、いったいいくつシステムがあるのかわからない。おそらく20セット以上はある。まさに私設博物館なのだ。さてそのなかのなにを取材すればいいのか、たいへん悩むところだが、つい最近手に入れたということもあり、1930年代に作られたジェンセンのステージ用スピーカーのシステムに決まり。プレーヤーは16インチ・ギアドライヴのRCA 70D。歌ありニュースあり、ひと番組丸ごと収められた当時のラジオ用レコード、通称トランスクリプションを聴く。この声がまたとんでもなくいい。まったく広くはないレンジ、ぼけていると言われればそれまでの解像度。なのに心にぐいぐい入ってくる。デジタルの登場によって、オーディオは恩恵を受けた代わりに確実に失ったものがあると痛感。ただこの潮流に逆らうことはできやしないから、これからどう少しでも取り戻すことができるか。どんだけハイなレゾかではなく、音楽がどう心に響くかなんだよなあ。
![]() レッド・ツェッペリン『I』の白ラベル・プロモ盤 |
●10月×日/レッド・ツェッペリン『I』のプロモ用アメリカ盤を大音量でかけていたら、左のウーファーJBL1500ALが突然死。フォノイコのサブソニックをかけていなかったので、強烈な振幅に耐えられず錦糸線が切れた模様。錦糸線は武藤製作所のオーグラインに改造してあったので、武藤社長を呼んでウーファーを外す。助っ人としてオーグ・ユーザーで屈指の怪力を誇る成島裕之さんも呼ぶ。以前も行ったことがあるが、このウーファー非常に重く、重量バランスが極端に後方なので、この作業は本当にしんどい。ぼくは及びでないという感じで見ているだけ。 |
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